くれなゐの はつはなぞめの いろふかく おもひしこころ われわすれめや
紅の 初花染めの 色深く 思ひし心 われ忘れめや
よみ人知らず
初めて採れた紅花で染めた色が深いように、あなたを思い始めたころの深い心を、私は決して忘れまい。
「初花」はその年最初に咲いた花の意で、「初花染め」は紅花の初花で染めることを言います。この歌から推し量るに、初花で染めるとより深い色に染まるとされていたのでしょう。歌の調べはむしろ静かですが、思い初めたときの気持ちの深さがその後もずっと心に残っているという、情熱的な詠歌ですね。