「わたしとの約束はお忘れ下さいませ」
「おまえとの約束を終わらせれば俺の命は終わる」
「ならば、わたしもいっしょに参ります。この世にわたしの役目はありませぬ」
「おまえは俺より先に死んではならぬ。死ぬな」
「ならば道長様も生きて下さいませ。道長様が生きておられればわたしも生きられます」
これまでのまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の関係の集大成だ。
まひろとの約束を守るためにがんばってきた道長。
それは時には強引な手を打たねばならず、強権的と誹りを受ける、つらく孤独な戦いだった。
三条天皇(木村達成)、妍子(倉沢杏奈)、出家した顕信(百瀬朔)──みんな勝手なことを
している。
明子(瀧内公美)には激怒され、彰子(見上愛)からは距離を置かれている。
宮中では「左大臣の病を喜ぶ者」のリストが出まわる。
いったい自分のやって来たことは何だったのか?
少しも理解されていない。
こんな孤独でつらい道長を見て、まひろは背負っている荷物を下ろしたらどうか、と提案する。
だが道長は──
「おまえとの約束を終わらせれば俺の命は終わる」
まひろとの約束にかける道長の思いはこんなに強かったんですね。
これに対するまひろの返しがすごい。
「ならば、わたしもいっしょに参ります」
つまり、あなたをひとりでは死なせない、と言っている。
これに対する道長の返しもすごい。
「おまえは俺より先に死んではならぬ。死ぬな」
そして、まひろは──
「ならば道長様も生きて下さいませ。道長様が生きておられればわたしも生きられます」
なんだ、このすごいやりとりは!
心から相手のことを想っている。
まひろの言葉を受けて、道長は涙を流さずにはいられない。
抑えていた感情が堰を切ってあらわれた。
道長、つらかったんだよね……。
孤独だったんだよね……。
理解者を求めていたんだよね……。
そして『源氏物語』。
「光る君はお隠れになった後、あの光り輝くお姿を受け継ぎなさることのできる方は
たくさんのご子息の中にもいらっしゃらないのでした」
光る君は誰なのか?
やっと答えが出ましたね。
光る君は道長だった。
今回の川辺のやりとりで、ふたりは人生を終えた。
道長は「まひろとの約束」という荷物を、まひろは「物語」という人生の荷物を下ろした。
そしてまひろにとって、光る君はずっと道長だった。
それはこれからも変わらない。
子供の頃の川辺のふたりが年月を経て宇治の川辺で収束する。
見事な描写だ。
さて、これからふたりはどのような余生を送るのだろう?
道長には敦成親王(濱田碧生)を天皇にするという仕事が、
まひろには『源氏物語』の宇治十帖を書くという仕事が残っているが、
彰子
妍子
賢子(南紗良)
双寿丸(伊藤健太郎)
若い力はどんどん出て来ている。
※追記
今作では採用されないだろうが、『源氏物語』の宇治十帖は賢子が書いたという説があるらしい。
「おまえとの約束を終わらせれば俺の命は終わる」
「ならば、わたしもいっしょに参ります。この世にわたしの役目はありませぬ」
「おまえは俺より先に死んではならぬ。死ぬな」
「ならば道長様も生きて下さいませ。道長様が生きておられればわたしも生きられます」
これまでのまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の関係の集大成だ。
まひろとの約束を守るためにがんばってきた道長。
それは時には強引な手を打たねばならず、強権的と誹りを受ける、つらく孤独な戦いだった。
三条天皇(木村達成)、妍子(倉沢杏奈)、出家した顕信(百瀬朔)──みんな勝手なことを
している。
明子(瀧内公美)には激怒され、彰子(見上愛)からは距離を置かれている。
宮中では「左大臣の病を喜ぶ者」のリストが出まわる。
いったい自分のやって来たことは何だったのか?
少しも理解されていない。
こんな孤独でつらい道長を見て、まひろは背負っている荷物を下ろしたらどうか、と提案する。
だが道長は──
「おまえとの約束を終わらせれば俺の命は終わる」
まひろとの約束にかける道長の思いはこんなに強かったんですね。
これに対するまひろの返しがすごい。
「ならば、わたしもいっしょに参ります」
つまり、あなたをひとりでは死なせない、と言っている。
これに対する道長の返しもすごい。
「おまえは俺より先に死んではならぬ。死ぬな」
そして、まひろは──
「ならば道長様も生きて下さいませ。道長様が生きておられればわたしも生きられます」
なんだ、このすごいやりとりは!
