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また株式話に戻って“株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる”を読んで

今回は株式投資関連の本の紹介に戻る。当ブログは、やっぱり、かなりISOマネジメントから遠ざかって来ている。“株式市場の目が企業を見る目で最重要なのだ”という居直りの台詞を言い訳に使っている。だが、申し訳ないが、この方面に興味津々なのだから仕方ない。
この度は 震災により暴落した。そこへ一時テクニカルな円高となったが、国際協調でなんとか円高は納まって、その後はこれまでの業績結果と、それに基づく震災後の見通し確定待ち、となっていてすっきりしない市況だ。まぁ当面は“お勉強”でやり過ごすべきかも知れない。

そんな中で読んだこの本の標題はかなり卑屈な印象を与えるが、“切った、張った”の鉄火場のパフォーマンスは今のところ日本人は欧米人に及ばないと思われているのも事実である。素直に学ぶべきは学ぼうという姿勢であろうか。この本は、2006年発行でいささか古い。サブプライムやリーマン・ショック以前の内容であるので、“アメリカの住宅バブルが減速する”との予測を述べている。そういう点では予測は当たっていると言え、そのためか、未だに人気はあるようで、書店に並んでいるし買う人はいるようだ。
そしてこの著者は以前紹介の“バリュー株入門”の立場で言えば“トレーダ”という分類に該当する。とは言え“バリュー投資”の長期保有であったとしても株の売買は必ずしなければならず、その点では売買の好適タイミングというか、好適価格をどのように知るのかというテクニックは必要である。なので、トレーダの株売買の姿勢を知ることは“お勉強”になる。この本、実は外国人に教わることを書いているのはほんの一部分である。序章も含めると全7章の構成だが、外国人の投資スタイルについて著者が推測している記述部分は2章しかない。いささか、標題に惑わされた部分はあり、標題と表紙だけ見て本を買うと間違う典型である。
では、何について書いているのか。要するに著者は、いかに上手く株を売買して儲けているかを述べている、ありていに言うと自慢話なのだ。だが、そう言うと身もふたも無いのだが、そのスタイルについては、こと細かく記述してくれていて、実に分かり易いので誠実な印象を抱いてしまう。上昇相場、ボックス圏相場、下降相場でどういう株を売買するべきか、そのタイミングはどうなのかが書かれている。そのついでに、相場の要素としての外国人投資家のパフォーマンスについて書いているのである。“トレーダ”としてのある種の確立されたスタイルの表明であり、その点で 学ぶべき点の多い本ではないか。

まずは、上昇相場では“優良株”を運用するとある。上昇トレンドとはチャート上でどういう状態なのか、下降トレンドやボックス・トレンドからの転換点の見極め方を詳細に説明している。そして、“少なくとも大きな上昇相場(上昇トレンド)は12か月(1年)ぐらいは続くと見ていいでしょう。長いケースでは、2年から3年続くこともあります。”と指摘している。
上昇トレンドの終わりは“下値支持線を割込む”、“以前の天井が底として機能しない”、“25日線、13週線を割込む”で見極めるという。また“太陽線が3本連続で並ぶ”、“三空が出現” では一度売ってみるべきだと説いている。
ここで、問題は“優良株”とは何か、ということになるのだが、これまで探って来た“バリュー株”かと思いきやあまり大仰な定義ではなく、“日経平均株価に採用されている225銘柄であれば優良株である”ととりあえず言っている印象だ。だが、私は ここで以前に規定した“バリュー株”の定義を適用するべきなのだろうと考えるが、そうすると対象銘柄が少なくなってしまうことがあるのかも知れない。
そして、この優良銘柄の回転売買を勧めている。具体的には“株価が25日線からの乖離率が大きくなったら売り、25目線前後に下がってきたら買い”を繰り返すというテクニックだ。これであれば、先ほどの厳選銘柄で長く楽しめるのかも知れない。または、銘柄の種別による 内需株→ハイテク株→内需株→ハイテク株・・・の繰り返しや 大型株→中小株→大型株→中小株・・・の循環売買というテクニックもあるという。何が 内需株でありハイテク株であるのか その明確な線引きはどうやら無さそうではあるのだが・・・。

