あきのたの いねてふことも かけなくに なにをうしとか ひとのかるらむ
秋の田の いねてふ言も かけなくに 何をうしとか 人のかるらむ
素性法師
飽きたので去って行って欲しいと言葉をかけたわけでもないのに、何を嫌だと思ってあの人は遠ざかっていってしまうのでしょう。
「秋」と「飽き」・「稲」と「去ね」・「(稲を稲架けに)架け」と「(言葉を)かけ」・「刈る」と「離る」と掛詞が多用されて、スマートに口語訳するのが難しい歌です。なので、主たる歌意である「飽き」「去ね」「(言葉を)かけ」「離る」の方だけの解釈にしてみました。
なお、この歌は、定家本以外のほとんどの伝本では作者を「兼芸法師」としているとのこと。私がこのブログの参考としている書籍は定家本をベースとしていて、作者を素性法師としていますので、本記事ではそれに従って記載しました。