平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第9話「決戦前夜」~頼朝、義経と出会って、頼りになる血の繋がった一族を得る

2022年03月07日 | 大河ドラマ・時代劇
 頼朝(大泉洋)の孤独。

 頼朝の思いは「平家打倒」「父の仇討ち」「源氏の再興」である。
 一方、板東武者たちは「大切なのは所領と一族」。
 この時政(坂東彌十郎)の言葉で頼朝は現実を知ってしまった。
 板東武者たちは、「平家打倒」「源氏再興」という自分の思いに共感して戦っているのではないことを。
 だから義時(小栗旬)に「そなたは板東かわしか?」と尋ねた。
 義時は答えられない。

 頼朝が「一族の絆」を思い知ったエピソードがあった。
 伊東祐親(浅野和之)の命乞いだ。
 義時と政子(小池栄子)は祖父・祐親を助けてほしいと頼朝に頼み込んだ。
 頼朝は「お前は良い孫たちを持ったな」と、しぶしぶ祐親の命を助けた。

 頼朝は孤独である。
 血の繋がった、頼りになる一族というものがない。
 武田信義(八嶋智人)は源氏の頭領の座を狙って策を弄し、抜け駆けをするような男。
 そんな中、現れたのが義経(菅田将暉)。
 顔が似ている(笑)という弟が馳せ参じて、頼朝は義経を抱きしめる。
 やっと頼朝は「頼りになる血の繋がった一族」を得たのだ。

 巧みな物語の構造ですね。
 平家追討軍との戦い(黄瀬川の戦い)を描きながら、
 頼朝と板東武者たちの溝を描き、義経を登場させた。
 脚本・三谷幸喜さんは、義経と頼朝の会合をどう描くかをいろいろ考えて、この方法に至ったのだろう。

 もっとも頼朝の思いに共感している人物は義経だけでなく、他にもいる。
 政子と八重(新垣結衣)だ。
 八重は下女として頼朝を支えたいと言う。
 政子もその思いをくんで、下女として使えることを許した。
 女性たちの判断基準は「所領」や「一族」ではなく、「頼朝」なんですね。
 これは幸せなことですよ。
 頼朝は決してひとりではない。
 義時や板東武者たちだって、「所領・一族」か「頼朝」か、の二元論ではなく、その間を揺れ動いている。
 いずれは頼朝の思いに共感する人物も出て来るだろう。

コメント (4)
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