Joe Filiskoさんのシグネイチャ、雷の精霊の名を冠した
Thunderbirdがやってきました。
Marine Band CrossOver発売当時、ローキーが予定されていたので予約をしていたところキャンセルとなり残念に思っていたところ、突如アナウンスされたThunderbird。
改めてLow-Cを予約し直したのは6月でした。
幾つかのキーは既に日本にも入っていたのですがLow-Cはなかなか入ってきませんでした。
LC(Low-C)はSeydelのSessionSteelで手に入れたので、変更が効くなら「LLFにしようかなぁ」と思いつつもなかなか連絡を入れられずいたところ
去年の12月初旬にLCが国内に入った事を知りました。
年末のバタバタや運命のいたずら(笑)から「年内に手にするのは無理かな?」と思っていたのですが1日早めに仕事を納めだった森のなかまは、ワイフがお仕事中の12/29に「おっちゃん」のところに単身とりに出かけてきました。
おっちゃんもこの日が仕事納めでありました。
こうやって思い返してみると随分長い間待った事になるのですね。
箱とインストラクションです(笑)。。
今更説明書等読まなくても良いとお思いの方も多いかと思いますが、森のなかまは読みます。読みます。読みます。。ハッ!何だコレは?
After playing,
DO NOT tap the channel openings out into the palm of your hand, as this may put the heavy super-low reed out of alignment or gap.
-- 付属説明書からの引用です(ゴシック部は原文通りです)
普通、吹き終わった後に、歌口(穴が開いている面)を下にして、掌にトントンとやり水分を落とします。普通の機種はこれが推奨されています。
しかし、Thunderbirdの説明書では「トントンしないでね!」と書いているのです!
LC程度ではさほどではありませんが、LLF等はリードの振動速度を遅くするためにかなりの量の「おもり」をリード先端に乗っける事になります。
これを「トントン」とすると予想外のモーメントが発生してリード自体の変形、リベット止めされている箇所が回転してしまったりするという事らしいです。
Poziドライブの事もありますが、やはり説明書はきちんと読んでおくべきと再認識させられるのであります。
CrossOverと同じようなケースです。ただ文字の天地が逆です。Thunderbirdは蓋を立てた時に正しい位置になります。
最近のMacBookと同じでユーザからの視点ではなく他者から見られる事を主眼に置いているようにも思えますが、ベルト通しを使った時に開口部が上になるようにするとロゴが逆さまになるのがイケていないという実践的なユーザ意見を元にした改良とも思えます。
"Low-C"ではなく"Clow"と表記されます。これもキーを表す文字を極力小さくしないデザインかと思います。
何やら青い光がチラチラとしていますが「
伝説のサンダーバード」といえば「羽の色は雷」という事から青を配置してみたかっただけです。
雷というと「ピカーっ!」のピカチューの黄色もアリなのですが。。
・
イギリステレビ番組のサンダーバードに出てくる国際救助隊の隊員の制服も青!
・現在は
F-16を駆るアメリカのエアロバティックチーム「サンダーバーズ」の紋章も青!
#個人的な思いとしてはF-4,14,15,16,18,20の時代が好きでありまして、
F-35はどうも馴染めません。。ステルス、電装、ベクタースラストと時代の流れなのでしょうね。。
特にCrossOverから始まった"Marine Band"の名称の横に走る2本線はウイングマークを思わせ、Thunderbirdに至るのも当然なのかという思いが密かにありました(キムさんから
Fablous Thunderbirdsを連想される方が圧倒的に多いかとおもいますが)
青い紙を映し込んでみました。なんだか着色したみたいになってしまいました。
という事から黄色ではなく今回は「青い」で行く事にしましたので「青い」のにお付合い下さい(笑)
なかなか良い佇まいです。
普通の写真も今のうちに載せておきます(笑)。トップカバーは特に変わりはありませんが。。
ボトムカバーはちょっと普通ではありません。まぁ、御存知かと思いますが。。
カバーの厚みが低い音の方が厚く、高い音へいくに従って薄くなります。
ボトム側は「吸い」リードが外側に配置されるため「吹き」リードよりもカバー内側までの距離が短くなります。
低い音を出す為には長いリードがゆっくりと大きく振動します。このクリアランスが狭いとリードの先端がカバーに当たってしまい、ガビッとなってしまいます。ならば大きくしましょうというのがThunderbirdであります。
カバーのデザインはハーモニカカスタマイズで有名な
Joe Filiskoさんによるものです。
Hoherの"Low"シリーズだと"lo"と刻印される位置にJoe Filiskoさんのシグネイチャが刻印されます。"Low"を表す刻印はいつものキーに"L"が配置されます。こっちのほうが分かり易いかもしれませんね。
このカバー。単にリードがヒットしないというだけではなさそうです。低音域に十分な容積を持つ事から少なからず共鳴や演奏のし易さにも繋がっているような気がしていまして、今後CrossOver等にも付け替えてみるとどうなるかなと思いつつもThunderbirdとして楽しんでしまうに違いないないでしょう。
さて最後にCrossOverを購入したのが何時だったか忘れてしまいましたが、竹コームシリーズも細かい所が改良されたようで、それらを受け継いでいるようです。
左から古いCrossOver。右がThunderbird。新しいCrossOverも右側にならっているようです。
カバーの端っこから尖った箇所が消えました!
