歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

長命寺の桜餅は香り無く・甘く無く・軟らかく無く・好きく無く

2012年03月21日 | 東京の風景
一昨日からの続きです。

この日は曇り、首都高高架下の墨堤通りは、ホントに暗く、寂しく、湿っています。



暗くて、黒くて、大きくて、重い、瓦屋根の重なるお寺です。咲き始めた梅も、何処か寒そうで寂しそう。


見えて来ました。


店の裏手に長命寺があります。


それで、ここまで書いてきて、突然、疑問が湧いてきたのです。それは、お店の名前です。「長命寺の桜餅」は有名なのですが、製造販売しているお店の名前は?何て云うの?

それで、撮った写真をじっくり見つめていると、暖簾の隅に“山本”とあり、


他の写真もじっくり見つめると、行灯看板に“山本や”とあります。


調べてみると、むかし長命寺の門番だった“山本新六さん”と云う方が、桜餅を作って売り出したのです。それ以来、長命寺の桜餅は「山本や」が製造販売を行っていたのでした。

桜餅にはいろいろなスタイルがあり、大雑把に分類すると、江戸風は別名“長命寺”と云い、関西風が“半殺し”の餅で餡を包む“道明寺”があるのです。

それで、これが店内、


緋毛氈が門前の茶店風で、ちょっとだけ江戸情緒。やたら老舗ぶったところがなく、イイと思います。


それでは、デザートの“御召し上がり 250円”を頂きます。山本屋さん「上り」は「上がり」で送り仮名が違います。


来ました。こちらが“江戸スタイル・関東風”の桜餅、長命寺です。


桜の“葉っぱ”は豪華に3枚も使用されています。


二枚を剥がし、残りの一枚に餅を乗せて口に運びます。私は葉っぱも“食べる派”なのです。でぇ、桜のほのかな香り楽しみに口元に運ぶと、アレ?コレ?ナニ?ヘン?なのです。

甘く香しい桜の匂いが、まったく、ぜんぜん、ちっとも、いっさい、しないのです。葉っぱに鼻腔を接触させて、思いっきり吸い込んでも、単に、枯れ葉的?な匂いが微かにするだけです。

私の嗅覚が老化したのかと思い、連れに聞いてみると、“しない、匂わない”との返事、やっぱり、香りが無いのです。

山本やのHPには、

【桜もちを包んでいる葉は、オオシマザクラの葉を塩漬けにしたもので、全国で使用される桜もちの葉の約7割が伊豆の松崎町で生産されています。独特の香りは塩漬けにしている過程で葉が発酵して“クマリン”という“芳香物質”が出てくるためで、生の葉にあの香りはありません。見た目の楽しさ、美しさだけではなく、香りも利用する・・・昔の人は偉いものですね】

と、あるのです。もしかして、これは、“クマリン”が出尽くした、いろいろと事情のある葉っぱ?かと、思ったりしたのです。

数年前に一人で訪れた時は、さすが!長命寺の桜餅と感激したのです。“この香り、この色、この形、この味”で、お茶付きで250円は安い!と思ったのです。それが、それが、これです。何か、あったの?無かったの?です。

こんな疑問を抱きつつ頂いたのですから、餅の食感も、歯ごたえが“歯に堪えると”云うか、歯に触ると云うか、単に堅いだけと云うか、もしかして、製造後の時間経過が長く、想定外に堅さが変化し過ぎたと云うか、兎に角、“もちもち感”を、かなり通り過ぎていました。

山本やのHPには、

【餅は小麦粉を水で溶いただけのものを薄く延ばし、熟練の手で一枚一枚手焼きしております。もちもちとした食感をお楽しみください】


そして、餡ですが、甘くなく、これも堅いのです。最近は甘さを控え目にするのが流行りで、甘さを抑えると“上品”だ、何て事を云う輩が増えています。でも、しかし、下品と云われようと、ナンと云われようと、私は、頭が痛くなるほど(ちょっと大げさ)の甘さが好きです。

山本やのHPには、

【餡は、和菓子の命ですので、気候や風土が全く違う処で育った小豆では、納得できるような舌ざわりや味が表現できないのです】

和菓子は餡が命、桜餅は“香り”が命!ですぞォ!

まあ、兎に角です、「葉っぱに、餅に、餡に」いろいろと、拘って作っているようです。


兎に角、まあ、今回は、材料の品質バラツキとか、加工時の気象条件とか、保存時の温度、湿度とか、製造数と販売量のバランスで保管時間が長かったとか、職人の体調や気分とか、いろいろな諸条件が、すべて、マイナス側に働いてしまった、稀有な結果であったと、解釈しました。

考えて見れば、一個200円の、たかが桜餅です。期待に胸膨らませ過ぎたのです。アンコを小麦粉を溶かして焼いた皮に包み、それを葉っぱで包んだ、只それだけのモノなのでした。

でも、平日なのに、お持ち帰りのお客さんは、食べている最中にも、それなりに列を作っていました。創業以来、それなりに今でも、人気は続いているのです。

さっさと、食して、さっさと、お茶を飲み、店を後にしました。

帰りに近所のスーパーで“ヤマザキの桜餅”を買って帰ろうか?と、連れと話しつつ、いよいよ、“東京スカイツリー”に向かいます。

それでは、また。


コメント
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