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近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

蒼井優と高橋一生で「スパイの妻」③精神的にも肉体的にも追い詰められた文雄!

2021年04月22日 | 映画の話し

前回の続きです。

殺人事件が発生し、その被害者は満州から夫が連れてきた女性と聞かされ、夫優作を問い詰めても、自分を信じろとしか云わない優作。

夫を疑う聡子は、一緒に行った甥の文雄の居る温泉宿に行き、何があったのかを聞こうとする。

出迎えた旅館の主人が『文雄さん、ほんま見違えましたな、以前とはだいぶお変わりのようで驚きましたわ』の言葉には反応せず。

その話を遮るように『この二ヶ月主人が何度もお世話になって』と、しかし、主人は『何のこっちゃ?』との表情。

これは優作が、女と密会の為に、逢瀬のために、度々旅館に訪れていたのでは?との、問い掛けですが、何故か、主人の反応を確認せず、文雄の部屋に向かうのです。

これって、聡子が亭主の浮気を確信しているとの表現? そして、浮気は浮気として、それなりに確信しているが、それ以上に、隠している 背後の危うい事情に不安を抱いてるとの表現。

そして、文雄に、男女関係を、危うい背後関係を、問い質す聡子。このシーンのはじめの数カットから、風の音がBGMのように流れます。

ここで気が付いたのですが、ここまで冒頭から40数分、音楽は流れていなかったのです。この監督の手法なの?音楽はあまり使わず、映像と台詞だけの構成。音楽がない方がリアリティは感じます。

それで、文雄を問い質す聡子。

『本当のことを教えて下さい』

『本当とはなんです』

『草壁弘子を殺しましたか』

『バカなことを』

『何故、満州から連れてきたのですか』

『かわいそうだからですよ。放っとけなかったからですよ』

『あなたと主人の、どちらが、彼女を放っとけなかったんですか』

『これはまた、ご自分の連れ合いを疑ってらっしゃる』

『優作さんを疑ってなんかいません。ただ私は、事実が知りたいんです』

『事実、憲兵にいれ知恵されましたか。愚かだ』

文雄は優作から、聡子が殺人事件で憲兵隊に呼ばれた事で、秘密を知られたのでは?と、不安になっている。 

『愚かで結構。でも、あなたのしていることが、主人の立場を危うくすることなら、それは、なんとしても止めて貰わなければなりません!』

『やめる。どうやって』

『やっぱり。あなたたちは何か危ういことに関わってらっしゃるんですね』

『あなたは一度でも、叔父さんことを理解しようとしたことがありますか?どうして、おじさんの本当の気持ちを分かってあげないんです!』

『なんのこと』

『あなたはなにも分かっていない!あなたは何も見なかった。あなたに分かりようが無い!』

息づかいも荒く、激しく、大声で怒鳴る文雄。精神的にも、肉体的にも、かなり追い詰められている様子。

文雄の異常な様子に、二人が隠している背景の重大さに気付く聡子。

『私が見なかったものとは、何です?』

ここで、文雄は我を取り戻し。

『失礼しました。・・・何も知らない者にこそ、僅かな希望があるのかも知れない。・・・これをあなたに託します。・・・。決して開封せず叔父さん以外の誰にも渡してはいけない。僕はずっと憲兵に監視されています。ここを一歩も出ることができません。「英訳がやっと終わった」。叔父さんにはそう』

『そう伝えればいいのですね』

『ええ。さあ、もう行って下さい。・・・・・・お元気で』

このカットから初めて、バックに音楽が流れます。

旅館を見渡せる橋の上には私服の憲兵が5人。彼らの間を、託された書類を持って夫の会社に向かう聡子。

書類の中味は?この書類に危ういことの真相が!

それで、殺人事件の背景には、何か重大な事実があると疑う憲兵。文雄だけが監視されるのは、不自然です。

二人を殺人事件の容疑者として逮捕し、激しく取り調べるとか、家宅捜査をするとか、それをしないのは不自然です。まあ、それでは、ドラマとしては・・・ですから。

まあ、そう言う事で。

本日は、ここまでとします。

それでは、また。

 

 

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