The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
JRCAによる環境マネジメントシステム審査員講演会・大阪に参加
先週、環境マネジメントシステム審査員への日本での公式の講演会があり、参加した。この講演会、実はこれまで一般社団法人産業環境管理協会の環境マネジメントシステム審査員評価登録センター(CEAR)が実施していたのだが、2019年10月1日より、一般財団法人日本要員認証協会(JRCA)へ審査員登録事業が移管されたため、今年度からこのJRCA主催の講演会となった。
場所:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)ホール
講演:「中小企業に役立つマネジメントシステムの構築と運用(環境・品質ISO)」・関根修一氏
連絡事項:「JRCAからのお知らせ」・加藤真一JRCA所長
取上げられたテーマは、ISOマネジメントシステム普及のネックが中小企業にあるとの認識で、これまでも何度も取り上げられたテーマだ。2015年版のISO規格は、企業経営に役立つように改訂されたはずだが、それが十分に活かせていない何故か、なのだが聴衆側にもあきらめの雰囲気が漂う。ゴタクのオンパレードだろうと思いつつ、CEARからJRCAへの変化で何か変わった話がありや、との淡い期待もあり、出かけた次第だ。それでも講演で気付かされた項目数点があったので、まとめてみた。
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役人怠慢国家―ISOに不適合な政府組織・そしてアホノミクスはウソノミクスへ
日本の役所は一体どうなっているのか。このところ同じような投稿記事になっているが、憤りを禁じ得ない。先週末は次の3つの事案が大きく報道された。
①厚労省の基幹統計作成の手抜き②野田市の児童保護の不徹底③明石市長の激昂・パワハラの原因(7年間の道路工事遅延)
いずれも役人の怠慢が背景にある。これら不祥事にはいずれもマネジメント不足を強く感じる。そしてISO規格要求事項への不適合性を見た。肝心な行政プロセスでISOの要求事項を満たせるような機能が働いていない。日本の行政機関はISO審査をすれば不適合組織ばかりではないか。事実、名だたる大都市でも一時あったISO認証取得の動きがとまり、或いは返上が続いている。こうして役人の怠慢による統計詐称の不法行為でアホノミクスはウソノミクスになった。 . . . 本文を読む
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“ISOは悪意の意図に対して無力”で良いのか
先週末に行われたISO研究会で“ISOは悪意の意図にたいしては、無力なので考慮しない。”との発言があった。それに対し、私は “悪意を排除できない規格は、規格としての意味をなさないのではないか。”と考えたが、 “その時は、極論を言えば認証取り消し”という伝家の宝刀を抜き放つこともできる。しかし、 “認証取り消し”は極限的処置となり、その後はその組織とのコミュニケーションは絶たれてしまう。それで良いのかという問題が生じる。
振り返って見れば、ISOの目的は、組織の品質や環境のマネジメント・システムが有効に機能させるためにある。ISO審査はシステムが有効に機能しているかを見るためにやっている。要は、そこに被審査組織と審査員の間の信頼関係があって然るべきことなのだろう。信頼関係があればこそ、“悪意の意図”などあり得ない。あったとしても、無意識或いは無邪気な“悪意”でしかない。 . . . 本文を読む
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“リスク”の語義について
実は、先週一般聴衆を相手に講演を行った。内容は改訂ISO9001の“リスク及び機会”に対応するためには“バランス・スコア・カード活用”すれば容易であることを示すものだ。その準備で、この猛暑の夏は大変だった。中でも“リスク”の語義を説明するための調査で図書館の資料を渉猟するのに、若干苦労した。今回はその成果を紹介したい。
“リスク risk”という言葉の語源には諸説あるとのことだが、良く言われているのはイタリア語の risicare が語源ということだ。このrisicareは、動詞として“断崖間を航行する navigate among the cliffs ”と言う意味であり、そこから“危険を冒す run into danger ”という意味に変化したとある。そして、大航海時代までに、イタリア語・名詞形rischio,risco→フランス語risque→英語riskと変化したとある。つまり、“危険を冒して航路の発見や開拓によって巨万の富を得た。”という含意が、“リスクrisk”にはある。目的を達し利益を得るか 失敗するか分からない “自らの選択した結果の 不確実性 uncertainty”を意味している。要は不確実性に積極的に立向い、利益を獲得するという積極性を強調した言葉として理解するべきなのだ。
しかし、ISO9001:2015 の0.3.3項には怪しいと考える解説が記載されているが、いかがだろうか。 . . . 本文を読む
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ISO14001の規格改訂説明会にて聞いた議論
先日、環境マネジメントシステム審査員の仲間内の会で、“研修”と称してISO14001規格改訂の内容説明があった。ここで気になったのが、どうもその説明者の特殊事情だと思われるが、ISO14001の運営は顧客を強く意識して行われるべきであると言う偏った意識に凝り固まっているのが気になった。今回は、それを反面教師としてテーマに取上げてみた。それから、ISO9001とISO14001との統合システムを指向するのが当然との雰囲気が、この会で蔓延している印象だったので、ここでは実際上も原理上も無理があることを、明らかにしておきたい。 . . . 本文を読む
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改訂されたISO9001の“リスク”概念に見る規格の方向性の矛盾
久しぶりのISO9001についてだが、2015年9月15日付でこの規格が改訂され既にJIS化されている。このブログの元をなすはずのこの規格について、そろそろコメントしなければならない時期だろうが、サボリ体質が習いとなってしまっていって、申し訳ないが未だ全体像をしっかり把握していない。そこで今回は、従来から懸念表明していた この規格が取り扱う“リスク”の側面に関連して思うところを述べてみたい。
何だかんだ ここで言って居るが、要するにISOマネジメント・システムに向き合う時は、自分自身で良く考え、審査員の批判を恐れず衝突するようであれば論理立てて論争して頂きたい。とにかく、何が“正解”なのかは当座は分からない。持続可能性を保持し続けることで、結果として正解であったと後から言えるだけなのだ。勿論、その局面で一時的に間違うこともあるかも知れないのだが、存続しているということは途中で気付き引返して正解を手中にしたのかも知れない。生き残っていること、それが正解の証だと思うべきではないか。 . . . 本文を読む
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“日本企業のパフォーマンス”に思う―超ISO的視点?
