漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

和歌 短歌 俳句 川柳

2022-01-10 05:37:30 | 古今和歌集

 0800 の記事にいただいたご質問を記事にさせていただこうと思います。ご質問は「和歌、短歌、俳句、川柳がそれぞれ簡単にどのようなものか」ということでした。

 

<和歌>

 訓読すれば「やまとうた」。言葉の意味としては、大陸から伝わった「漢詩」に対するわが国固有の「日本の歌」ということですね。なので本来は短歌、長歌、旋頭歌(五七七五七七)、仏足石歌(五七五七七七)といったいろいろな形式の「日本の歌」の総称が「和歌」ということになります。とは言え、その中で圧倒的に多く詠まれたのが五七五七七の短歌で、和歌といえば短歌をさすことも多いですね。ちなみに「古今和歌集」では採録歌1,100首の内、長歌5首、旋頭歌4首の他はすべて短歌、「新古今和歌集」では約2,000首すべてが短歌となっています。

 

<短歌>

 和歌の内、五七五七七の形式のものが短歌ですね。やまとうたの中心となる歌形式で、古今和歌集の仮名序には「神代には、歌の文字も定まらず」「人の世となりて、素戔嗚尊よりぞ、三十文字あまり一文字はよみける」との記述がありますから、スサノオノミコトの時代からすでに、和歌と言えば三十一文字(五七五七七)がその代表とされていたことがわかります。「古事記と日本書紀」の記事でもご紹介しましたが、そのスサノオノミコトの詠んだとされる日本最古の短歌が古事記に採録されています。

八雲たつ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を

 

<俳句>

 和歌の一形態として、他者が詠んだ五七五に七七を連ね、その七七にまた別の歌人が五七五を付し、ということをずっと連ねていく「連歌(れんが)」が生まれ、鎌倉時代には100句連ねることを定型とする「長連歌」が生まれました。「長連歌」は本来、機智的滑稽味を伴うもので、その本来の系譜に従う長連歌は特に「俳諧」と呼ばれるようになり、その「俳諧」の最初の五七五(=諧の発)が、世界最短の定型詩として独立したものが「俳句」です。俳句には季節を象徴する「季語」を入れるのが普通ですが、季語を含まない「無季俳句」や、五七五の制約を排した「自由律俳句」も詠まれています。

 

<川柳>

 俳句と同じ五七五の定型詩で、端的に言ってしまえば「季語のない俳句が川柳」という理解が一般的でしょうか。ですが発祥の経緯はまったく異なり、俳句が俳諧連歌の発句が独立したものであるのに対し、川柳は題材として与えられた七七の下の句に気の利いた五七五の「前句」を考える技巧を競う「付け句」という遊戯から、その前句が独立したものです。結果、季語の制約から自由となり、またそもそもの遊戯性も現代の「サラリーマン川柳」などにも受け継がれていますね。

 

 ざっぱくですが、おおよそこんなところでしょうか。こうしてご質問をいただくと私もとても勉強になります。ありがとうございました。

 



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2 コメント

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Unknown (and)
2022-01-10 07:34:16
五七五七七七や五七七五七七もあるのですね。
とても勉強になります。
わかりやすい解説、いつもありがとうございます。
国語の勉強法などもまた聞いてみたいです。
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Unknown (eric_henderson)
2022-01-10 22:06:19
さっそくご確認いただき、ありがとうございます。
国語の勉強法ですか〜。う〜ん、これはよくわかりません(^_^;)
漢検は「試験」なので対策は色々ありましたが、和歌とか国語一般となると何とも…。私自身はというと、何か体系立った勉強をしているというより、その都度ふと興味の湧いたことを調べたりまとめたりしてる感じです。
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