「正解のない時代」に自分だけの正解を導き出すための方法として、ビジネスパーソンのあいだで注目されている「失敗学」が、累計162万部突破・大人気「見るだけノート」シリーズに登場。
失敗のプラス面に着目、そこから新しい知識を吸収するためのメソッドを図解で分かりやすく学ぶことができます。
監修者畑村洋太郎が生み出した、失敗を「成長や創造のチャンス」と捉えて活用する珠玉のビジネススキルが2時間で身につく一冊です。
【目次】
Chapter 1 失敗の捉え方を見直す
Chapter 2 失敗を分類し分析する
Chapter 3 失敗を創造につなげる
Chapter 4 創造的思考を鍛える
Chapter 5 組織に活かす失敗学
Chapter 6 事例から学ぶ失敗の教訓
Chapter 7 失敗学を活用して新時代を生き抜く
・「小さな失敗を避ける」のは「大きな失敗への準備」
「小さな失敗を不用意に避けることは、のちに起こりうる大きなしっぱいのための準備をしていることだ」という認識を持たなければなりません。
・「必要な失敗」をも排除する不寛容な社会
失敗の中には「成長のために必要な失敗」というものが存在します。しかし、昨今の社会には、それすら許容しない不寛容な雰囲気が充満しているのです。結果として表面的な無失敗が続き、それはつまり、あるとき大きな失敗が起こる可能性を高めているのです。
・失敗は体験的知識を得るチャンス
どう努力しても失敗は避けられないものですから、それならば真正面から向き合って、「体験的知識」として吸収しようとする姿勢が重要です。
・「失敗=能力のない人」ではない
チャレンジしない人は失敗もしない。
・失敗の原因は10個に大別できる
・未知
・無知
・不注意
・手順の不遵守
・誤判断
・調査・検討の不足
・制約条件の変化
・企画不良
・価値観不良
・組織運営不良
・失敗の経験を6項目で記述する
・事象
・経過
・原因
・対処
・総括
・知識化
・失敗は個人の利害によって歪曲化される
・「3つの現」を調査して失敗を防ぐ
現地、現物、現人(現地の人)
・ライト兄弟
ライト兄弟は「それは我々の特許技術だ」と次々に訴訟そ起こしました。次第に彼らは訴訟に追われる毎日となり、肝心の飛行技術を進歩させる時間と労力が失われてしまったのです。
ライバルたちの飛行機技術が飛躍的に進歩していく一方、ライト兄弟の技術はどんどん時代遅れのものになっていきました。
・「責任追及」の前に「原因究明」を
失敗が起きた際には「誰の責任なのか」という点につい目を向けてしまいがちですが、それよりもまず先にするべきなのは原因の究明なのです。
・「やってみなはれ」が組織に活気をもたらす
パナソニックの松下幸之助氏やホンダの本田宗一郎氏、サントリーの鳥井信次郎氏が口にしていた。
・中途半端な知識は失敗の種になる
トラブルとその解決の歴史を見逃さない
・「想定外」は失敗の言い訳にならない
「想定外のことも起きる」という心構えがある組織と、「想定外のことは起こらない」という前提の組織には大きな違いが生まれます。
・マニュアルは「守るため」そして「変えるため」にある
ただしマニュアルが形骸化しているものだからといって、勝手にマニュアルを破って作業内容を変えてよいといういうことではありません。必ずマニュアル全体の見直しを行った上で、変更をすることが重要です。
・形だけの効率化が招く失敗
1999年に茨城県東海村で日本初の臨界事故が発生しました。その背景には、無茶なコストダウンを図った会社による失態があったのです。
事故当時、JCOの経営状態は苦しく、人件費を半数以下にまで減らす大幅なリストラを実施していました。それに伴う配置転換により、事故当時の現場の作業員3人は、誰も核燃料加工の作業経験がなく、先任者からの知識の引継ぎも行われていない状態。少ない人員の中で何とか仕事をしていくために、作業員たちはマニュアルも読まず、作業効率を上げることを考えました。やがて無謀な作業を許す「裏マニュアル」がつくられ、ずさんな作業が日常化した結果、事故が起きたのです。経営難という事情があったにせよ、JCOが行った効率化は「見かけだけの効率化」、言い換えれば「効率化という名の手抜き」だと言えます。
・自分の頭で考えないことが大失敗を招く
福島第一原発事故では、地下1階に置かれた発電機や電源盤などが浸水したことで大きな被害につながりました。しかし、それらがなぜ地下に置かれていたのでしょう?
