The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
㈱リコーの技術開発(品質工学適用事例)
先日、と言いましても1ヶ月前の10月6日にキャンパスプラザ京都で 第4回関西地区品質工学シンポジウムが開催されました。
ここで、前回 ご紹介した本の著者、長谷部光雄氏が 講演されました。
その内容は 品質工学の必要性の一般論 と 品質工学による機能性評価の具体的事例、設計・開発部門の思考スタイルが品質工学的に変化した事例紹介で、さらに ㈱リコーの全社組織レベルでの品質工学の取組み状況の紹介がありました。
興味を引いたのは ㈱リコーでの品質工学への取組紹介です。かつて㈱リコーでは いわゆる技術開発の“悪魔のサイクル”に陥って、“他社の後追いの悲劇”を演じていたとのことです。
そこで1980年代の終盤に “統合的設計生産革新(TSS)活動”を 導入し、改革を開始。この時の理念は、①多様な顧客ニーズは取り込む ②部品の多様化は排除 ③企画から生産まで一貫管理 ④部門間連携して統合的活動 でしたが、その結果 生まれたのが コア・コンピタンスをベースにしたプラットフォーム戦略だったとのことです。つまり 長谷部氏のおっしゃる喩えによれば 従来の一品対応のにぎり寿司方式から、中華そばのトッピングや料理法を変えることで、顧客の多様な要求に応えるという中華料理方式を採用したということです。このようにプラットフォーム構築の上で 極力 技術のモジュール化により 部品集約化に成功し、大幅なコストダウンに寄与できたとのこと。また、これにより “他社の後追いの悲劇”から脱却でき、業界初の新製品が 続々誕生し、収益改善にも効果があった、ということでした。
そこへ肝心の品質工学採用も組織化したので、その効果も大いにあったとのことです。この場合 技術者の教育が重要で 品質工学が組織の方針にリンクできるようになってきたとの報告でした。
今後は さらに 品質工学の基本を徹底し、問題解決型というか 試作→評価→対策の繰返しの愚を 脱し、技術の持つ本質(DNA)の 見極めと ロバスト性の確保を先ず行い、その上で チューニングにより商品化 即ち スペック決定という商品設計を 行う、フロントローディング型技術開発を ドンドン目指して行きたいということでした。つまり、この逆の試作や実験の むやみな増加は 技術の空洞化を生む “悪魔のサイクル”に陥る結果になるだろう。そして この“悪魔のサイクル”は かなり深刻な影響を及ぼすだろうと警告されていました。
この技術の空洞化の原因の説明については 前回紹介した長谷部氏の著書の記述とは 少し 違っています。どちらが 本当 或いは 両方とも 本当なのでしょうか。
また この講演でも、長谷部氏は “技術経営”は“品質工学”と“品質管理” による両輪の駆動(TQM=QE+QC)であるという基調でしたが、これに対して品質工学会副会長の原和彦氏が “なまぬるい。品質工学だけでやれる。”と 強い調子で主張されました。つまり 徹底的に品質工学を使って 良い製品ができれば、極端な話ですが 検査不要となり、品質管理も不要だという議論です。逆の 言い方では “いくら検査しても、市場でトラブルを起こすような製品が出てくるようであれば、その検査は やるだけ無駄。”という 発想です。つまり 品質工学で 技術の本質を把握すれば それで全ては判るものだという“思想”が 背景にあります。
ですが、出来上がった製品の検査は 不要だと言うのは 私は いささか極論のような気がします。
つまり、どんなに誤差因子を組み込んで 技術のロバスト性(頑強さ)を 確保できたと言っても それでも 見落としは 必ずあるようにあると思われるし、思わぬ特殊要因、時代の変化 等々 様々な環境変化で 思わぬ要因の出現は 有りうると思うからです。
こう考えるのも 私のタグチ・メソッドへの理解が 浅いためなのでしょうか。