ハープを口の中にすっぽり入れてしまうスタイルがありますが、そんなときに尖っていると痛いですよね。でも大丈夫!
細かいところですが、左のCrossOverのリードプレートは角を直線で切り落としていましたが、新しいのはアールで処理されています。
更に細かい(笑)ですが、彫金部分が滑らかになりました。特に創業者のマティアスさんの顔はクロスで拭くと引っかかる位だったのですが、実にスムーズです(本当に細かい事で申し訳ない)。。
一番水分に晒されるコーム先端は重点的に塗装がなされています。
でも、それ以外は皮膜がないくらいにラッカーが落とされています。
よーくみると、繊維にそってラッカーが残っているところがあることから、一旦塗ってから削っているのではないかと思われます(もしくは浸透していまうぐらい薄いのかもしれません)。
これはプレートと接触する面についても同様でした。CrossOver発売当初は全面テランテランに塗装をされていました。
通常のMarineBandやDeluxeはプレートとの接触面が塗装されておらず、これが微妙なフィーリングの差になっていました。
どちらも持ち味なのですが、森のなかまは接触面に関しては塗装されていない方が好みなので嬉しい限りです。
多少は水分を吸ってくれ、そして吐き出してくれるますし、竹コームは水洗いしても、そうそう変形はしません(保証はしませんが)。
Joeさんのシグネイチャを撮影するためDA35 F2.8 Macro Limitedを付けていますので、折角なのでネジに迫ってみました(笑)
例によってPozi#1がピッタリでした。クロスした箇所にさらに微妙に凹みがあるのが見えるかと思います。これがPoziネジの特徴です。
デザインからするとマイナスがピッタリくるのですが。。それにしても工芸品のような美しいネジです。
「青い」に戻ります(笑)。
さて、いかにも「森のなかま的」なThunderbirdの紹介でしたが。。
ちょっと生意気ですが吹いた感想を書かせて頂きます。
これまで、MarineBand, SBS, 12穴364, Special20, MilteauModel, Seydel SessionSteelのローキーを吹いてきました。どれも悪くはありません。
でも、このThunderbirdは一息目からビーンとメータが振り切れました。
チャギング、バンプをした時の楽しさはこれまでに無い経験です。
Out of the box。。まさに箱から出したての何もしていない状態です。
とても素晴らしいです。
あまりに楽しいので2-3時間吹いてしまってからバラしてみました。
工作精度がかなり高いようなのでエンボスは一切しない事にしました。
OB/ODはセッテイングいじればそれなりに出るのかもしれませんがトレードオフになるものを考えると今現在は無理をしなくてよいかなと考えています。
一部のリードがチューニング時によるバリが僅かにひっかかっていたのでシックネスゲージでバリ取りをしたり、レンチでリードのセンターを合わせました(実は結構激しく「トントン」やってしまっていました)。
リードは結構柔らかいのか強くプリンキングすると直ぐに変形してしまいましたが何度かやっているうちに落ち着きました。
確かにリードプロファイルをご自分で作らないのであれば説明書通り演奏後の「トントン」は避けたほうが良さそうです。
湿気が残るのを気にされる方は
カメラ用のブロワーでシュッ、シュッとされると良いかと思います。
なお、森のなかまはリスクを承知のうえでトントンと
綿棒を中にいれてフキフキしてしまっています。高価なものなので各自のご判断でお願いします。
なお、リードレンチは
HohnerのService-kit(MZ9933)にもあるのですが、お高いので「
楽しきかなハープ調整の道具達」で紹介している
3.2mmのレンチがあると、いざという時に心強いかもしれません。
2番の2ステップベンドは喉をきちんと開かないとシンドイのでありますが、そんなときは椅子に座るのを止めて、背筋を伸ばして立ってみましょう。
頭は少し上をむけて、なんならハープのお尻を角度をつけていつもより突き上げれば喉は拡がってきます。アゴを心持ち前に突き出せばさらに広がります。
ただ拡げるだけでも音はどんどん良くなるのですが、口の開け方や舌の位置、呼吸方法を変えると更に共鳴の仕方が変わってきます。どの音がよいのか最初は戸惑うのかもしれませんが、自ずと貪欲になるので何が良いのかは自分の耳を信じればよいのだと思います。
体をリズムに合わせて動かしながらリードで振るわされた空気がスリットを抜け、舌の上を通りすぎて喉ちんこに直撃する感覚は軽いトランスに近いものがあると思います。
また高い音域も忘れてはいけません。普段出しづらい10番1ステップベンドなども軽々と出せるので、ファーストポジションを始め様々なポジションで高音域にチャレンジしたくなるのであります。
時々通常キーのGやF等を織り交ぜながら吹いていると、新しい発見がありワイフが栃木から帰るのを待っている5-6時間があっという間に経ってしまいました(お正月で隣人がいない事を確認済みです)。
他のシリーズに比べて高価な事は確かでありますが、工業製品としてこれだけのハープを誰もが入手出来るというのは素晴らしい時代です。
「出来る事なら全キー欲しくなってしまう」
というのが感想であります。
体長が5mを超え雷を自在に操り獲物を仕留める雷の精霊サンダーバード。
バサッとはばたくかせる翼の音をイメージするか、雷のようにシビレる音を求めるのかは人それぞれ。。
現代に蘇る伝説の鳥に胸(翼?)を借りてみるのも悪くない年のスタートです。
それでは!