The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
吉村昭の“空白の戦記”を読んで
私の東日本ツァー先で偶然に見つけた文庫本“空白の戦記”は、私には珍しく旅行中に読み終えたが、感慨深く印象に残った。
この本は、作者・吉村氏が“無意識ながら戦争の陰の部分に生きた人間を描いていることにあらためて気づいた。私の関心が、自然とその部分に注がれているからだろう”、と言っている作品群だ。また、見方によっては、“「人と物」についての物語である”とも言える。「人と物」が対をなして、人々を悲しみに導いている。特に「物」の乏しかった戦前の時代には、「人」を犠牲にしてでも「物」を維持しようとした。だが、今でもそんな風に犠牲になる人生は、恐らくそこらじゅうに転がっているのではないかと、改めて気付かされるのだ。
この作品群を読んで、これ以上、何かを語る言葉は私には見出せない。
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私の“東北ツァー”
3・11以後、いずれ誰かから東北方面へのツァーのお誘いがあるものと思っていたが一向にお声かからず、3年以上経ってようやく思っていたような企画に参加できるようになった。
先週に引き続き、第1部の東京散策も含めての“東日本ツァー”であり、今回はいよいよ東北編の第2部と3部となる。第2部は、岩手県宮古市の南にある山田町の造船所と その界隈、さらに宮古から北上して北山崎の断崖観光だ。これはISO審査員資格保持者の研修会(フォーラム)の一環で、一昨年秋訪問した広島のツネイシクラフト&ファシリティーズ㈱が、東北に開設した漁船用の造船所の立ち上げを見学するのが本来の主旨である。第3部は、いわき市の湯本温泉をベースにして福島第一原発の20km圏内に接近視察から南下して、その周辺を見て歩く計画であった。 . . . 本文を読む
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“技術者倫理とリスクマネジメント”を読んで
いつも本を表題で選んでしまうが、今回の本の表題は“技術者倫理とリスクマネジメント”と、私にはきわめて魅力的に思えるものであった。実際に読んでみて感じるのは、化学工学系の技術者として生きた著者の深い反省をベースに、そのあるべき姿を追究した生真面目さである。すなわち、技術者はどうあるべきかを、知ることができた限りのエピソードを集めて何らかの教訓を引き出そうとして格闘した結果だと言える。
しかし、おおよそ“リスクマネジメント”を標榜する割には、今や少々もの足りなさを感じてしまう。つまり、著者の“良心的常識”から発する極めて原初的な“リスクマネジメント”でしかないからだ。それは、“リスクマネジメント”と称するからには、ある程度の定式化された手法―例えば ISO31000やISO22301等の規格に従った手順など―に従って課題となる対象を分析し、対処するという姿勢が必要と思うが、そこまでできていないからだ。 . . . 本文を読む
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