平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

光る君へ 第1回「約束の月」~魑魅魍魎の貴族社会を「文学」で生きていく女性の物語!

2024年01月08日 | 大河ドラマ・時代劇
 父・藤原為時(岸谷五朗)が息子・太郎に漢文の講釈をしている時に
 床掃除をしながら聴いている、後の紫式部、まひろ(落井実結子)。
 これで掴みは十分。

 後の藤原道長、三郎(木村皐誠)が足で名前を書くと、
「名前より漢文を書いて」「この漢文の続きを書いて」と頼むまひろ。
 まひろは文字や書物が好きなんですね。
 これで道長との関係も描くことができた。

「わたしは帝の血を引く者なのよ。母上が女房をしていて帝にお手付きされたの」
 こう三郎に嘘を語るまひろは「空想好きな子」であることもわかる。
 三郎もこれを聞いて「ははぁ、姫様」。
 まひろにとって楽しい時間であったに違いない。

 三郎(道長)の人物造形も面白かった。
 ぼんやりしてマイペース。
 強欲な藤原氏をからかう散楽を「そこが面白い!」と言って見に行く。
 三郎は「藤原氏」という出自にこだわっていない。
 右大臣・藤原兼家(段田安則)の三男としての自分を客観視したい、
 弱き者、身分の低い者が何を考えているのかを知りたい、と考えている。
 身分の低き者に理不尽な行為をする兄・道兼(玉置玲央)に食ってかかることもできる。
 ……………………………………………………

 この作品は魑魅魍魎の貴族社会の中で、たくましく生きていく女性の物語になるのだろう。

 キレた藤原道兼に殺された、まひろの母ちやは(国仲涼子)。
 まひろは「道兼を捕まえて! 人殺しを捕まえて!」と訴えるが、
 父・兼家は「ちやはは病で死んだことにする」
 理由は道兼が右大臣家の次男で、自分は下級貴族だからだ。

 この理不尽な出来事を、まひろは許せない。
 戦おうとする。
 ただ、まひろには力はない。
 ではどうやって戦うか?
 おそらく「文学」なのだろう。
 こうして「紫式部」が誕生する。

 おそらく兄・道兼や貴族社会に違和感を持っている三郎もまひろといっしょに戦うのだろう。

 第1回では、右大臣家の藤原詮子(吉田羊)と関白家の藤原遵子(中村静香)のどちらが帝の子をはやく身ごもるかというエピソードが描かれた。
 これが表わすのは
・男たちの権力闘争に使われる女性
・子供を産むことだけが求められる女性
 だ。
 おそらく脚本・大石静さんはこれにNOと言っている。
「権力闘争の道具」でもなく「産む機械」でもない女性像。
 すなわち「文学」で貴族社会を生き抜いていく主人公・紫式部だ。
 紫式部のライバル清少納言(ファーストサマーウイカ)もそうなのだろう。

 面白い大河ドラマになりそうだ。
 ドロドロの宮廷の中、紫式部は美しい物語を綴っていくのだろう。

 
※追記
「散楽」という芸能も初めて知った。
 マイペディアに拠ると、
『奈良時代に中国より伝わった曲芸・軽業・奇術に類する芸能。
 源流は西域といわれるが,中国では百戯・雑戯ともいわれ,巷間(こうかん)の卑俗で余興的な芸能の総称であった。
 日本では散楽戸を設け伝習されていたが,782年廃止され民間に根をおろした。
 平安中期には〈さるがく〉となまって呼ばれ,内容も日本化されて,猿楽,田楽(でんがく)をはじめさまざまな芸能の基盤となった』

 貴族社会では『雅楽』は受け入れられたが、『散楽』は捨てられて庶民のものになったんですね。

※追記
 まひろが「帝の血を引いている」語ったことで思い出したのは、光源氏が帝の落し胤であること。
 紫式部は子供の頃から、無意識に「源氏物語」を構想していたのかもしれない。

コメント (4)
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