福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

本地垂迹説とはなにか

2017-09-16 | 頂いた現実の霊験
Q,本地垂迹説とはなにか?
A,本地垂迹説とは(総合佛教大辞典による)
「本地である仏が人々を救済するためかりに神の姿となって現れるという説。近世末期まで継続した。神仏習合の初見は文武天皇2年‘(698)伊勢国多気郡太神宮寺遷移の記事で、その後神宮寺は奈良時代に入り気比・宇佐八幡比・鹿島・二荒山・熱田・賀茂などの大社に造立されていった。宇佐八幡は天平勝宝元年749年12月に東大寺大仏鋳造を援助するとの神託により奈良に入京した。これらは神は衆生の一として仏法を悦び僧の供養を受け、仏法を護るものと考えられたからで、そのためまた神のための得度・納経・造寺・造塔などが行われた。平安時代になるとさらに神前読経、神への供養としての写経・図佛などが盛行した。・・また延喜式では筑前国筥崎八幡・豊前国宇佐八幡、常陸国大洗磯崎・同酒列磯崎の各神に菩薩号が付せらる。・・新たに寺院に付置される鎮守神も現れた。弘法大師が稲荷神社を東寺の鎮守とし、高野山開創に当たって丹生・高野両明神の託宣をうけたこと、伝教大師が延暦寺建立にあたって大比叡神・小比叡神を守護神としたことなど。・・やがて神も衆生の一とする旧来の思想は消え、神仏は同格とされ,康和(1099から1104)頃から神仏は同格とされそれぞれ本地佛が定められ平安末期から一般化する。天照大神は大日または阿弥陀。白山明神は大勢至または十一面観音。春日大明神の一宮は不空羂索観音、二宮は薬師、三宮は地蔵、四宮は十一面観音、若宮は文殊。熊野三所権現の家津御子神(本宮)は阿弥陀、夫須美神(那智宮)は千手観音、速玉大神(新宮)は薬師、聖真子は阿弥陀、八王子は千手観音、客人は十一面観音、十禅師は地蔵、三宮は普賢をそれぞれ本地とする。・・・中世以降各社においてそれぞれ独特の理論付が行われた。その顕著なものが伊勢神道と山王神道である。伊勢神宮では外宮を中心として天地麗気記・神道五部書(宝基本記・御鎮座伝記・御鎮座次第記・鎮座本記・倭姫命世紀)神道八部書(五部書に古老口実伝・神皇実録・二所大神宮神命秘書)が出て習合神道理論を展開、それは度会家行の類聚神祇本源により整理統合された。日枝神社でも・・山王一実神道原(慈等)山王一実神道記(慈本)により完成された。熊野では平安末に熊野権現御垂迹縁起により習合理論樹立の先駆を示した。・・日蓮は日本国三千余社大小神祇はすべて釈迦の子息であり、釈迦を本地とするとのべた。一遍も熊野に参詣して念仏弘通の開示を受けるとともに遊行の途次おおくの神社に参拝して神祇信仰との不離一体を示した。・・・蓮如も御文で本地垂迹説を説いて門徒を教化した。曹洞宗の無著妙融は神祇に諸仏菩薩と同等の功徳があるとした。
『文化的発現』中世になると僧形八幡像(薬師寺、東大寺)、蔵王権化像・牛頭天王像・伊豆山権現像・立山権現像・役行者像、伊勢神宮と習合した雨寶童子像・金剛童子像などがあらわれた。絵画については多くの垂迹画が現れ、熊野曼荼羅図・春日曼荼羅図・山王本地佛曼荼羅図・男山八幡曼荼羅図・富士曼荼羅図・熱田宮本地佛曼荼羅図・伊勢両宮曼荼羅図・吉野曼荼羅図・立山曼荼羅図・多武峰曼荼羅図・北野曼荼羅図・多賀曼荼羅図など各社特有の曼荼羅図が多く書かれ、山王霊験記・春日権現験記・若狭国鎮守一宮縁起・北野本地・北野天神縁起・松崎天神縁起・荏柄天神縁起・若狭彦絵系図等の絵巻物も制作された。
『文芸』安居院医院作「神道集」に収められているような諸社の習合縁起が作られ』更に発展して八幡本地・熊野本地・伊豆箱根の御本地・祇園の御本地・浅間御本地由来記・上野赤城御本地・諏訪本地兼家などの本地物と呼ばれる一連の作品を生み出した。また八幡講式・熱田講式・毘沙門講式・大黒天講式・白紙祭文・三宝荒神祭文・熱田講和讃・信州念仏和讃などが作られた。
『年中行事』平安時代から諸方面の行事に浸透。石清水八幡の修正会・心経会・春秋彼岸会・卒塔婆会・弥勒会・盂蘭盆会・放生会・天台大師供・仏名会・追儺など恒例行事のほとんどが仏教的色彩の強いものである。
『南北朝以後』吉田兼倶の「唯一神道名法要集』にいたり神道を根本とする根葉花実論を説き反本地垂迹説を完成させた。
江戸時代は、比叡山の山王一実神道、高野山の御流神道、慈雲の雲伝神道などが発達。一方儒者や国学者の間に廃仏論が盛んになるが実際の信仰上は江戸時代末期まで広く行われた。
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