歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

蒼井優と高橋一生で「スパイの妻」④森村誠一で「悪魔の飽食」で731部隊!

2021年04月25日 | 映画の話し

前回の続きです。

優作以外には絶対に見せるなと云われた書類を、優作に手渡す為に会社に向かう聡子。

それで、ちょっと戻るのですが、書類を携えた聡子が、監視している5人の憲兵の間を通るシーンですが、憲兵が黙って見過ごすのは何か変です。

監視対象である文雄との面会目的は?何か頼まれた事はないか?それなりに尋問される筈です。監視対象ですよ! 

そもそもです。文雄が旅館に籠もって何をしているのか?ただ外で見張っているだけなのは、ありえません。踏み込んでのガサ入れは当然。

まあ、それは、それとして、優作の会社に着いた聡子は、就業時間が終わり、社員が退社した後、倉庫で、

『文雄さんから預かりました。英訳が終わったそうです』

と云った後、優作が受け取ろうとすると、手渡すのを拒み、

『やはり知らなければ、何も信じることはできません』

と、云って、書類に目を通すのですが、中味を理解できるとは思えない早さで、ほんの数秒間でページをめくり終わるのです。

観ている私には、図解から何か医学的な実験資料?としか見えませんでした。聡子も内容を理解するのは困難だと思われます。

しかし、優作は「危うい事情」が知られたとして、慌てて書類を聡子の手からつかみ取り、黙って金庫の中に仕舞うのです。

そして、危うい事情を知ってしまったように、聡子は、

『聞かせて下さい』

『何から話せばいいか』

『最初から』

優作は観念してしゃべり始めます。いままで真実を語るのを頑なに拒み、信じろとしか云わなかったのに、かなり、あっさりとしゃべり始めるのです。

『僕と文雄は釜山から満州国へ向かった。首都の新京は華やいでいたよ。・・・・・・それから僕たちは特別な許可を貰って関東軍の研究施設へ向かった。医薬品の便宜を打診する目的だ。途中車の窓から所々に小さい山が見えた』

『最初それは廃棄された農作物の山だと思った。近づくと山からたくさんの手足が生えていることに気付いた。山は煙を出していた。人間の死体が焼かれていたんだ。それは、ペストによる死体の山だった』

『それから僕たちは、行きがかり上ひとりの女の命を救うことになる。君も知る草壁弘子だ。彼女は看護婦で軍医の愛人でもあった。彼女は僕たちに、このペストの流行は関東軍の細菌兵器によるものだと告げた』

行きがかり上で知り合った女が、見ず知らず者に軍の最高機密をそう簡単にはしゃべらないと思います。

『ここで、ペスト菌の人為的な散布による生体実験を秘密裏に行っていると。それを内部告発しょうとした軍医は処刑され、弘子の身にも危険が迫っていた。なぜなら弘子は軍医から託された動かぬ証拠を持っていたからだ』

「軍医は処刑され、弘子の身にも危険が迫っていた」こんな状況で、密かに秘密書類を持って満州を脱出したのはかなり不自然。

『それが、あの実験ノートだ。君が文雄から受け取ったのは、そのノートと英訳した、もう一冊だ。そこにはペスト菌の散布だけではなく、捕虜を使った生体事件の様子まで克明に記録されていた』

『こんなことは、決して許されるものではない!』

ここまでで、オッ!これは!あの!『関東軍防疫給水部本部』、通称『第731部隊』の話ではないか! そんな展開になるとは、想定外でした。

ここで、確か?むかし読んだことが?と、本棚に向かったのです。

ありました!『悪魔の飽食』です。

著者は推理作家の「森村誠一」で、初版が昭和56年11月30日、私の手元にあるのは11刷りで、翌年の2月20日となっています。

概要はそれなりに記憶していますが、当然、細かな記述の記憶はありません。昭和56年ですから、1981年で、40年も前の事で、30歳の頃です。

敗戦後、36年の歳月が流れた後の発行です。当時、かなり話題となり、ベストセラーとなりました。731部隊が世に知られたのは、この本によってでした。

それで、ちょこっと、Wikipediaを覗いてみたら、ノンフィクションを騙った「フィクションだァ」何て記述もありました。

確かに、フィクションと突っ込まれるのは、証拠資料に乏しく、見つかった資料も間接的なものであったり、証言も実験当事者ではなく、周囲の人間の「私は見た」「私は聞いた」的な証言なのです。

まあ、当然、生体実験の記録、実戦使用の記録は焼却した筈ですし、実験当事者、部隊の責任者は、当然、何も語りません。

戦後、差し障りのない部分が米国に渡されました。それでも、その記録を見て、米国の学者は「ここまでは我々には人道的にできない。非常に価値のある実験」との証言しています。

話を「スパイの妻」に戻します。

それで、恐ろしい真実を聞いた聡子は、

『それでどうするの』と問います。

え~、話が長くなりましたので、この先は次回とします。

本日はここまで。

それでは、また。

 

 

 

 

コメント
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