福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

金勝王經祕密伽陀

2021-11-19 | お大師様のお言葉

金勝王經祕密伽陀

圓律師(真圓・大師の弟子)眇年にして俗を脫す。器は則ち瑚璉(尊い器)なり。江海の經論、懸河の其の辨、國家之を屈し最妙典を講ぜしむ。公予に託して伽他を覓もとむ。余時觀暇なく匠に代わりて仁に當り、凍筆を寒燈に含んで深致を釣る。散を遠ざけ思いを凝らし、乙夜(五更のうちの二更・午後10時)に金石を沙汰す。總て十七偈を得たり。勒して一軸となし金勝王經祕密伽他と名く。

夫れ如來の說法は必ず顯密二意を具す。顯は則ち常途の所談是也。密は則ち祕藏の所論卽ち是也。顯家之趣は曆代の口實なり。密藏之旨は此土未だ解せず。今此經を見るに傍には顯義を說き、正しくは眞言を以て立宗す。所以に自宗義を擧け以って頌詞を樹つ。冀こひねがわくは博逹之士、疑怪を致すなかれ。

于時弘仁四年季冬之月也

歸命伽陀七言

帰命したてまつる。釋迦と四智佛と甚深難解金光明と 三身は本より我心裏に在り 因果倶時の妙境堺と 金龍國主心王法と 雜類諸天心數衆と 定惠表示の

男女像と 無心感應自他躬とに。

 

衆生は盲瞑にして心佛に迷ひ 自ら無盡の珍あるを知らず 我祕藏本有義に託し

 略ほぼ此の經の祕法輪を頌す 願くは有緣者をして知聞せしめ 忽ちに心中の最勝仁を見て 處處に二利行を廣行し 不證にして無垢塵を證せしめん。

第一卷序品          今勸請に用ゆ     

能寂は常に鷲頂の室に居し 遮那は鎭に法界宮に住す 彌陀と不動と理何ぞ異る 天鼓と寶生と智則ち同じ 金に比し光に比す最勝法 象の如く龍の如し和合衆 

海滴刹塵の救世は 四量六通にて愚童を濟ふ 谷に似たり鏡に似たり不請の友 

無色無像非宰の功なり 是故に我等三業を浄め 君の為國の為に誠忠を竭す 不來にして來り金像を降し 無念にして念じて玉躬を護る 四海康哉にして帝力を忘れ 百工良才樂無窮 畝に破塊の雨無く葉に有不鳴の風あり 四生霔霑に潤ひ

三寶更に興隆す

 

  懺悔伽陀

過を知りては必ず改くるは君子の行 途に迷ふて速かに返れば痛を為さず 隋珠荊玉誰か瑕無らん 釋子禿兒皆な凶あり 殺偸婬穢は身の三戟 妄麁綺間は口の四鋒 貪瞋癡邪は心に常に涌く 我我執等は意に永く封ず 色を愛し味に耽り廣く咎を作す 境に迷ひ事に眩んで蹤を悛めず 教に違ひ理に違ひ慚愧無し 自ら害し他を害すること毒蜂に踰たり 覆へば則ち長劫に僞獄に沈み 發陳すれば卽ち佛の眞容を見る 佛菩薩の如く悉く懺露 し奉る 五眼通の者は咸な宥めて縱したまへ。

 

  壽量舍利𣵀槃等の趣、合して發願に用ゆ  

三身は常に不動 四相豈に能く移らんや 妙幢情怪しみ惑ふ き子意禔に貪る 龜衣寧ろ凍を禦がん 兔梯本と施し難し 馱覩何の處にか有る 圓成と十奇と 虛空誰か際あらん 法體卽ち無爲なり 無邊福を得んと欲せば 應當に如是に知るべし

 

  第二卷              三身品  

三身不異 四德圓融 應化無別 法身同なる有り 法如と如智と 如寶如空 三昧の願力 四八無窮なり 大定・悲・惠 時に乘じて風を垂れ 事は同じく意は一なり 體鎔し相ひ通ず 日光月影 金身玉躬 他を益し幻現す

 

  夢見懺悔品

夢中の六趣は本と僞多し 覺裏の三點(法身・般若・解脱)は實に眞饒し 寓

語羅門は一淨業 假談妙幢は二美因 不壞法智は金鼓を稱し 心淨瑠璃は佛身を見る 異生は此の理趣を解せず 長夜に耽眠して神を蕩けんす 大覺悲憐して此

品を説き 諸蠶蟄をして沈淪を出でしむ 願くは衆生と共に每に持誦し 

無盡刹中に法輪を転ぜん

 

  第三卷              滅業障品             

害馬は三業に屬し 觀牛は一眞に會す 如來は禪定に入りて 此緣因を觀察す 釋提は四請を為し 伽梵は彼岸を指す 懺・隨・迴・勸・發は 能く佛三身を證す

 

