平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「光る君へ」 第25回「決意」~好きだからだ、おまえのことが! 宣孝叔父、外堀を埋めて決め台詞!

2024年06月24日 | 大河ドラマ・時代劇
「都で考えてみます」
「わたしは誰を想って都に帰るのだろう」

 まひろ(吉高由里子)は宣孝(佐々木蔵之介)との結婚を迷っている様子。
 宣孝のことは嫌いではない。
 むしろ気軽に話せて、いっしょにいて楽しい。
 恋愛は熱情に駆られておこなうものだが、結婚は違う。
 結婚とは生活であり、今後、歩んでいく長い人生のことだ。
 でも宣孝には妻も妾もいる。それを自分は受け入れられるだろうか?
 それに、自分の心の中には「忘れえぬ人」道長(柄本佑)もいる。
 宣孝はそれも含めて受け入れてくれると言ってくれたが……。

 このように迷っているまひろに「決意」をさせたのは、次の出来事だ。

 宣孝は道長に自分とまひろが結婚することを報告。
 公の場で報告することで道長は何も言えない。
 いや、私の場でも何も言わないだろう、と宣孝は考えた。
 結果、これで道長の了承を取ったわけだが、まひろがその強引さに文句を言うと、
「好きだからだ、おまえのことが」
 外堀を埋めていって、最後に決め台詞!
 恋愛巧者、宣孝叔父!

 結婚のお祝いの品もまひろの背中を押した。
 品に添えられた手紙の字は道長のものではなかった。
 つまり事務的な贈り物。
 道長にしてみれば、こうするしかなかったのだろう。
 現在の立場で、結婚をやめろ、と言うわけにはいかないし、
 自分が何かを書けば、またまひろを迷わせることになる。
 ふたりはすでに別の人生を歩いているのだ。
 おそらく、まひろはこんな道長のメッセージを読み取ったのだろう。
 これで踏ん切りがついた。

 その他
 いと(信川清順)と福丸(勢登健雄)、
 乙丸(矢部太郎)ときぬ(蔵下穂波←あまちゃん)
 彼らの幸せそうな姿も背中を押したのだろう。

 最後は──
「わたしは不実な女でございます」
「わしも不実だ。あいこである」
 清濁併せ持った夫婦が誕生した。

 前半の為時(岸谷五朗)の租税エピソードは「清濁併せ持つ」の伏線。

 すこし強引な展開の気もするが、それは今までの『少女漫画』を引きずっているからだろう。
 これからは『大人の女性の物語』に切り換えなければならない。
 ………………………………………………………………………………………

 宮廷では政争が勃発。

 一条天皇(塩野瑛久)は中宮・定子(高畑充希)に執心で政務に身が入らない。
 職御曹司には伊周(三浦翔平)。
 伊周は中宮の隆盛を取り戻して、ふたたび権力を握ろうとしている。
 そのために清少納言(ファーストサマーウィカ)の草子を宮中に広めようとし、
 公任(町田啓太)を自分の派閥に入れようとしている。

 一方、一条天皇が政務を蔑ろにしていることで凶事が勃発。
 これを『天人相関説』と言うらしいが、まずは加茂川の堤が決壊。
 一条天皇に強く進言できなかった責任を取って、道長は辞職を申し出る。

 この辞職の申し出をどう解釈すべきなのか?

①政治の駆け引き説
 今、道長が身を引けば一条天皇は後ろ盾をなくす。
 後ろ盾をなくせば、前回登場した居貞親王(木村達成)が次の帝になる。
 伊周は帝に取り入って権力復帰を狙っているが、財力も宮廷での信頼もなく頼りない。
 だから道長は辞職をちらつかせて、一条天皇を脅し、政務に向かわせようとした。

②誠実に責任を取った説
 今までの道長は「権力に執着のない人物」「駆け引きできない人物」として描かれていたので、
 僕はこちらの説を取りたい。
 道長にしてみれば、面倒くさい政治の世界など早くおサラバしたいという感じだろう。

 とはいえ、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に拠れば、
 凶事を鎮めるには「お宝を使う」しかないらしい。
 お宝とは、道長の子・彰子のことだろう。
 道長は仕方なく彰子を入内させる。
 女院様(吉田羊)もこれを後押ししそうだし。

 道長がギラギラの権力志向の人物でなく、
 流されて強力な権力者になっていく所が本作の特徴。

「軽い、軽い」をした道長の家族団らんの場に彰子はいなかったと思うが、
 彰子はどのような人物として描かれるのだろう。
 以前、倫子(黒木華)は「あまりしゃべらない子」と語っていたが。


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7 コメント

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「現実」に生きる (TEPO)
2024-06-24 16:25:00
今回はどちらかと言えば道長が主人公だったように思います。
全体的な印象として、一条天皇が全面的に「悪い」ことは明らか。
当の定子自身ですら良識を慮って遠慮しているにもかかわらず、政務を顧みることなく定子溺愛路線(伊周復権も含めて)に暴走。

>この辞職の申し出をどう解釈すべきなのか?
私は①と②との両面があったと思います。
たしかに、今まで「権力に執着のない人物」として描かれてきた道長は、始終辞表をちらつかせていたヤン・ウェンリーを彷彿しており、辞意は本気(②)だったことでしょう。
しかしながら、道長の辞意表明には一条天皇に対する「叱責」の効果があり、少なくとも一条天皇自身は明確にそうしたメッセージとして受け止めていました。
いずれにしても、今後道長は否応なく本格的に権力闘争の主体へと「流されて」ゆく時期に入ってきたようです。
次回予告編では、道長が「彰子の入内を定子の出産にぶつける」策を指示していたようですし。

