・システムの安定性が損なわれるために起こる事故
①社会的要因
②自然要因
③技術要因
④計画要因
⑤人的要因
・リスクを下げる
①“ひどさ”へのアプローチ 除去、緩和
②“発生率(遭遇率)へのアプローチ
・隔離
・制御
・注意喚起
除去、緩和、隔離、制御、注意喚起の順
不安全行為 意図しない行為 スリップ(slip)
ラプス(lapse)
ミステイク(misutake)
意図した行為 ミステイク
違反(violation)
①omission error 必要なタスクやタスクステップを行わない(し忘れ、やり飛ばし)
②commission error タスクは行っているが違うことをした(やり間違い)
③extraneous error 本来すべきではないタスクや行為を、タスクの中に挿入している(余計なことをする)
④sequential error タスク遂行の実施手順が違う(順序間違い)
⑤time error すべきことのタイミングが早すぎ、遅すぎ(タイミングが悪い)
・原因から見たエラー分類
①人間の能力の限界に起因するもの
無理な相談、できない相談
②人間の知覚・認知特性に起因するもの
・不注意
・錯誤
・失念
③教育訓練不足に起因するもの
・知識不足
・技量不足
④コミュニケーションに起因するもの
・伝達忘れ
・不適切伝達
⑤意図に起因するもの
違反;怠慢、手抜き、軽率
・レジリエンスを構成する四つの能力要素
①anticipate(予見する)
②monitor(監視する)
③respond(対処する)
④learn(学習する)
・レジリエンスのためのマネジメント
・変動の予見がなされていること
・レジリエンスのための高い資質を有すること
①よい知識
②よいスキル
・technical skill 専門スキル、いわゆる”技量“
・procedural skill機材の正しい使用法等のスキル
・non-technical skill 気づきヤコミュニケーションなどのスキル
③よい態度 変動を恐れずに、前向きに、責任感をもち対応していく態度
④よい心身の健康 心身の健康状態が良好であること
⑤適切なリソースがあること
・ユーザビリティ
①使用性(usability)
②有効さ(effectiveness)
③効率(efficiency)
④満足度(satisfaction)
12歳未満の子どもへの救命胴衣着用岐阜規定がある。
救命胴衣を着用させると熱中症になってしまう(船頭)
⇒現場での実行可能性を保証しなくてはならない
その保証をせずに規定だけを現場に押しつけると、管理側への不信感につながる。
・違反の分類
①日常的な違反(routine violation)
ある仕事をおこなうときに手順をショートカットしてしまう。制限速度を多少上回って自動車を運転してしまうなど、日常的に見られる違反。
②最適化するための違反 (optimizing violation)
単調な業務などにおいて退屈を紛らわすために、興味本位に禁止行為を行ったり、スリルを味わう行動をとってしまう。
③意図しない違反 (unintentional violation)
手順が複雑であったり、曖昧なdところがあるために、混乱、誤解して起こしてしまう違反。ミステイクともいえる。
④状況的違反 (situational violation)
タイムプレッシャー、監督や指導不足、業務に必要なリソース(道具や資材など)の不足により起こしてしまう違反、組織的な問題の結末ともいえる。
⑤必要な違反 (necessary violation)
緊急時など、通常とは異なる状態に陥ったときに、規則から逸脱しないと仕事が行えないため、違うやり方を取らざるを得ないときの違反。Exceptional violationともいわれる。
これらは、私たち自身も大なり小なり経験をしたようなことである、違反した本人が悪質であったともいえない。つまり、違反は人間の性質そのものに由来するものといえる、しかしそうはいっても、安全上、やはり違反は困るのである。
