保釈請求が出される直前の同日午前、特捜部は日産に損害を与えたとする特別背任容疑でゴーン容疑者を再逮捕し、世界に衝撃が走りました。付け替えには側近の秘書室幹部が関与していたことが判明。ゴーン前会長が起訴された役員報酬の過少記載事件で特捜部と司法取引に合意した人物だ。特捜部は特別背任事件でも、この幹部から前会長の指示を裏付ける供述を得たとみられる。❝会社法の特別背任罪の公訴時効は7年❞ですが、海外滞在歴が長いことから、特捜部は時効は成立していないと判断したようです。いずれにしても、特別背任罪は未遂でも罰せられる罪なので拘留延長はほぼ確定と見るべきでしょう。
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日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)の報酬過少記載事件で、ゴーン容疑者の保釈の可能性が高まっていた21日、東京地検特捜部は会社法の特別背任容疑で3回目の逮捕に踏み切った。「ゴーン・ショック」は収束するどころか、最大の“ヤマ場”を迎えつつある。特捜部の大きな一手に、「常識ではあり得ない暴挙」「当然」と専門家の見方も分かれている。
ゴーン容疑者は平成22~26年度の報酬を計約48億円過少に有価証券報告書に記載したとして金融商品取引法違反罪で起訴され、今月10日、27~29年度の報酬も計約42億円少なく記載したとして同法違反容疑で再逮捕された。東京地裁が20日、勾留延長を認めなかったことで、早ければ21日にも弁護人から保釈請求が出され、ゴーン容疑者が保釈される可能性もあった。
ところが、保釈請求が出される直前の同日午前、特捜部は日産に損害を与えたとする特別背任容疑でゴーン容疑者を再逮捕した。
この捜査手法について、「権力の私物化だ。保釈されたゴーン氏が検察捜査を批判し始めると、国際社会からの非難に耐えられないと思ったのだろう。緊急事態ということで無理矢理やった再逮捕。苦し紛れの暴挙だ」と強く非難するのは元検事の郷原信郎弁護士だ。
郷原氏は「もともと特別背任容疑で立件できたのであれば、10日に再逮捕していたはず。プロセスからしておかしい」と話す。
一方、「再逮捕は当然」との声もある。元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士は「会社の財産を私的に流用したかどうかという問題に早めに切り込んだ」と評価。「これまでは有価証券報告書の虚偽記載という形式犯に近いものだったが、特別背任などの実質犯はいずれやらなければならなかった。その時期が早まっただけだ」との見方を示す。
会社法や金商法に詳しい専修大法科大学院の松岡啓祐教授も「入り口から本丸へと進む当然のプロセス。ここで釈放されると尻切れトンボになる」と指摘。「日産に個人的な損失を移したという特別背任の構図としてはシンプルで分かりやすい事件だ」と話した。