さて、次には上昇トレンドや下降トレンドからボックス・トレンドへの転換の徴候パターンも 具体的に説明している。ボックス・トレンドでは“仕手株”を中心に運用するべきであると言っている。そこで“仕手株”とは何か、になるのだが、“ある特定の資金によって株価が意図的に操作され'吊り上げられる株のこと”と言っている。ここで 以前清水一行氏らの経済小説で読んだ“政治銘柄”というものを思い出す。昔の株式市場は現在より不透明部分が多く、そのヤミの世界で、政治家が資金稼ぎに ある種の資金を動かして相場を作り出して行くという、その人間模様の中にドラマがあるという小説である。相場操縦自体が不正とみなされる今日、どうしても怪しい世界を背景にしている印象が濃厚となってしまうが、現在では そういう可能性は低いのであろうか。とにかく相場を動かすためには、少なくとも大型株ではかなりの力が必要となるため、対象となる可能性は小さい。したがって、著者は、仕手株になる候補銘柄は①発行株が少ないこと②浮動株が50%以下であること③資本金が小さいこと④株価が低いこと であると言っている。
そして、なぜボックス・トレンドで、仕手株を扱うべきなのかと言うと、大型優良株ではボックス・トレンドでは値動きの幅が小さく、利益が少なくなってしまい、何より売買のタイミングをつかむのが非常に難しい、とある。そこで、一時的に値幅を大きく取る仕手株を対象にするべきだということのようだ。そして、仕手筋は1つの銘柄で相場を形成すると、足早に手仕舞い、二度と戻って来ないものだとしている。したがって、ここでは回転売買は成立せず、売り時を逃がすと一気に株価は下落するので、大損する可能性は大きい、と言う。
ここまで来ると、いわゆる素人が仕手株に手出しするのは、かなりの覚悟が要るというか危険性が大きいと知れる。

次は“大きな下降相場では「材料株」を運用する”とある。ここで、“材料株”とは、株価を押し上げる材料(テーマ)を持っている株であるとしている。つまり、その会社の業績が向上・改善すると認められる動きがあることで、新製品が開発されている、新市場へ乗り出す計画がある、他社へのM&Aを仕掛けて成功しつつある・・・等である。
では、この下降トレンドで“材料株”をどのようにハンドリングするのかだが、これも素人や初心者には困難な印象である。つまり、下降局面での“投資活動は「怖い」もの、相場の流れに逆らわない”と言っている。この“相場の流れに逆らわない”とは、具体的にどうすることなのか、あまりよく分からなかった。そして、“材料株”には短期間1~3日程度、長くても2週間までとしている。しかし、どういう情報が“材料株”となるのか、玄人が反応する情報となるのかは、初心者には見分けが難しい。まして、下手に反応して事前に“材料株”候補を購入していれば、当局からインサイダーの嫌疑をかけられる可能性も出てくる。さらに、好材料がいつどこで公表されるのか、あらゆる情報網を完備しておかねばならず、個人的活動ではその把握は困難である。したがって、玄人筋を向こうに“材料株”を運用するのは非常に困難なのだ。

以上から 素人や初心者は、上昇トレンドで優良株を運用する局面しかありえないことになってしまう。
この後は、肝心の外国人についてであるが、有体に言うと欧米人つまり、外資系トレーダの買いに付いて行くのがよい、と書いている。外資系証券会社の注文動向についてはロイターのホーム・ページが参考になるとしている。しかし、どのように“付いて行く”べきかの具体的イメージは、この本からは残念ながら湧いてこない。しかし、外国人の好む株は、これまでさぐって来た“バリュー株”に一致しているとの印象であり、面白いのは“再生企業”に着目するべきであると指摘していることである。

後は、新興市場株について、記述している。ここでの新興市場とは、ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスの3市場のことであり、1部・2部市場と比べてさらに小規模な市場であり、株価の値動きも激しく、仕手株や材料株にくらべてますます危険性が大きいと言える。

やっぱり、素人や初心者は おとなしく“バリュー株”を発掘し投資するべきであって、ボックス圏相場や下降トレンドでは死んだようにおとなしくしているのが肝要だという結論なのかも知れない。

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