餌を食べているスズメ集団では、見張りスズメが周囲を見張っている。猫の襲来などを見張っているのだろう。見張りはどんなに空腹でも見張りに専念することで、ほかのスズメは、安心して餌をついばむことができる、ただし、耳は見張りスズメに向けていなくてはだめである。
第一世代;CRM(Cockpit Resource Management)
コックピット内の機長と副操縦士の関係に注目し、”僕がルールブック“、”職人肌“の機長の意識改革、コックピット内で発揮すべき適切なリーダーシップなど、個人の行動改善、対人マネジメント能力に力点がおかれた。
第二世代;チームの時代
個人の行動からチーム力へと考えが拡張し、Crew Resource Managementと言い方が変わった。
第三世代;CRM対象の拡大
客室乗務員、整備士、地上管制官など、運航にかかわる全員が対象となり、チーム力で安全を求めていくことを目指すようになった。
第四世代;CRM訓練・手順の整備
飛行訓練にCRMが取り入れられ、審査対象となった。
第五世代;エラーマネジメントのためのCRM
エラーを断ち切る手段としてCRMが位置づけられるようになった。
第六世代;TEM(Thereat and Wrror Management)のツールとしてのCRM
・CRMスキル構成
①コミュニケーション
情報の伝達と確認、ブリーフィング、安全への主張
②意志決定
解決策の選択、決定の適用、決定・行動のレビュー
③チームの形成・維持
業務の主体的遂行、チーム活動に適した雰囲気・職場づくり、意思の相違の解決
④ワークロード・マネジメント
プランニング、優先順位づけ、タスクの配分
⑤状況認識マネジメント
状況の把握・認識の共有、警戒、予測、問題点の分析
①threat management;脅威の存在に気づき、それを避ける
②error management;脅威の存在に気づき損ねると、脅威に遭遇することになる、これがエラーである、エラーが生じたら、エラーが事故へと拡大することを食い止める。
③undesired state management;エラーをうまく回避できないと望ましくない状態に陥るそれをうまく乗り切れないと、事故になる。
①現状把握;どのような危険が潜んでいるか
②本質把握;これが危険のポイントだ
③対策樹立;あなたならどうする
④目標設定;私たちはこうする
・望まれない態度
①ルールや規則を守らない態度
②軽率な態度
③安全を置き去りに頑張ってしまう態度
④情報共有をしない態度
⑤チームワークを妨げる態度
住民(38名といわれる)が窓を開けて様子をしったにもかかわらず、誰一人、助けに入らず、警報にも通報しなかった結果、(暴漢に襲われた)彼女は死亡してしまった事件があった。
・多元的無知;積極的に行動する人がいないことで、緊急事態とは思わない
・責任分散;他者と同じ行動することで責任が分散されると思う
・評価懸念;自分が積極に行動を起こすことに対して、周囲から否定的な評価が与えられるのではないかと思う(いい子にんるな、ということである)
・隠す形態
①無知
②生じた不都合を隠す
③隠して不都合なことを行う
・隠すモデル
①隠すこと;隠すことが存在しなければ、隠す行動は生じない。
②隠す相手;ペナルティを与える立場にある人であり、多くの場合、自分より上位の立場にある人となる。
③予見されるペナルティ;ペナルティが大きいと見込まれるほど、隠す。
④隠す利益;隠すことで業務が早く進むなどの利益があるほど、隠す。
⑤隠し通せる自信;密室職場、監査の不存在など、隠せる自信があると、隠す。
⑥報告への正報酬;率先して報告すれbペナルティが軽減されるなどの報酬があると、隠さない。
⑦報告制度と基準;報告るーるが確立され報告基準も明確であれば、隠さない、それが不存在、不明確だと、グレーゾーンは隠される傾向にある。
このうち、もっとも重要なポイントは、“ペナルティ”である、ペナルティが与えられなければ、隠す必要性が生じないからである。
