トランポノミクスにより、年末にかけ積極的に買い上げたのは外国人投資家です。残念ながら、個人は昨年売り越しです。年明けも米長期金利の上昇を受けた買いが続いておりドル円は買いが継続。外国人投資家は、今回の上昇が一過性ではなくアベノミクス第2弾だと確信しているようです。今後も潤沢な資本が投入されれば、日銀の買い入れと併せ、いずれ、日本人が予想だにしない株高も期待できます。しかし、円安により、輸入物価インフレに一旦火がつけばもはや止めることは出来ないでしょう。日本のような多額の借金を抱えている国がインフレに一旦火がつくと制御不能に陥るのです。インフレは1000兆円を超える借金の目減り、年金支給額の実質減少、政府や日銀にとって都合のいいことだらけ、割を食うのは弱い立場の庶民です。筆者はインフレヘッジには現金より株と不動産を考えていますが、ETFを除けば今後個別株の選定が明暗を分けることになります。
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トランプ相場で日本株が活況を呈している。「かつてない好景気」の波にいち早く反応しているのが海外投資家だ。日本市場を客観的視点からウォッチする彼らは、すでに黄金の国・ジパングへの大航海に乗り出している。
「2017年の日本株市場には魅力的な投資機会があると考えています。すでに外国人投資家は“日本買い”に動き出した」
そう語るのはゴールドマン・サックス証券のキャシー松井氏。2016年1月から9月までに外国人投資家が売った日本株は約6兆円にも達したが、10月以降は資金流出が止まり、これまでに1.3兆円の買い越しに転じた。いま外国の投資家たちは、日本の株式市場に熱い視線を送っているのだ。
背景にあるのはトランプ政権の誕生だ。仏系の資産運用会社コムジェストのリチャード・ケイ氏が語る。
「トランプの1兆円規模の経済対策と減税を好感してドルが急上昇し、世界が同時株高になった。その追い風が日本に集まっている」
世界的株高の中で彼らが特に「日本株」を選ぶのには別の理由もある。前出の松井氏が語る。
「堅調な経済環境に加えて、外国人投資家はアベノミクスによる構造改革の具体的な進展に好感を持っている。特に株主の権利を適切に行使できるよう環境整備を促すなど、上場企業の行動指針を定めた『コーポレートガバナンス・コード』の導入により、企業に対する株主の関与の度合いが著しく高まり、欧米に近づいてきた。
また、規制緩和により、日本を訪れるインバウンドの外国人旅行者数は2012年の800万人が2015年には2000万人にまで増えている。今後、日本株にはさらに上昇する“余地”が残されている」
フランスを拠点とする前出のケイ氏は、「欧州の投資家たちも、日本企業に高い関心を寄せている」と断言する。
「日本には実績があるのに知名度が低く、株価が過小評価されて割安な“お宝企業”が多い。優秀な日本企業と同じ職種の欧米企業を比較すれば株価の“お得感”は歴然です。
例えば日本の重機メーカー『コマツ』と米国の『キャタピラー』を比較すると、コマツは世界シェアで上回るうえ増益基調ですが、キャタピラーの利益は横ばいです。ところがPBR(株価純資産倍率)などの株式指標で計算すると、コマツはキャタピラーより株価が3~4割も割安です。
2012年に米国の『グッドマン』を買収した後、世界一のエアコンメーカーになった『ダイキン』も同様です。そうした日本企業に注目し、長期的に投資しようという投資家が増えている」
海外投資家の事情に詳しいパルナッソス社チーフ・ストラテジストの宮島秀直氏も外国人投資家による割安な日本株選好の傾向を指摘する。
「私が11月から1か月間に訪問した168社の欧米の大手投資機関のうち、159社が日本株に投資していた。その7割以上が、日本株をPBRの低い銘柄から選定していると回答しました」
また、日本人投資家の“弱気”を外国人投資家は“信頼”していると前出・松井氏は指摘する。
「欧米では“期待”が株価上昇の最大の原動力だが、日本では多くの投資家が経済成長に懐疑的であり、日本株市場には期待による株価上昇がほとんどありません。株価上昇の主な要因は企業の利益成長です。そのため、外国人投資家は日本株市場の上昇を信頼している」
バブルのような“期待”ではなく、実体を伴った「利益成長」がベースにあるため、日本株市場の上昇は「さらなる上昇」を導くのだ。これこそ外国人が憧れる「黄金の国」の最大の強みである。