中国国家統計局が発表した2022年の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前年比3・0%増だった。新型コロナウイルスを厳格に封じ込める「ゼロコロナ政策」を巡る混乱や不動産不況が響き、成長率は21年(8・4%)を大きく下回り、コロナ発生直後の20年(2・2%)以来の低水準。中国政府が掲げた「5・5%前後」の目標を達成できなかった。
そうした中、 中国の国家統計局は17日、香港、マカオを除く中国本土の総人口が2022年末時点で14億1175万人となり、前年から85万人減少したと発表した。毛沢東が進めた大増産運動「大躍進」の失敗で多くの餓死者を出した1961年以来、61年ぶりの人口減少となった。
出生数は956万人で、前年比106万人の減少となり、6年連続で前年を下回った。死亡数は1041万人だった。人口1000人当たりの出生率は6・77人となり、過去最低を更新した可能性が高い。
中国政府は、人口が増えすぎないように調整する「一人っ子政策」を2015年末で廃止した。21年には第3子の出産も解禁したものの、出生数の回復にはつながっておらず、少子高齢化が加速している。発表によると、22年末時点で、65歳以上の人口は2億978万人で、総人口に占める割合は21年の14・2%から14・9%に拡大。男女別では、男性が女性より約3200万人多かった。
中国政府系調査研究機関の中国社会科学院は19年、中国の人口が29年にピークを迎えて30年から減少するとの予測を発表していたが、8年早まった。女性1人が生涯に産む子供の推計数を示す合計特殊出生率は現在の1・3から大幅に向上する公算は小さく、今後も人口減少が続く可能性がある。
国連が昨年7月に公表した人口推計によると、1990年に約8億6100万人だったインドの人口は2022年に14億1200万人に増加するとしている。23年のうちに中国を超え、50年に16億6800万人に達するとの予測を示している。