徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

2014/15年シーズンのインフルエンザワクチン、有効率は23% 米CDC

2015年04月08日 21時47分19秒 | 小児科診療
 しばらく前のニュースですが、インフルエンザワクチンの有効率の低さに愕然としました。

■ 今季インフルエンザワクチン、有効率は23% 米CDC
(AFPBB News:2015年01月16日)
【1月16日 AFP】米国の今冬のインフルエンザワクチンについて、全年齢層での医師の受診を防ぐ有効率が23%前後となっていることが、15日に発表された米疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)の早期評価によって明らかになった。
 過去10年間のインフルエンザワクチンの有効率は10%~60%の範囲なので、2014~2015年にかけて使われたワクチンが史上最悪だったわけではない。だが今回の評価結果を憂慮したCDCは、インフルエンザに罹患した患者への抗ウイルス薬の使用を増やすよう医師らに呼び掛けている。
ワクチン効果が十分でなかった原因は、現在の感染流行を引き起こしているインフルエンザA型(H3N2)ウイルスの多数の変異型が、今季のワクチンに組み込まれていなかったためとされている。
 一般に、インフルエンザワクチンの有効性は、65歳未満の健康な人々で最も高い。CDCによると、今季のワクチンは、生後6か月から17歳の子どもで有効率が26%で最も高かった。18~49歳の年齢層のワクチン有効率は12%、50歳以上では14%だったという。


 あ、もっと最近のニュースがありました。
 日本は慎重にウイルス株を選択したけど、やはり有効率は低かったという内容です。
 この記事の中で、日本人のインフルエンザ接種者は5000万人、国民の40%に上ることを知りました。私の印象より高いですね。

■ ワクチン効果低かった? 今冬のインフルエンザ
(2015.4.2:神戸新聞)
 ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかってしまった。今冬はこうぼやいた人が例年より多かったかもしれない。世界保健機関(WHO)の予測と違うウイルスが北半球の流行で主流となったためだ。通常は平均50~60%とされるワクチンの効果が、米国では19%、英国では3%などと報告された。日本は欧米と違うウイルスでワクチンを製造したが、国立感染症研究所の分析では効果が低い可能性が示された。専門家はそれでも「重症化予防にワクチンは重要」と強調する。
 国内のインフルエンザ流行は昨年11月下旬に始まり、今年3月8日までに全国で推定約1395万人が医療機関を受診した。この時期までの累計受診者数は過去4シーズンで最も多かった。
 日本のほか北米、欧州などで流行の中心になったウイルスはA香港(H3N2)型。高齢者が重症化しやすいとされる。

▼遺伝子が変化
 WHOは日本を含む各国の専門家を集めて昨年2月に開いた会議で、今冬のワクチンに加える推奨ウイルス株を選定、欧米はそれに基づきワクチンを製造した。A香港型も含まれていたが、実際の流行で主流になったのは推奨株とは特徴が異なるウイルス。ワクチンの効果が不十分になる恐れがあるため、米疾病対策センターは12月、ワクチンとずれたウイルスが広がっていると医療関係者に注意喚起した。
 日本はワクチン製造で欧米とは違う株を選択した。A香港型は鶏卵を使ってワクチンを製造する過程でウイルスの遺伝子が変化し、ワクチンの効果の低下につながりやすいという問題が指摘されていた。このため感染研の小田切孝人インフルエンザウイルス研究センター長らは、同じA香港型でWHOの推奨株と遺伝的には極めて近いが、製造過程では変化しにくい性質の株を探し出して採用した

▼抗体反応試験
 これでワクチンの効果が保たれることが期待されたが、ワクチンでできた抗体が流行株の増殖を抑えるかどうか各地から集めた80株について反応試験をしたところ、十分な反応が見られたのはこのうちの36%にとどまった。米国がWHO会議で報告した同様の試験の結果は30%で、大きな差はなかった
 米国は患者らを対象にした調査も進め、3月にワクチンの効果は19%との中間報告を発表した。ワクチンの効果は患者の年齢や持病など他の要素にも左右されるため、日本で本格的な臨床研究をしないと正確な効果は分からないが、小田切さんは「抗体との反応試験から推定すると、日本のワクチンの効果も低かった可能性がある」と話す。

▼約4割が接種
 国内のインフルエンザワクチン接種者は推定5千万人超。人口の約4割に上るが、効果をめぐる誤解も多い。感染の完全な阻止はできず、期待できるのは発病やそれによる受診を減らすこと。それも平均50%程度とすると「打ったのにかかった」は当然ある。最も重視されるのは高齢者や持病のある人の重症化リスクを減らす効果で、専門家によると、ワクチンが流行株と一致していない場合でも多少の防御効果はあるとみられる。



 昨シーズンの大阪での検討結果では、もう少し高い有効率が出ています。

小児におけるインフルエンザワクチンの有効性について
(福島 若葉 大阪市立大学大学院医学研究科 公衆衛生学)
2013/14シーズンの大阪府において、 6歳未満児を対象に、インフルエンザワクチンの有効性を評価
 ワクチン有効率:51%(統計学的に有意)
 有効率は、
• 1回接種≒2回接種
• 0-1歳>2-3歳>4-5歳
• A型・B型にかかわらず有効
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