福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

大乗起信論・・1

2023-08-01 | 諸経

大乘起信論一卷
馬鳴菩薩造
梁西印度三藏法師眞諦譯
盡十方 最勝業遍知 色無礙自在 救世大悲者(十方の限りを尽くすすべての最勝の業をなす仏たち、あまねく世界を知り無碍自在の体をもち大悲心をもって世を救う仏たち)
及彼身體相 法性眞如海 無量功徳藏 如實修行(およびその仏たちの体の本性は真如の海の如き無量の功徳を蔵し、如実に修行する方々)等に歸命す。
衆生をして 疑を除き、耶執を捨て
大乘正信を起して 佛種不斷ならしめんと欲するが故に。
論に曰。法の能く摩訶衍信根(大乗への信心)を起す有り。是の故に應に説くべし。説くに五分有り。云何んが五となす。一者因縁分(動機)。二者立義分(主題)。三者解釋分(解説)。四者修行信心分(信心と修行)。五者勸修利益分(修行の薦めと効果)なり。

初に因縁分を説かん。
問うて曰く。何の因縁ありて此論を造るや。
答曰。是因縁に八種り。云何爲八。
一者因縁總相。所謂衆生をして一切苦を離れ究竟樂を得しめんがためにして、世間の名利恭敬を求めるがゆえにあらざるなり。
二者如來根本之義を解釋して、諸衆生をして正解して謬らざらしめんと欲するが故なり。三者善根成熟せる衆生をして摩訶衍法において堪任して信不退ならしめんための故なり。四者善根微少なる衆生をして、信心を修習せしめんがための故なり。
五者方便を示して惡業障を消し、善く其心を護り、癡慢を遠離して邪網を出しめんがための故なり。
六者止觀を修習することを示して、凡夫二乘心過を對治せしめんがための故なり。
七者專念の方便を示して、佛前に生じ必定して不退信心ならしめんが故に。
八者利益を示して修行を勸めんがための故なり。是のごとき等の因縁あり。所以に論を造る。

問曰。修多羅(経典)の中に具に此法あるに何ぞ重ねて説くを須いんや。
答曰。修多羅の中に、此法ありと雖も、衆生の根行等しからざると受解の縁別なるとを以ってなり。(お経に説いてあっても人々の心根や受け入れる縁は別々であるから)
所謂如來の在世には衆生利根にして能説之人は色心の業勝れたれば、圓音一たび演ぶるときは異類等しく解して、則ち論を須いざるも、如來滅後のごときは、或いは衆生能自力をもって廣く聞いて解を取る者あり、或いは衆生の亦自力をもって少しく聞いて多く解する者あり、或いは衆生の自心力なければ廣論によりて解を得る者あり。自ら衆生の復た廣論の文の多きものをもって煩となし、心に總持の少文にして多義を攝するものを樂うて能く解を取る者あり。是の如くなれば、此論は、如來の廣大深法無邊義を總攝(要約)せんと欲するが為なり。故に應に此論を説くべきなり。(続)

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