ここで、前回 ご紹介した本の著者、長谷部光雄氏が 講演されました。
その内容は 品質工学の必要性の一般論 と 品質工学による機能性評価の具体的事例、設計・開発部門の思考スタイルが品質工学的に変化した事例紹介で、さらに ㈱リコーの全社組織レベルでの品質工学の取組み状況の紹介がありました。
興味を引いたのは ㈱リコーでの品質工学への取組紹介です。かつて㈱リコーでは いわゆる技術開発の“悪魔のサイクル”に陥って、“他社の後追いの悲劇”を演じていたとのことです。
そこで1980年代の終盤に “統合的設計生産革新(TSS)活動”を 導入し、改革を開始。この時の理念は、①多様な顧客ニーズは取り込む ②部品の多様化は排除 ③企画から生産まで一貫管理 ④部門間連携して統合的活動 でしたが、その結果 生まれたのが コア・コンピタンスをベースにしたプラットフォーム戦略だったとのことです。つまり 長谷部氏のおっしゃる喩えによれば 従来の一品対応のにぎり寿司方式から、中華そばのトッピングや料理法を変えることで、顧客の多様な要求に応えるという中華料理方式を採用したということです。このようにプラットフォーム構築の上で 極力 技術のモジュール化により 部品集約化に成功し、大幅なコストダウンに寄与できたとのこと。また、これにより “他社の後追いの悲劇”から脱却でき、業界初の新製品が 続々誕生し、収益改善にも効果があった、ということでした。
そこへ肝心の品質工学採用も組織化したので、その効果も大いにあったとのことです。この場合 技術者の教育が重要で 品質工学が組織の方針にリンクできるようになってきたとの報告でした。
今後は さらに 品質工学の基本を徹底し、問題解決型というか 試作→評価→対策の繰返しの愚を 脱し、技術の持つ本質(DNA)の 見極めと ロバスト性の確保を先ず行い、その上で チューニングにより商品化 即ち スペック決定という商品設計を 行う、フロントローディング型技術開発を ドンドン目指して行きたいということでした。つまり、この逆の試作や実験の むやみな増加は 技術の空洞化を生む “悪魔のサイクル”に陥る結果になるだろう。そして この“悪魔のサイクル”は かなり深刻な影響を及ぼすだろうと警告されていました。
この技術の空洞化の原因の説明については 前回紹介した長谷部氏の著書の記述とは 少し 違っています。どちらが 本当 或いは 両方とも 本当なのでしょうか。
また この講演でも、長谷部氏は “技術経営”は“品質工学”と“品質管理” による両輪の駆動(TQM=QE+QC)であるという基調でしたが、これに対して品質工学会副会長の原和彦氏が “なまぬるい。品質工学だけでやれる。”と 強い調子で主張されました。つまり 徹底的に品質工学を使って 良い製品ができれば、極端な話ですが 検査不要となり、品質管理も不要だという議論です。逆の 言い方では “いくら検査しても、市場でトラブルを起こすような製品が出てくるようであれば、その検査は やるだけ無駄。”という 発想です。つまり 品質工学で 技術の本質を把握すれば それで全ては判るものだという“思想”が 背景にあります。
ですが、出来上がった製品の検査は 不要だと言うのは 私は いささか極論のような気がします。
つまり、どんなに誤差因子を組み込んで 技術のロバスト性(頑強さ)を 確保できたと言っても それでも 見落としは 必ずあるようにあると思われるし、思わぬ特殊要因、時代の変化 等々 様々な環境変化で 思わぬ要因の出現は 有りうると思うからです。
こう考えるのも 私のタグチ・メソッドへの理解が 浅いためなのでしょうか。
コメント ( 17 ) | Trackback ( )
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第一式おもしろい着想ですね。経済学のホットな話題として財政均衡主義と現代貨幣理論(MMT)の競合モデルなんてものはできないのでしょうかね。