平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「京城クリーチャー」~日本軍が悪役のドラマ。これを受け入れられる大人になろう

2024年11月06日 | テレビドラマ(海外)
 韓国ドラマ「京城クリーチャー」を見た。

 舞台は太平洋戦争末期、日本が支配統治する朝鮮・京城(現・ソウル)。
 日本軍が人体実験をおこない、生物兵器のモンスターをつくるという物語だ。

 主人公のチャン・テサン(パク・ソジュン)の人物造形が面白い。
 チャン・テサンは京城で質屋を営み、莫大な富をもっている。
 日本の有力者とも人脈があり身分を保障されている。
 当然、朝鮮独立のために戦っている周囲からは評判がよくない。
 彼がこんな生き方をしているのには理由がある。
 母親から「生きろ」「どんなことをしても生き残れ」と教えられていたからだ。
 だからテサンは生き残るためにクールで合理的だ。
 しかし──
「俺はどうしてこんなことをしているんだ?」
 京城の病院で人体実験がおこなわれ、同胞を苦しんでいるのを知って
 彼は身を捨てて日本軍と戦うという「非合理」なことを始める。
 足手まといになる子供を助けることは非合理なのだが、それをやってしまう。

 人体実験で生み出されたクリーチャー(怪物)の造形も面白い。
 クリーチャーは、チェ・ソンシム(カン・マルグム)という朝鮮の女性なのだが、
 決して飼い慣らされない。
 母親の気持ちを忘れずに持っていて娘を助けようとする。

 京城の街の人々も飼い慣らされていない。
 テサンたちがおこなう救出作戦に街をあげて協力する。
 虐げられているが、反抗の気持ちは心の奥底に持っている。

 人体実験がおこなわれている病院にも「独立軍」の潜伏者がいてテサンたちを助けたりする。
「東京が空襲を受けて日本はまもなく開けるだろう」という地下新聞も配られている。
 
 つまり、この作品、朝鮮の人々の反抗の物語なのだ。
 日本軍が悪く描かれているのでネトウヨさん流に言えば「反日」ドラマ。
 だからわれわれ日本人としては見ていて居心地悪い。
 韓流ドラマ好きの知り合いに「京城クリーチャー見た?」と聞いたら、
「1話しか見ていない。日本が悪く描かれているから」と言われた。

 でも、僕たちはこれを乗り越えていかなくてはならないと思うんだよなぁ。
 これまでの映画の悪役の定番と言えば「ナチス」。
「インディー・ジョーンズ」シリーズなどでもそうだった。
 でもドイツの人は「悪役・ナチス」を受け入れている。
 一部不快に思っているドイツ人はいるかもしれないけれど。

「インディー・ジョーンズ」を楽しむドイツ人のように、
 僕たちもエンタメはエンタメとして割り切れる成熟した大人になりましょう。


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