平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「そして、バトンは渡された」~おかげで未来の楽しみがふたつになった。明日がふたつになった

2023年04月22日 | 邦画
 優子(永野芽郁)とみぃたん(稲垣来泉)、なんか怪しいなと思っていたら、やっぱりそうだった!←ネタバレになるので、こんなふうにしか書けない。
 時系列はバラバラ。
 いろいろなエピソードが断片で描かれる。
 でも中盤、これらの断片が繋がって、ひとつの物語が生まれる。
 ちょうどジグソーパズルがすべて埋まって、ひとつの絵が生まれるように。

 だが、ジグソーパズルは全部埋まっていなかった。
 終盤、新たなパズルの断片が見つかって、さらに感動的な物語が浮かび上がる!

 僕は中盤とラストで二度泣きました!
 ネタバレしないように書いたのは、ぜひこの作品を見て泣いてほしいから。

 それにしても見事な作劇手法だ。
 ラストですべての伏線が回収される!
 ラストですべての登場人物が魅力的になる!
 ラストで世界が愛でいっぱいになる!
 ……………………………………………………………………

 すこし具体的にこの作品を語ろう。

 普通、子連れの女性と結婚する時、男はためらう。
 実際、結婚式当日に子供がいると梨花(石原さとみ)に言われた時、森宮壮介(田中圭)は驚き、ためらった。
 だが、すぐに森宮はこんなことを言った。
「おかげで未来の楽しみがふたつになった。明日がふたつになった」
 愛する対象がひとり増えて森宮はワクワクしたのだ。
 それまでの森宮は東大を出て一流企業に勤めたが、何を目標に生きていけばいいか、わからずにいた。
 だが、子供を得て、愛情を注ぐ幸せを得た。
 それは彼の人生を「まぶしいくらいに輝いたもの」にした。

 彼女には森宮の他にふたりの父親がいる。
 実の父親・水戸秀平(大森南朋)。
 梨花が再婚して得た二番目の父親・泉ヶ原茂雄(市村正親)。
 そして梨花の三度目の結婚で得た父親・森宮壮介。
 三人の父親たちは彼女を得たことで、満ち足りた日々を過ごした。
 三人の父親に愛されて、彼女はやさしくて素敵な女性になった。
「わたしにはいろんな親の愛情がいっぱい詰まってるんだよ!」
 愛を注ぐことは幸せ。
 愛を注がれることも幸せ。
 これで人生は素敵なものになる!

 そして彼女の母親・梨花。
 自由奔放で、どちらかというとマイナスイメージの女性だが、
 実は梨花には秘密があって、それが明らかになった時、感動的なドラマが生まれる。

 ラストは彼女の結婚式で終わる。
 三人の父親が参列して、彼女は愛する夫のもとへ。
 これでタイトルが回収された。
 父親から夫へバトンは渡されたのだ。


※追記
 今作の永野芽郁さんは魅力的だった。
 永野さん本人も父親のいないシングルマザーの家で育てられたから、役への思い入れも大きかったのだろう。
 本作で、第45回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞、第64回ブルーリボン賞 主演女優賞を受賞。

※追記
 原作は瀬尾まいこ著・文藝春秋刊。
 2019年本屋大賞を受賞した。


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