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和田秀樹・著『「せん妄」を知らない医者たち』を読んで

今回紹介するのは和田秀樹氏の高齢者用の医療本である。高齢者の入り口に立つ身としての覚悟を立てるためにも、和田秀樹氏の著作は気になっている。今回は『「せん妄」を知らない医者たち』を読んだので紹介したい。 「せん妄」って何?高齢者に起きる症状らしく、“せん妄とは、脱水、感染、炎症、貧血、薬物など、身体的な負担がかかった時に生じる「意識の混乱」です。入院患者さんの2~3割に起こり、高齢者、特に認知症を合併している方はさらに生じやすいと言われています。”ということのようだ。それがどうした? というようなことでこの本を読みだした。結局、“医師ができることは、情報と選択肢の提供まで”であるべき。これが著者の大原則論。だから、高齢者患者自身が薬を飲むと決めるにあたっては、“薬の副作用を理解し、日常生活の活動レベルを落とさないよう最小限にとどめる”必要がある、ということだが、これが難しい。 . . . 本文を読む
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ひろさちや・著『一遍を生きる』を読んで

今回紹介するのは日本仏教のひろさちや氏の“祖師を生きるシリーズ”の『一遍を生きる』である。 これまで仏教の“お勉強”の中で、読んだ祖師は、確か最澄、空海、法然、親鸞、道元だった。世にいう8祖師のうちまだ5人か。この内、念仏系だけでもコンプリートしておくか、・・・てな訳で一遍を読んでみることにしたのだった。一遍は私には、日本史の教科書で、踊る念仏・時宗の祖師、という知識しかなかった。何で踊るのか?それだけで何やら妖しい雰囲気で異端の臭いがする。だが、この際念仏にこだわるのは、我が家の宗旨が、あの謙信も恐れた越中の一向宗だったこともある。 この本の最後は意外な言葉で終わっているので紹介したい。それは“希望を持つな!反省するな!”である。“希望も所詮、欲望にほかならない。未来のことは仏にまかせておけばいい。”しかも“あまり反省しないでおけ。だって、いくら反省しても、過ぎ去った出来事を変えることはできないのだ。あなたは「いま」を大事に生きるよりほかないのだ。”これ仏教の真髄。 . . . 本文を読む
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本郷和人・著『合戦の日本史』を読んで

今回は本郷和人・著『合戦の日本史』を紹介したい。日本史で画期を成してきたのは合戦であろう。日本史そのものが合戦で成り立っていると私は認識している。 ところが、本書“はじめに”に、戦前・戦中には“歴史学もまた軍部と密接に関わり過ぎたことの反省から、戦後はより実証的かつ科学的な歴史学が目指されるようになりました。そのなかから「軍事史」についてちゃんと科学的に考える研究もでてきてしかるべきだったのだろうと思います。しかし、死者300万人以上とも言われる太平洋戦争というものがあまりにも大きなトラウマとなったためか、歴史学の研究室は、軍事史を正面から扱うことを避けるようになりました。”“歴史に学ぶということは、『失敗の本質』の著者たちのように、同じ過ちを繰り返さないための教訓を引き出すという一面もあります。そのような意味でも、日本の軍事史に改めて取り組むことは重要な作業だと私自身も考えています。”と言っている。 これには当然、私も大いに同意したい。 . . . 本文を読む
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25年1月に鑑賞した映画の紹介

今回はまたもや月替わりなので先月見た映画を紹介したい。先月は全40本だった。内訳はNHK-BSのBSプレミアムシネマで16本。ソニーピクチャーズ100周年記念無料公開映画を主力にしたネット経由で18本。所有していたが鑑賞しきれずに放置していたDVDを見たのが2本。TVで放映したのを録画したままだったのを見たのが、4本となった。 この内、“オッペンハイマー”は家族のネット経由のサブスク契約で見た。原子爆弾を開発した“原爆の父”となった物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた。映画の時間軸は4つもあるといい、登場人物も多数、上映時間も3時間。それならやっぱり私が見ても中々理解できないはずだ。女性との関係、核分裂の原爆の話・ボーアやハイゼンベルグとの関係・ドイツの開発競争・ロスアラモス研究所での指揮の様子、核融合の水爆の話・スパイ嫌疑の話でボロボロになる様子・有名な物理学者達との関係・・・・多数のエピソードが絡まってややこしい。原爆を開発して国家に利用され、捨てられたとは理解できる。何より自嘲的に名前からしてユダヤ人だと語るオッペンハイマー、彼にナチスに原爆は開発させない意欲は分かる。 日本への投下について、映画を見る前に聞かされていたほど重大には扱っていない印象を持った。それよりも実戦に使ったことへの悔恨費やされていた。米側は日本への投下後は、投下の効果を計測することに全力を挙げていて、被害者には治療も施さなかったことにも触れられてはいない。 . . . 本文を読む
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