半谷範一の「オレは大したことない奴」日記

B級自動車ライターのカオスな日常

ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、 『捕食者なき世界』 を読みました。 

2012-01-13 10:00:00 | 
アメリカの科学ジャーナリスト、ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、野中香方子訳、 『捕食者なき世界』 を読みました。

生態系のバランスをコントロールし、生物多様性を維持するのに、頂点捕食者の存在がいかに重要な役割を果たしているのか?という問題に対し、大型の肉食獣はもちろん、ラッコやヒトデから古生物に至るまで、様々な例を挙げて紹介するという内容です。



まぁ本書に紹介された説に関してはいまだに賛否両論ある物も含まれていますが、確かにイエローストーン国立公園へのオオカミの再導入などは一定の効果を挙げているようで、その動きはさらに広がりつつあるようですね。


本筋から外れてしまいますが、私が驚いたのは 「イエネコ」 や 「ノラネコ」 が捕食者として、アメリカ国内だけでも毎年十億匹以上のネズミやウサギ、数億匹の鳥を餌食にし、現在までに数多くの野生生物を絶滅に追いやったという話。確かに我が家の周りでも、徘徊している肉食動物といえばネコしか見かけません。


また、この本を読んで、初めて 「シフィティング・ベースライン・シンドローム (基準推移症候群)」 という言葉を知りました。本書の言葉をそのまま借りれば、 「子供の時代に初めて見た世界は、親世代から見てどれほど荒れ果てた世界であっても、その人にとってあるべき世界の基準になってしまう」 とのこと。

“自然のあるべき姿” などについての議論を聞いていると、妙に歯車の噛み合わないような違和感を持つことが少なくありませんでしたが、一人一人の中にある 「基準」 自体が異なっていると考えれば、ある意味当然の事なのかもしれません。
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