⑧外的ペナルティ;自分の周囲の人や社会から与えられるペナルティ
・隠す相手から与えられる懲罰、降格、罰金、懲戒など
①間接的ペナルティ;慨嘆の声、白い目で見られるなど
②内的ペナルティ;恥ずかしさ、自分に期待をかけてくれていた人に対する申し訳のなさ、相手に迷惑をかけたくないなど、自分自身の気持ちとして自分に向けられるペナルティ
・隠すことの生じやすい職場
①隠しやすい職場
・密室職場
・監視、関心が行き届かない
・専門性が高く、他者にはわからない業務を行っている
・行動や行為が記録されない
②隠しやすい管理
・記録を取らない、手書きなど容易に改竄できる記録媒体に記録している
・報告基準が曖昧である、報告すべきことが明示されていない
・報告ルートが整っていない、報告先が決められていない
・監査が入らない、形骸化している
③企業や職場風土
・団結が強すぎる(報告することが裏切りとされる)
・秘密にすることで仲間意識を保とうとする
・プライドが高い(恥を嫌う)
・上司に恥をかかせたくない、会社を守りたい
・互いに相手に無関心である
・報告したところでどうにもならない
・ヒューマンエラーは非懲戒
To Err Is Humaであるから、ヒューマンエラーを懲戒する意味は乏しい。そこでヒューマンエラーを非懲戒する企業も多い。そのかわりエラーを早期に報告させて、再発防止に役立てることが重要である。
・行動変容ステージモデルの段階
①無関心期;安全行動のメリットを知り、現在の自分はよくないこと気づかせる、また自分緒与える周囲への悪影響を考えさせる
②関心期;安全行動をしていない自分をネガティブに、安全行動をしている自分をポジティブにイメージさせる
③準備期;安全行動を行うことに自信をもたせ、安全行動をとるkとおを周囲に宣言させる
④実行期・維持期;安全行動を継続していくうえで、周囲からの支援や活動のしやすい条件を整え、安全行動を行っていることに対して、正の報酬(例;賞賛や、報酬)を与える
・安全防護
①ハードによる防護
②制度による防護
③現場力による防護
④システム設計の信頼性理論(信頼性の高いシステム構築)
・フェイルセーフ(fail safe)
システムにおいて不具合(故障、破損など)が発生したとき、つねに安全側に制御(停止)させること
・フォールトトレラント(faut tolerant)
不具合発生時にもシステムが通常を同じく機能し続けることが求めらえる場合に、冗長性(並列複数化)をもたせておくこと
不具合を起こした箇所をシステムから切り離すことにより、システムが機能低下を起こしても機能が継続する設計(縮退運転)のこと
①フォールトマスキング(fault masking);不具合を起こした箇所をシステムから切り離し、影響がシステム全体に伝播しないようにすること
②多重防護(defense in depth);深層防護ともいう、ハザード(危険要素)が確認中に、防護壁を複数準備し、行く重にも覆うこと、仮に一つの防護壁が破られても、ほかの防護壁で事故は食い止められる
③共通要因故障(Common Cause Failure ;CCF);フォールトトレラントや多重防護していても、ある共通の要因によってそれらの機能がすべて損なわれてしまう事態のこと
④多様性(diversity);多様な個性によってシステムを構成すること、共通要因故障の回避につながる
・健全なダブルチェックのデザイン
①それぞれのチェックが依存しあわないこと
②チェックの多様性が考慮されること
③それぞれのチェックに十分な時間が与えられ、健全になされること
④チェックすべきことを明らかにし、それに見合った人を割り当てること
・表層チェック;比較照合であり、指示板とぶっぴんとの一致を確認するようなもの、名称(識別子)を意識して読み、確実に突き合わせることでチェックされる
・論理チェック;“薬剤Aと薬剤Bとは同時服用は禁忌である”、“文章の末尾は「、」でなく「。」でなくてはならない”んどという論理性をチェックするもの、チェック対象に対する知識が必要であり、初心者には務まれない
