Catch of the day

food planner cacoの日々もぎたてスピリッツ・・・

お彼岸の日に

2019-03-23 01:11:17 | ふと思うこと
春のお彼岸ですね。

母が亡くなった日のことを思いだしていました。

その日は乾いた空気がキーンと冷え切っていて

火葬場までの紅葉の鮮やかさに

毒々しく美しい世界を

どこか俯瞰でみていました。

黒い着物を着ている自分がいて

もしかして幽体離脱でもして

黄泉の世界へ連れて行かれてしまったのか、

そう思ってしまうほど不思議な時間でした。


その後何日経ってもずっと鮮やかな景色の残像だけが

ぐるぐる。

人と話していても笑っていてもその景色が

サブリミナルで顕れたり。

そんな時間が続いていました。

私は子供のころからとても感受性が強かったと思います。

向かい合いたくない気持ちに蓋をしようとすればするほど

時々顕れるメッセージというかサインだったのかもしれません。

涙が一滴も出ないのです。


その世界から現実にもどしてくれたのが、

笑ってしまうけど

いかなごのくぎ煮でした。

早春の神戸の風物詩。

この季節になると母が手作りのいかなごのくぎ煮をよく送ってくれたのです。



母が亡くなって数か月後叔母がいかなごのくぎ煮を送ってくれました。

電話口で「お母さんの味と同じやったらいいんやけど」と。

叔母のくぎ煮をご飯の上にのせて口へ運んだ時、

胸の奥がだんだん苦しくなって熱いものが溶けだすように

鼻と喉の奥がズーンとするものですから

なかなかゴックンできず、長い時間ずっと咀嚼していました。


私の様子が心配だったという

叔母の温かな気持ちに心から感謝しています。

この時やっと心が定置に戻りました。

その叔母は3年前に亡くなりました。

最近、いかなごのくぎ煮を数年食べていないことに気づいたわけです。


でも長年食べ続けた味というのはすごい力です。

白い温かなご飯の上にのせた瞬間にふわあっと立ち上がる生姜の香りを

知っていることもあり、

お彼岸だからでしょうか。

白いご飯を目の前にすると

どこからか、生姜のきいた甘辛いあの香りが漂ってくるのです。

潜在レベルに刻まれた味、香り、食感、温度感、ストーリー、

私のソウルフードということになりそうです。


少し前のことですが、母のお墓からの帰り道。

何故だかわからないのですが、いつもと違う道を歩いて駅へ。

急に音がするものですからそこへ目をやると

「ありがとう、元気でね」と書いてある貼り紙。

亡くなった人からのメッセージをこんな風に受け取ることってあるんだと思います。


お彼岸は昔からご先祖さまが大名行列のようにやってくるイメージがあって

怖がりの私はあまりお会いしたくないなあと思うわけです。

必死に「ありがとう」という気持ちだけを意識してみます。


暮らせる家があり、空腹を満たせる食べ物があり、服を着て寒さから身を守る事ができること。

そしてこの世に誕生できたこと。

本当の豊かさの意味を確かめるように深く触れてみれば

この時に感じるものの正体が「感謝」であると思うのです。
















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願い

2019-03-10 16:44:44 | ふと思うこと
先日ビール・ストリートの恋人たち

観てきました。


暗闇のなかから

冷んやりとした温度感が伝わってくるNYの街。

鮮やかな映像と音楽が素晴らしかった。


2月はアフリカ系アメリカ人の歴史月間だったそうです。

白人至上主義を敵対する過激な表現で有名なマルコムXの有名な言葉

「Black is Beautiful!」

しかしメッカで様々な肌の色を持つ人たちで作り上げられたUnityの存在に

心に大きく変化を起こします。


その経験を引き継ぐように

この映画のバリー・ジェンキンス監督の表現には

Black Cinemaと云われたジャンルの立ち位置が変わりつつあるように思います。

これまでの人種差別を表現する映画には感じたことのないような表現を感じてしまうのです。

スクリーンの中に静けさを感じるほど対比する感情、

強さ、せつなさが瑞々しく伝わってくる映画でした。


今月8日は国際女性デーもありました。

〇〇デーと取り上げられる日には

社会で問題になっていることが多くあって

その奥には願いがあります。

人が願うとき、人として足りない部分が表面化します。

人はいつも足りないものを願うから。


自分の人生を選択する権利を奪われれば

そこにある理不尽に義憤を感じてしまいます。

真っ暗闇。

でも人は内在する備わった力で光を感じ

自分の闇を照らす力を持っています。

弱くなった時、

「強い私、出てこい!」と念じてみます。











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選択肢と集中力

2019-03-01 23:24:40 | ふと思うこと



先日、わが家ではおめでたいことがありケーキを買いにYuji Ajikiへ。

以前お仕事されていたたまプラーザのデフェール時代からのファンです。


ほんと、飛ぶようにケーキ売れてます。

こういう名店にはシェフの実力もありますが、

ある仕掛けが取り入れられています。


それは、多過ぎない程よいスウィーツの種類にあります。

ショーケースの中にたくさんの種類があるお店は見ていて楽しいのですが、

そういうスウィーツ店の売れ行きはあまりよくありません。

全種類が視界に入るくらいの、程よい種類を揃えておく方がよく売れるのです。

選択肢が多すぎると疲れてしまい消費が落ちてしまう。


斬新で、トレンディな商品が無数に積み上げられ

パスタだけでもものすごい種類のお店。

こんな場合は陳列方法ひとつで売り上げが左右します。

楽しいけど・・・だんだん疲れてきて

どれを選んだらいいかわからない。

覚えがないですか?

入るとなんか落ち着かないのは

整理整頓ができておらず、

選択肢を客に上手に提供できていないケースです。


一日というのは、無数の選択肢からひとつを選んで行動するシーンの連続ですね。

その時に使うエネルギーが「集中力」。

集中力は前頭葉を使います。

でも習慣化されてくると小脳が担ってくれるので

前頭葉の疲れる度合いが減り集中力を発揮できる時間が伸びるとのこと。

この脳のメカニズムはメンタリストDaiGoさんの本で知りました。


スティーブ・ジョブズを象徴していたあのファッション。

黒のタートル、

リーバイスの501、ニューバランスという

いつも同じファッション。


実は一流の仕事術を持つ人に結構いるようです。

マーク・ザッカーバーグや、

TSUTAYAの増田宗昭さんもそうかな?


これも「選択する」ことに負担をかけないようにし

集中力を担う前頭葉を次のシーンまで温存。

余計なことにエネルギーを使わないようにしているわけです。


集中力をちょっと意識してみたいですね。

先ずは日常の中の選択肢を可能な限りシンプル化していくと

難しく感じていた時間からゆったりとした時間へシフトすると思うのです。

断舎利ですかね。










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