  第四卷              最淨地陀羅尼品  

佛智と衆生とは卽ち我が心なり 圓通稱入すれば最幽深なり 陀羅・十地・三摩等 貪庭の淸淨金に異ならず 十種波羅無盡藏 本來具足し但今には非ず 之を開きて授與すれども人の得る無し 不減不增にして響音を絶す

 

  第五卷              蓮花喩讃品         

禪名樹女 理を蓮華と號す 金龍は是れ惠 佛家に生在す

銀光は卽ち止 證道遐かならず 假に法性を説く 奇なるかな釋迦

 

金勝顯空滿願四王四品      七言      

金勝の眞言は諸佛の母 諦觀し思惟すれば身空を解す 六根五蘊相ひ識らず 

一一の細念は我が躬に非ず 是の理を修行せば寶耀を得る

男に非ず女に非ず蓮宮に坐す 四大梵王歸して接足し 妙なる哉、法力人をして崇めしむ

 

  第六卷              四天王護國品     

法帝人帝道を異にせず 治身治國は前賢の方 能く持し能く護るは心主に由る 地久天長は意王に屬す 内外の刹土何を以てか樂しまん 深法を修觀せば德無彊なり 人を敬ひ法を敬へば四天護る 法を遺れ人を遺れば身國亡ぶ

 

  第七卷              無染著陀羅尼・如意寶珠眞言・觀音眞言・祕主乃至辨才天等 七言             

我が心淸淨にして是れ染無し 能く諸願を滿すれば寶珠と號す 秘主・觀音・梵・帝釋 多聞・諸龍悉く我が軀なり 四無礙辨才天女 此の深義を解するを丈夫と曰ふ 若し衆生有りて是の趣を得れば 覺苑に優遊する則ち須臾なり

 

  第八卷              吉祥天・堅牢・僧愼夜叉  

大吉天女は諸佛の母 堅牢地神は不動心なり 神通捷疾の夜叉將 覺眼にて知見せば祕正しく了す 鬼女は實體に非ず 實相は元來來去せず 寓言名色の像を取ること莫れ 言を忘れて意を得れば圓寂を證す

 

  王法政論品      七言      

國主と心王と其の法同じ 心を修めて國を修むれば道則ち通ず 惡人煩惱縱ままにして撿せざれば 象の蓮池を踘む身遂に終る 法寶を尊重せば天護護り 正教に順ぜざれば證する能はず 内外兩刹土を餝らむと欲せば 必ず須からく十號の雄に歸依すべし

 

  第九卷              善生王・諸天夜叉・授記・除病・流水等品五品 七言             

斷惡修善は是れ善生 諸天夜叉は護持の兵なり 意無分別なれば授記を得 心病除きて五眼明かなり 大慈大悲は流水に譬へ 無我無執にして玉京に遊ぶ 二利圓にして能事畢り 六通備へて梵天迎ふ

 

  第十卷              捨身品 四言      

奇哉勇猛 命を忘れて仁を成す 五蘊は假借なり 一如は實眞なり 利他道に殉ず 道は是れ遺れず 大士物を濟ふ 何すれど身を戀はむや 之を捨れば徳廣し 永劫に名を陳ぶ 之の子、之の行 卽ち果、即ち因なり

 

  讃歎品              四言      

功成り道隆んに 徳立って功を詠ず 法界は其體なり 其の心は空の如し 非相を相と為し 無躬は卽ち躬なり 之を歎ずれども及ばず 不讃圓宗

 

  付屬品 五言

大寶空しく授けず 人に由りて道則ち傳ふ 文殊顧囑に膺(あた)り

綴集して全篇と為す 金仙影を滅すと雖も 玉偈廣く流宣す

虚空質礙となると雖も 此の法豈に能く遷らむや

 

至心懺悔

我れ、無明妄三業に由りて 夢裏に衆多の惡を造作す 乘覺思惟するに作者なし 我心は空の如し罪何ぞ住せん 三業畢竟して所有無し 十惡卽是れ十善等なり 善惡二法は自性無し 無染無淨にして平等如なり 如如も亦た空、空も亦た空なり 空空大空は卽ち大覺なり 我等、空王の前に對し奉りて 不懺にして懺す、哀んで攝受したまへ

 

  至心發願

願くは我れ妙經王を演說せむ 一一の聲字は皆な實相なり 實相は三世間に周遍して 平等平等にして偏黨無し 所生の功徳は無限量なり 願くは共に國王・五大類とともに 十方衆生海を窮盡し 平等に一如の宮に證入せむ

 

經中每品頌等、若し歸命を用ひば皆な先ず稱し、弟子厶甲等   歸命盡十方最勝業遍智云云と言ひ              末後に大覺牟尼尊に歸命頂禮すといふべし。若し發願を用ひば先ず誦して「弟子厶甲等   至心發願」と言ひ末後に發願し已りて「歸命頂禮大覺牟尼尊」というべし。      

若し懺悔・勸請・迴向等を用ふれば隨宜に便ち通用せよ。皆な悉く如是に作物して後、詞を增加せむ。

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