一 「<よこしまに執著(妄取)されたもの>は虚妄である」と世尊は説き給うた。そうしてすべて形成されたもの(行)は妄取法である。故にもろもろの形成されたものは虚妄である。
二 もしもこの妄取されたものが虚妄であるならば、そこでは何が妄取されるか。ところでこのことがブッダによって説かれたが、それは空を闡明するものである。
三 もろもろのものにとって<それ自体の無いこと>(無自性)が存する。何となればそれらのものが変化することを見るが故に。それ自体(自性)を有しないものは存在しない。
何となれば、もろもろのものに空が存するから。
四 もしも<それ自体>が存在しないならば、何ものに<変化するという性質>があろうか。もしも<それ自体>が有るならば、何ものに<変化するという性質>があろうか。
五 それ(前の状態にあったもの)に<変化するという性質>が無い。また他のもの(のちの他の状態に達したもの)にも<変化するという性質>は適合しない。何となれば、青年は老いることがないから。またすでに老いた者はもはや老いることがないから。
六 もしそのものに<変化するという性質>があるならば、乳そのものが【乳そのものである状態を捨てないで】酪となるであろう。また乳とは異なる何ものか(たとえば水)に<酪たる状態>が起こるだろう【しかし、そのようなことはありえない。それ故にそれとは異なった何ものかが酪ということは理に合わない】。
七 もしも何か或る不空なるものが存在するならば、空という或るものが存在するであろう。しかるに不空でないものは何も存在しない。どうして空なるものが存在するであろうか。
八 一切の執着を脱せんがために、勝者(仏)により空が説かれた。しかるに人がもしも空見をいだくならば、その人々を「何ともしようのない人」と読んだのである。
二 もしもこの妄取されたものが虚妄であるならば、そこでは何が妄取されるか。ところでこのことがブッダによって説かれたが、それは空を闡明するものである。
三 もろもろのものにとって<それ自体の無いこと>(無自性)が存する。何となればそれらのものが変化することを見るが故に。それ自体(自性)を有しないものは存在しない。
何となれば、もろもろのものに空が存するから。
四 もしも<それ自体>が存在しないならば、何ものに<変化するという性質>があろうか。もしも<それ自体>が有るならば、何ものに<変化するという性質>があろうか。
五 それ(前の状態にあったもの)に<変化するという性質>が無い。また他のもの(のちの他の状態に達したもの)にも<変化するという性質>は適合しない。何となれば、青年は老いることがないから。またすでに老いた者はもはや老いることがないから。
六 もしそのものに<変化するという性質>があるならば、乳そのものが【乳そのものである状態を捨てないで】酪となるであろう。また乳とは異なる何ものか(たとえば水)に<酪たる状態>が起こるだろう【しかし、そのようなことはありえない。それ故にそれとは異なった何ものかが酪ということは理に合わない】。
七 もしも何か或る不空なるものが存在するならば、空という或るものが存在するであろう。しかるに不空でないものは何も存在しない。どうして空なるものが存在するであろうか。
八 一切の執着を脱せんがために、勝者(仏)により空が説かれた。しかるに人がもしも空見をいだくならば、その人々を「何ともしようのない人」と読んだのである。