心から相手のことを想っている。
まひろの言葉を受けて、道長は涙を流さずにはいられない。
抑えていた感情が堰を切ってあらわれた。
道長、つらかったんだよね……。
孤独だったんだよね……。
理解者を求めていたんだよね……。
そして『源氏物語』。
「光る君はお隠れになった後、あの光り輝くお姿を受け継ぎなさることのできる方は
たくさんのご子息の中にもいらっしゃらないのでした」
光る君は誰なのか?
やっと答えが出ましたね。
光る君は道長だった。
今回の川辺のやりとりで、ふたりは人生を終えた。
道長は「まひろとの約束」という荷物を、まひろは「物語」という人生の荷物を下ろした。
そしてまひろにとって、光る君はずっと道長だった。
それはこれからも変わらない。
子供の頃の川辺のふたりが年月を経て宇治の川辺で収束する。
見事な描写だ。
さて、これからふたりはどのような余生を送るのだろう?
道長には敦成親王(濱田碧生)を天皇にするという仕事が、
まひろには『源氏物語』の宇治十帖を書くという仕事が残っているが、
彰子
妍子
賢子(南紗良)
双寿丸(伊藤健太郎)
若い力はどんどん出て来ている。
※追記
今作では採用されないだろうが、『源氏物語』の宇治十帖は賢子が書いたという説があるらしい。
>さて、これからふたりはどのような余生を送るのだろう?
道長が泣くシーンは久しぶりでした。
特に「号泣」シーンは直秀の死以来か。
たしかに。今回は一旦「最終回」を迎えたような雰囲気でした。
特に、まひろの側について言えば「やるべきことはやり終えた」―「源氏物語」は一応完結し、彰子は立派に成人した―観があります。
ネタバレ予想情報の仲には「心中」というタイトルのものもありました。
ふたりは一旦「心中」し、その上で改めてさらに生き続けることとなった。
今後のふたりの人生はまさに「余生」。
少なくともこれまでとは意味の違った人生となる筈。
しかし、まだ1ヶ月半を残しているので結構な量のエピソードはある筈です。
道長側について見るならば、今後は三条天皇との政治闘争の完全勝利から、かの有名な「望月の歌」にいたるまでの展開が待っています。
これらのエピソードは「余生」での出来事ということになるのでしょうか。
また、「光る君(光源氏)=道長」だとするならば、まひろが執筆を再開した「宇治十帖」は光源氏死後の、次世代の人物たちの物語です。
他方、まひろにも、宇治十帖の執筆以外にも彼女自身の身に起こるエピソードがある筈です。
今回、一旦「中締め」のような形でこれ以降のふたりの人生を「余生」と色づけしたとするならば、今後まひろと道長との二人が送るこの「余生」での出来事が、「本当の最終回」に向けてどのように意味づけられてゆくのか、楽しみに注目したいところです。
どのネタバレ予想情報を見ても、さすがに最終回の結末について確定的なイメージは思い浮かびませんので。
いつもありがとうございます。
>今回、一旦「中締め」のような形でこれ以降のふたりの人生を「余生」と色づけしたとするならば、
「余生」僕も悩みました。
今回の川辺の会話で、ふたりは荷物を下ろしたのか?
それともまだ現実と格闘していくのか?
道長としては、三条天皇の横暴が続き、抜き差しならない行動を取るんでしょうね。
それは伊周の時も同じなのですが、伊周の時とは違う心情が道長に表われそうです。
柄本佑さんの道長は本当に巧みで、中間の微妙な心情の表現が魅力なんですよね。
基本、無表情でノーリアクションなのですが、道長、何を考えているんだろうか? と視聴者に考えさせる余白があります。
まひろも最近多くを語らず表情だけで見せるシーンが多いのですが、これまで道長の行動を是としているのか非ろしているのか、わかりませんでした。
今回の川辺のやりとりを踏まえた、ふたりの心情描写に注目したいと考えています。
娘の賢子も成長した…
という時間の経過があるのなら、まひろにも老けメイクがほしいところですが、大河ドラマって、主役には老けメイクをさせない伝統があって、何かチグハグなんですよね。
と、そこが気になってしまいました。
今回は今作の集大成!
最大の感動シーンだったのに……!
若き日に比べれば違いますし、しっとりと落ち着いたいいメイクになっていると思います。
まだ、まひろは40歳くらいですしね。