平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

アイリス~アクションとメロドラマの見事な融合!

2011年09月20日 | テレビドラマ(海外)
 遅まきながら『アイリス』を連続視聴。
 『24』なんかもそうですが、こういう作品はイッキ見に限る。最高にぜいたくな気分になれる。

 物語は上手いですね、作劇が。
 サスペンス・アクションの要素とメロドラマが上手く融合している。
 メロドラマの部分は完全に『冬のソナタ』。
 チュンサンとユジンが運命に引き裂かれるように、この作品でも主人公ヒョンジュン(イ・ビョンホン)とヒロイン・スンヒ(キム・テヒ)が引き裂かれる。
 引き裂かれる原因は、南北朝鮮の対立と謎の組織アイリス。
 ヒョンジュンとスンヒは、相手が死んだと思い込み、その幻影を追い、すれ違い、再会すれば敵同士になり、恋のライバルが登場し、波瀾万丈のメロドラマを展開していく。
 そして僕は、こういったメロドラマが嫌いではない。むしろ好きだ。
 メロドラマは山あり谷ありのあざといドラマを見せてくれる。「こんなことあり得ない。大ウソだ」と思いつつも見てしまう。
 ドラマは嘘なのだから、これくらい力業で大ウソを見せてくれると気持ちがいい。逆に変に気取って、リアリティを追求し、何も起こらないドラマなんかより数倍いい。
 日本のドラマには、こうした荒っぽい力業で見せるドラマが少なくなってしまった。
 愛憎渦巻くガチガチの感情が描かれなくなってしまった。
 だから韓流が支持される。

 たとえば、こんなシーンが凄い!
 第5話、ブタペストの町を北朝鮮の工作員に追われて逃げるヒョンジュンとスンヒ。
 だが途中、スンヒの乗った車が爆破・炎上。
 恋人の死を目の当たりにして(←実際は生きていたのだが)ショックのヒョンジュン。
 敵が彼を見つけて、銃弾が体を貫いても、ヒョンジュンは痛みを感じないし、倒れない。
 なぜなら恋人スンヒの死の方が痛いからだ。
 ショックのあまり彼は銃弾の痛みを忘れている。
 血が噴き出し、撃たれるままになっている。←カッコイイ!

 その後、ヒョンジュンは自分を裏切り、恋人を死に追いやった敵を倒すべく<復讐の鬼>になるのだが、この時のヒョンジュンの冷たい死んだような目がいい。
 以前はイタズラ好きな陽気な男だったのが、無表情な死んだ目の男になる。
 この見事な変化の演技!

 『アイリス』は朝鮮半島が未だ休戦状態にあり、南北の対立があるから生まれたとも言える。それゆえ抜群のリアリティがある。
 一方、平和な日本がこういうドラマを作ってもお子様ランチになってしまう。(かと言って国と国との緊張状態や対立がいいということは絶対にないのですが)
 また、日本製品の競争力がなくなり、携帯電話や家電など韓国製品が世界に出回っている現状はエンタテインメントにも言える。
 『アイリス』ではソウルの中心の光化門で砲弾が飛び交う大規模な銃撃戦を行うシーンがあるが、そんなこと(たとえば銀座のど真ん中で銃撃戦をやるようなこと)は、現在の日本では規制がうるさくて絶対に出来ない。

 活力を失った日本のドラマよ、どこへ行く?


コメント (2)
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