先週半ばは、東洋ゴム工業㈱の免震ゴムの性能偽装問題で報道がにぎわった。その後は㈱東芝の不正会計処理。電力会社の原発回帰、タカタのトップの説明責任への疑問。日本の株価が上昇する過程で、企業不祥事が目立つのはいかがなものか。外国人投資家の長期投資に期待したいが、こんな状況で日本企業の改革が進んでいると認められるのであろうか。
こういう企業の背景には社内の力学政治のみに長けて、その勝者となっただけのトップ・マネジメントばかりいるということがないだろうか。目前の内部抗争に打ち勝つことや一時的な利益にばかり目を奪われるような規模の小さな経営者、否 政治家もそうだが、そういう人材が日本を牛耳っているのでは日本の将来は無い。何だが、それが日本の実態であるような気がしない訳でもない。 . . . 本文を読む
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“リスクと機会”の解釈をめぐって―特にISO9001において
2015年は品質と環境のISO両横綱が改訂される予定となっている。今回はISO9001の改訂案文DISを元に“リスクと機会”という文言についての議論をテーマにしたい。
これまで改訂文案を検討したことが多少あったが、印象として具体的に何をどうすれば良いのか不明な要求が多い印象だ。つまり具体的に何をしていれば、要求事項を満足していると言えるのか判断が難しい要求事項が多いように感じる。従って、審査員の立場からは確実な運営状況をどのようにして確認し、適切な運営が行われているとの確証をどんな証拠で得れば良いのか、考え込んでしまう事項が多い。
そういう事例として“リスクと機会”の文言解釈にも問題が認められるように思うので、ひとまずこの言葉の解釈について取り上げたい。この言葉の何が問題かというと、その解釈が様々にあって人によって全く異なる理解となっていることだ。規格で使用される文言に様々な解釈が存在すれば、審査側と被審査側との間で強い軋轢が生まれる可能性があり、“審査”という活動が成立しなくなり、ひいては規格の意味をなさなくなる可能性があると言うことである。 . . . 本文を読む
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KES系規格の2015年度改訂について
久々にシステム・マネジメント規格についてのコメントをしたい。というのは、今年に入って 簡易環境マネジメント・システムの京都発の環境システム・マネジメントのKES系規格の改訂内容がいよいよ明らかになって来たので、その内容を紹介したい。
KES系規格の元になったISO14001の2015年規格が改訂されるため、それに歩調を合わせての改訂と称しているが、改訂の内容はそれほど大幅なものではない。したがって、登録企業にとって改訂に伴う負担増加は、真面目にやって来た組織には大きなものとはならないはずだ。
今回の規格改訂の内容は、“①[取組課題の拡大]“環境宣言”のコミットメントに従来の“汚染の予防”に“環境の保護”を加える。②[環境パフォーマンスの重視]時間的に余裕を持って効果的な改善活動を展開するために“中長期目標(期間原則3年)”を導入する。”である。
しかし実際は、“環境パフォーマンスの重視”の精神が徹底され、審査員の質問内容が規格の本質にかかわって来ているので、審査の実体が厳しくなるものと覚悟するべきだろう。 . . . 本文を読む
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ISO規格における“リスク”について
私の所属する審査員資格保持者の集まりであるISO9001研究会では、半年前程から間もなく改訂されるISO9001のCD(Committee Draft:委員会原案)の読み合わせを行っている。ここで、一つ大きな問題となったのが、“リスク”という言葉の扱いだった。それは、ISO規格共通の章立では“第6章 計画の 6.1リスク及び機会への取組み”が定められているが、この章の表題についてISO31000のリスク定義からは“機会”の言葉は余計で “リスク”の一言で済むはずで、改訂中のISO9001文案は混乱していると見える問題が起きていた。そういう問題に対し、解決策的解釈を示してくれた本を見つけたので、それを今回は紹介したい。 . . . 本文を読む
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