実はそこに科学的な理由はなく、設計の見本にしたアメリカの原子力発電所がそうしていたから、それにならっただけだったと考えることができるのです。アメリカの原発が地下にそれらを置いていたのは「強力なトルネード(竜巻)が発生するので、その影響を避けるため」という理由が存在しました。あくまでも本書監修・畑村洋太郎の推測ですが、強力なトルネードとは無縁な日本で、自分の頭で考えずに他人の真似をした結果、大事故を起こしてしまったのです。
・動かないことが失敗になる時代
「従来通りのやり方に固執したことで、時代についていけなくなった」という事態を防ぐためには、時代の変化に合わせて動き続けることが重要です。
周囲が着実に変化を続けているときに「動かない」ことはリスクの高い選択だと言えるでしょう。
・「新しいことを行えばほとんどは失敗だ」「しかし、成長するために必要な失敗である」「というシリコンバレー的発想こそが、日本企業のブレイクスルーに必要なマインドかもしれません。
感想;
インパール作戦、ノモハン事件の失敗の原因究明をしていません。かつ責任者を処罰していません。
それらは失敗というより無謀な作戦だと良識ある人はわかっていましたが、当時の責任は行いました。
そして責任者は生き残り、兵隊さんはインパール作戦で3万人、ノモハン事件で8千人が無駄に戦死しました。インパール作戦ではほとんどが餓死と病気で亡くなっています。
日本は本当に失敗から学ぶことをしていません。
またそれは企業においても言えることかもしれません。
雪印乳業は昭和30年に八雲食中毒事件を起こしておきながら、まったく同じ黄色ブドウ球菌の毒素エンテロトキシンで食中毒事件を2010年に起こし、雪印乳業は今メグミルクとして営業を続けています。
失敗には必ず原因があります。
目先の利益を優先して、後でその利益よりも10倍、100倍の、いや1,000倍、一万倍の損失を招いています。
それはまさに東電の福島第一原発事故にも言えることでした。
「福島第一原発事故では、地下1階に置かれた発電機や電源盤が地下に置かれていたのは、米国はトルネード対策でまったく意味がなかったのです。
福島第二原子力発電所、女川原子力発電所ではそんな馬鹿な設計はしていませんでした。」
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まさに想定外ではなく、対策をサボっていたというか、先送りしていたのです。
設計時だけでなく、その後も福島第一原発が地震時のリスクが一番高いとの調査がされていましたが、東電は目先の利益を優先するためにその対策をしなかったのです。
それにより、わずかな東電の利益確保のために、目先の100億円の津波対策をけちって、2023年12月時点で23兆4000億円の費用がかかっています。避難者への補償など含めるとさらに大きいです。廃炉の見通しもついていません。経済的な損失を含めると100兆円を超えるかもしれません。さらに増え続けています。
賠償や廃炉、除染などの事故処理費用の総額は1兆9000億円増の23兆4000億円となった。
失敗を恐れずにチャレンジする。
失敗を隠すことではなく、失敗から学んで次の大きな失敗を防ぐ。
なぜ失敗したのかを個人の責任追及ではなく、原因をとことん追求して、そしてその問題を解決して次に進む必要があります。
これは国の政策、企業の実践だけでなく、個人にも言えることなのでしょう。
失敗してはいけないと思うと逆に失敗をしてしまいます。
あるいは何にもチャレンジしなくなります。
失敗を恐れて何もチャレンジしないことは、人生における一番の失敗なのではないでしょうか。
失敗を恐れることより、失敗を恐れてチャレンジしないことを恐れるべきであり、失敗したらそこから学んで次に生かせば良いだけだと、自分に言い聞かせチャレンジすることだと思います。
に関する本を読み、それをセミナーでも紹介しています。
失敗を”過去問”として、その過去問から学ぶことがとても重要で、これから起きるミスを減らすのです。
ある失敗学の先生が、「失敗から学び、きちんと対策をしていれば、これから起きる失敗の9割は防ぐことができる」と本に書かれていました。
その通りだと思います。しかし、企業は”過去問”からの学びが弱いように感じています。
セミナーではできるだけ、過去問を具体的に紹介して疑似体験からの学びをしてもらうようにしています。
野中郁次郎氏先生の「知の創造」での暗黙知と形式知です。
形式知を過去問を学ぶことをとおして自分の暗黙知とすることが重要になります。
かつ起きたことを形式知にしていくことも大切です。
下記に失敗に関する本で学んだ一部を掲載しています。