平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

どうする家康 第40回「天下人家康」~石田三成「私は間違っておりません」「それでは道理が通りません」

2023年10月23日 | 大河ドラマ・時代劇
「私と家康殿は違う星を見ているようでございますゆえ」

 石田三成(中村七之助)と家康(松本潤)が完全に決裂した。
 家康としては『三成で世の中が治まるのならそれでいい、サポートしたい』と考えていたと
 思うのだが、三成は家康を拒絶してしまった。

 秀吉(ムロツヨシ)が予言したように、合議制は無理で、力のある者が治めるのが現実だった。
 何しろ家康は250万石の大大名。
 今川義元、信長、信玄、勝頼、秀吉とわたり合って来た人物で、もはや恐怖の存在になっている。
 前田利家(宅麻伸)も寧々(和久井映見)も家康の背中を押した。
 信長や信玄の言葉も後押しした。

 決裂が確定して家康は「これからは修羅の道をゆくことになろうぞ」
 これを受けて本多忠勝(山田裕貴)は「どこまでもつきあいまする」

 とはいえ、
 家康がどこまで「三成で世の中が治まるのならそれでいい」と考えていたのかは疑問だが。
・朝鮮出兵の後始末は触れば火傷するので三成任せ。
・他家との勝手な婚姻で三成を挑発。
 これで豊臣家中に火をつけ、政治力を使って、三成を隠居させ、実質「天下人家康」に。
 このあたりは、ずるくしたたかな狸の家康だ。

「佐和山城で星を見たい」と語った家康と「狸」の家康、どちらが本当の家康なのか?
 三成では世の中は治まらないと判断し、謀略を使い三成を追い落としたが、
 三成との友情は大事にしたいと考えたのだろうか?

 揺れ動く家康。
 いずれにしても政治はきれい事ではおこなえない。
 ……………………………………………………………………

 三成はどこで間違えたのだろうか?

「いくさのしくじりは問いませぬゆえ」
「ねぎらいの茶会を開きます」
 三成は頭でっかち。
 人の心というものを理解していない。
 ことごとく地雷を踏んでいる。

「やつらが私の話を理解したことはありません」
「それでは道理が通りません」
「私は間違っておりません」
 頑なで真っ直ぐ過ぎるのもなぁ……。
「道理だけで政治はできない」(利家)し、「世の中は歪んでいる」(寧々)のに……。

 ゼロか100か、というのも困りものだ。
 三成は信じる者は徹底的に信じるが、いったん疑うと徹底的に信じない。
 三成が信じているのは秀吉だ。
 家康も信じていたが、今は信じていない。
 茶々(北川景子)の言葉は信じているようだ。
 茶々に「あのお方は平気で嘘をつく」という言葉にコロリと騙された。

 ラストは象徴的。
 天下人・家康が大名たちに号令をかける中、大坂城では幼い秀頼が「よきにはからえ」。
 すでにふたつの政権が誕生している。


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2 コメント

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「狸」と「白兎」 (TEPO)
2023-10-23 20:36:41
>「佐和山城で星を見たい」と語った家康と「狸」の家康、どちらが本当の家康なのか?

「白兎が狸に化けた」と言われているようです。
今後、関ヶ原に向けての展開はほぼ「定説的理解」の範囲内で進むことでしょう。
ただし、それは家康が完全に「狸」であることを前提としての話。
本作では今になってもまだ三成に好意をもつ「白兎」の家康が生きているようです。
実際には家康は史実どおり「狸」路線を進むのでしょうが、敢えて「白兎」の要素を残して家康に二面性を持たせているのは何故なのでしょうね。
ことによると、「大坂の陣」にまで続く淀との「ラスボス戦」に向けての何らかのネタ振りなのかもしれません。

家康の家臣団は「狸」路線、つまり家康が天下を取ることを望んでいることでしょう。
家康が「狸」化してゆくにつれ、本多正信(加えるとすれば阿茶の局)と密談する場面が増えると思っていたのですが、面白いことに本多忠勝も同席していました。
「策士」と「直情径行な武将」という性格的に正反対な「両本多」が、揃って「狸」路線家康の背中を押している図となっています。
そう言えば、「ボスに野心を持って欲しがる武闘派」としてはシェーンコップがいましたね。

それにしても、これまでかなり好意的に描かれてきた三成、今回から急に欠点ばかりが目につくようになりました。
極端に純粋な正義感に比しての対人的感覚の欠如、そして頭の固さ。
三成が「没落への道」に入ったということなのでしょうが、前回までの描写との落差が気になりました。
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家康と北条義時 (コウジ)
2023-10-24 09:07:35
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>「白兎」の要素を残して家康に二面性を持たせているのは何故なのでしょうね。

現状、まだ迷える家康なんでしょうね。
狸か? 白兎か? どうする家康。
でも今回で吹っ切れた。
力ある者が治めるのが一番と考え、修羅の道を歩く決意をした。
ただ、おっしゃるとおり大坂の陣でふたたび「白兎」が顔を出すのでしょうね。

ネットではこの家康を「鎌倉殿」の義時と比べている考察が見られますが、確かに13人の合議制を捨てて義時が仕切り、修羅の道を歩んだ義時と似ていますね。

本多忠勝。
忠勝がいることで、いい味が出ていますよね。
本来なら正信だけで十分なのに、忠勝がいることで謀略にならない雰囲気になっています。

三成は今回で完全に欠点ばかりの人物になりましたね。
家康に「待て」と言われた時、席に戻って腹を割って話すくらいの器量は見せてほしかったです。
自分の力量のなさを実感して、あとは家康に任せるという聡明さをもってほしかったです。

やはり権力が三成を狂わせたのでしょうか?
あるいは、秀吉が他界して三成は秀吉を神格化し、その言葉を頑なに信じたのでしょうか?

もうひとつ深掘りして描いてほしい気がしますが、それが関ヶ原で描かれるのかもしれません。
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