徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

プリント公開「正しい鼻のかみ方」

2014年08月04日 20時30分30秒 | 小児科診療
 プリント公開シリーズ第三弾は「鼻のかみ方」です。

 いつも鼻水をズコズコされている子どもたちがいます。
 漢方薬を飲んでもらうと少しよいのですが、それでもダメな場合や飲めない場合は耳鼻科受診を勧めます。
 すると「副鼻腔炎」と診断され、長期に抗菌薬(=抗生物質)治療が始まり、なかなか薬から離脱することができません。
 やはり基本の「鼻をかむ」指導をしなければゴールに近づけないと考え、プリントを作るに至りました。

<鼻のかみ方>

 ある統計では、鼻を正しくかめる子どもの割合は50%程度だそうです(ちなみにお母さんは60%台)。
 鼻かみは風邪対策の基本ですから、ぜひマスターしましょう。

鼻を “正しく” かむと、こんな効果があります
・中耳炎、副鼻腔炎(=蓄膿症)の治りがよくなり、再発予防になります。
・後鼻漏(鼻が寝ている間に喉に落ちること)による夜間/早朝の咳がよくなります。

3歳近くなったら鼻のかみ方を教えましょう
 1歳半から可能という説もあります。
 ちぎったティッシュを使って、“お母さん(お父さん)と一緒に” 遊びながら教えるのがコツ。
 こどもは「鼻から息を吐いて何かをする」という動作に慣れていません。まず口で息を吐く動作を覚えさせ、次に鼻で息を吐くステップを踏んだ方がスムーズにいくようです。
 最初からうまくできる子どもはいません。しんぼう強く、無理強いせず、繰り返して教えましょう。

鼻かみの教え方:4つのステップ
1.口で息を吹いてティッシュが揺れることをお母さんが実際に見せて&やらせてみましょう。
2.口をぎゅっとしたままフン!、を見せて&やらせて鼻から息を出す練習を。
3.ティッシュを鼻の前にかざしてフン!、鼻息で揺れたら褒めてあげましょう。
4.いよいよ片方の鼻を押さえて「チーン」に挑戦。


※ ちぎったティッシュを丸めて鼻の穴に詰めて「フン!」と飛ばす方法もありますが、間違って奥に入ってしまうと取れなくなるトラブルが発生する可能性あり、お勧めできません。

正しい鼻のかみ方
 調べてみると、以下が“正しい”方法であることが判明。お母さん・お父さん、自身はできていますか?
 ・・・私は全部出し切るまで力まかせにかんでいたので、4が不合格ですね(笑)。

1.鼻をかむ前に、口から大きく息を吸う。
2.口をしっかり閉じてかむ。
3.反対の鼻を押さえて、片方ずつかむ。
4.一度に力まかせにかまないゆっくり小刻みに少しずつかむ。
5.鼻水を出し切るまで繰り返しかむ。


※ 鼻水が固まって出てこないときは、暖かい濡れタオルを鼻の付け根に5分くらい当てたり、鼻の近くで蒸しタオルの蒸気を吸ったりすると通りがよくなることがあります。

悪い見本
× 両方一度にかむ ・・・細菌/ウイルスを鼻の奥に押し込んで副鼻腔炎/中耳炎の原因になります。
× 力まかせにかむ ・・・鼻血が出たり、耳が痛くなったり、中耳炎の原因になります。
× 鼻をほじる   ・・・鼻血が出たり、キズに菌が付いてとびひになる可能性があります。
× 鼻をすする   ・・・細菌/ウイルスを鼻の奥に押し込んで副鼻腔炎/中耳炎の原因になります。

うまくかめているはずなのに鼻水が出てこないとき
 「アレルギー性鼻炎による鼻閉」「アデノイド肥大(イビキを伴う)」などの可能性がありますので、診察を受けましょう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« プリント公開「子どもの鼻血... | トップ | 館林は“ズル林”? »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小児科診療」カテゴリの最新記事