まひろが宣孝との結婚を決意するに至るプロセスは、コウジさんが分析された通りかと思います。
特に「お祝いの品に添えられた手紙の字」のくだりは、心の機微を上手く描いた展開だと感じました。

道長はすでに各方面へのバランスの取れた対応を図ることに腐心する政治家としての「現実」の中に生きています。
ことによると、自身の恋愛感情をそうしたバランスの中に位置づけ得ている道長と、バランス感覚を失ってしまっている一条天皇とを対比するのが今回のモチーフの一つだったのかもしれません。

>おそらく、まひろはこんな道長のメッセージを読み取ったのだろう。
まひろもそうした道長の姿勢に触発されて今後「現実」の中に生きてゆくことにしたのでしょう。
まひろの場合、今後「紫式部」―つまり彰子の家庭教師的な女房・「源氏物語」の作家―として、改めて道長(倫子も含め)との間に後援者としての関係を築いてゆくことになります。
宣孝との結婚は、そうした新しい立場に立つためのまひろにとっての一つの「けじめ」ということかと思います。
返信する
周明その後 (2020-08-15 21:07:49)
2024-06-24 21:04:21
TEPOさまに先を越されましたが、わたしも、今回の道長はヤン・ウェンリーだと思っています。
ギラギラの権力闘争に興味もないのに、渦中に巻きこまれていく人物像に、どれだけ説得力が出てくるか、ですね。

さて「朱と周明はどこに行ったのか?」が気になります。
このままいなくなるとすれば、フェードアウトとしても唐突ですし、交易要求にYesの返事が出るまでは粘るぞと居座っていたのは何だったのか、ということになってしまいます。
う~ん、ですね。
返信する
一条天皇の若さと孤独 (コウジ)
2024-06-25 08:09:22
TEPOさん

いつもありがとうございます。

道長のあの行動の裏には、確かに帝への「叱責」がありますよね。
それだけ道長は民を救うことに必死なのでしょう。
道隆や伊周なら、なあなあで済ませそうです。

>一条天皇とを対比するのが今回のモチーフの一つだった
一条天皇はまだ若いんでしょうね。
まだまだ青春真っ盛り。
道長は三十代となり、子供も三人いて、ひとりの女性に情熱を傾けることをなくしてしまった。
一方、一条天皇を擁護すれば、天皇という立場は家臣とは比べものにならないくらいに孤独なんでしょうね。
左大臣とは違ったプレッシャーもあることでしょう。

彰子がどう描かれて、サロンに入ったまひろがどう振る舞うかは見所ですよね。
ここから『源氏物語』を書くようになる展開も、メチャクチャ面白いものになりそうです。
返信する
民を救いたいという思い (コウジ)
2024-06-25 08:28:45
2020-08-15 21:07:49さん

いつもありがとうございます。

>権力闘争に興味もないのに、渦中に巻きこまれていく人物像
一方で道長には「民を救いたい」という強い思いがあるんですよね。
なので伊周のような、民を顧みない人物がふたたび権力を持ち始めたら阻止をせざるを得ない。
仕方なく定子派の一掃。
という流れになるのでしょう。

>う~ん、ですね。
周明に関しては、まひろを裏切ってしまったため、もう会えないという描写が前回ありましたよね。

交易の件は、周明ではなく朱仁聡の案件。
描かれるとすれば、為時と朱仁聡のシーンで語られることでしょう。
史実では交易について大きな進展がないようなので、台詞の説明だけで済まされるかもしれません。
周明も朱仁聡も魅力的なキャラだったので、このままスルーだともったいないですよね。
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Unknown (Unknown)
2024-06-28 06:46:20
>交易の件は、周明ではなく朱仁聡の案件。
>描かれるとすれば、為時と朱仁聡のシーンで語られることでしょう。

ここのところの越前編では、越前と都が交互に出ていたので、前回放送の都オンリーの編集に、少々違和感があったわけです。

まひろと周明の関係が終わったものの「周明とのラブラブ≠外交」なので、このまま宋人の話をフェードアウトさせ、越前編を終わらせるのであれば、妙な消化不良になりそうです。
個人的には何かはっきりしたピリオドがほしいです。

朱「どうした、あの女のこと、まだ気になるか」
周明「それはありません。ただ、あの女を宋に連れて行って、果たして何を言うか、何を感じるのか、そう思うこともあるのです」
朱「さて、帰るか」
周明「は?」
朱「あの国守はとんでもない堅物だ、ワイロが効かない。これ以上粘っても、はかばかしくなさそうだ。それに、博多の港が閉じたわけでもない。越前など、開けばしめたものという程度のことだ」
周明「それで大丈夫なのですか」
朱「そうだな。役人たちにどう申し開きをするか、頭の痛いところだが」
といったやりとりがあれば、それでいいんですけどね。
返信する
あ、また名前を入れ忘れました (2020-08-15 21:07:49)
2024-06-28 06:47:21
タイトルのとおりです
返信する
再登場 (コウジ)
2024-06-28 09:05:20
2020-08-15 21:07:49さん

朱仁聡の日宋貿易の案件
話をふっておいて結論がないことはないので、何らかの描写はあると思います。

周明については「まひろの宋への幻想を捨てさせた男」だけではイマイチなので、まひろに「何らかの精神的な影響を与えるキャラ」として再登場するのではないかと考えています。
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