平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

それでも、生きていく~人を好きになると、その人から心をもらえる

2011年09月02日 | その他ドラマ
 文哉に足りないもの。それは<心>。
 <心>とは、他人と共感する力。他人の痛みを感じる力。

 双葉(満島ひかり)の共感する力はすごい。
 ぬいぐるみが破れていることに気づき、草間母子の記念植樹に涙する。
 草間一家に共感できるから文哉に「命を奪ったらもう償えないんだよ!」と叫べる。その叫びは世間体とか、家族だからといったものではない。まさに心の底から振り絞るような叫び。

 文哉に、双葉のような他人の痛みを感じる力があれば……。
 共感できなくても、理解しようとする気持ちがあれば……。

 文哉は叫ぶ。
 「お兄ちゃんは可哀想なんだよ」「また僕を見捨てるんだ? また捨てるんだよね、邪魔だから」「僕はどこに寝ればいいの?」
 他人から拒絶されて、世界に居場所がない文哉の苦しみはわかる。
 だが……、それで心を閉ざし、世界を敵だと思って破壊しようとするのはどうだろう?

 双葉は強い。
 「自分のことを恨んでいるんだろう?」と文哉に聞かれて、「恨んでなんかいない。苦しかった」と答える。
 ここで文哉を恨んでしまえば簡単だ。「どうしようもないやつ」と思って、心から消し去ってしまえばいい。
 だが、双葉は向き合い、苦しむ。信じようとして、裏切られて、さらに苦しむ。
 そんな道を選んだ。
 一方、文哉は弱い。
 父親に裏切られて(←そのすべてはまだ語られていないが)、心を閉ざし、世界を憎んでしまった。世界を破壊してしまった。

 今回のラスト、洋貴(瑛太)は双葉にこんな伝言を残した。

『心は大好きな人からもらうもの。
 人を好きになると、その人から心がもらえる。
 復讐よりも大事なものがある』

 文哉に救われる道があるとすれば、<人を好きになる>しかない。
 好きになるのは具体的な人でなくてもいい。本の中の人でも、映画やドラマの中の人でも。
 ともかく誰かを好きになれば、心をもらえる。
 それで世界と和解できる。

※追記
 文哉が亜季ちゃんを殺して、湖に浮かべたのは<美しい世界>を作りたかったからだろう。
 画家はカンバスに描いてそれを実現しようとするが、文哉は現実でそれを実行してしまった。
 文哉は、もっと絵を描けばよかったのに。


コメント
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