・文脈チェック;“あの機械にこの部品を装着するのはおかしい”、“この患者にこの薬剤を投与するのはおかしい”というように、対象状況の理解が必要となるもの、対象にかかる理解、知識がなけれあ務まらない
チェックを行う場合には、何をチェックする必要があるのかを明確にし、チェック内容にふさわしい人を割りあてる必要がある。ベテランは文脈、論理チェックは得意であるから、それい優位が引きずられて表層チェックに見落としが生じることがある
⑤チェック基準が明確であること
⑥チェック時間帯を考えること
覚醒水準の下がる未明や、繁忙時間帯のチェックは避けることが望ましい
⑦本当にダブルチェックの必要性があるのかを考えること
リンゴが腐ったのは腐るような場所であったからだとすれば、その場所を改めない限り、別のリンゴを配置してもやがては腐ってしまうだろう。
・
シラバス;教育訓練モデルに基づきたてられた教育訓練計画をまとめたもの
・主題
・受講生の到達目標の明示
・その教育を受けることで”何ができる“ようになるか
・受講の前提条件
・前提となる知識や技術、態度
・学習すべき具体的コンテンツの明示
・学習すべき題目と、題目ごとの到達目標
・授業の方法
・成績評価の方法
・到達目標のクリア度をどのように測定するか
・他の分野との関係性、相補性
・参考情報
・自主的に読むべきテキスト、情報源、自主課題など
・
I’M SAFE;航空機の運航乗務員が、自分が運航にてきするかどうかをチェックするときのポイントを並べたものである。
・病気
・薬物
・ストレス
・疲労
・栄養
・HALT(立ち止まる、停止する、ためらう、不完全であるといった意味の動詞)
・H 空腹
・A 怒り
・L 遅れ
・T 疲労
・安全文化を支える四つの文化
①公正な(正義の)文化
②報告する文化
③学習する文化
④柔軟な文化
・レベル5 発生的
4 前向き
3 計算的
2 後追い
1 病的
①ドミノモデル
②機能共鳴型モデル
③疫学的モデル
感想;
知らないことが多くありました。
この本は安全管理の視点でエラーや事故をとりあげています。
SOP違反とか不正なことをしてはいけないということはその通りで、それを責任者は言いますが、「ではなぜ不正なことをしてしまうのか?」とそこを考えていないことが多いように思います。この本にはなぜ人が不正なことをするか?そしてそれを防ぐにはどのようなアプローチがあるかを紹介しています。
なぜなぜ分析での1つ目のなぜで対策を行うことが多いですが、この本はなぜなぜなぜと3回尋ねての対策のように感じました。
「腐ったリンゴ」
腐ったリンゴを取り出す、あるいは腐ったリンゴの対応をしますが、なぜリンゴが腐ったのか? それはその人特有の問題なのか、職場、マネジメント、組織文化、会社のトップの考え方なのか、そこを追求が弱いように思います。
「見張りスズメ」
知らなかったです。
動物から学ぶことがまだまだあるようです。
ワイルドライフ見ていたら、カラスがカワウソの取った魚を横取りしようとあの手この手がやっていました。
2匹のカラスがペアになって、1匹のカラスが、カワウソの好きそうな木の実を落とします。もしカワウソがそれに目が行った隙に、もう一匹のカラスが魚を横取りする作戦です。
しかし、上手く行きませんでした。
そこでカラスは、カワウソの体を突きます。何度も、でもカワウソは魚から目を離しません。
とうとうカラスは強引に横取りして魚の一部を奪います。
カワウソは、ここに居たらカラスに魚を取られると思い、カラスが来ない所へ魚をくわえたまま移動しました。
動物でさえ、いろいろ考えるのですから、私たちもどうすればエラーを減らすことができるか、考えたいものです。
それとも考える時間がないほど忙しいのでしょうか。
どんなに忙しくても創意工夫のための改善のための学びと実践の時間は持ちたいものです。仕事の未来のために、自分の未来のために。その結果が組織の未来につながります。
そのためにはまずは「考えるツール」としての知識を身につけることが必須だと思いました。