実語教
2018-04-18 | 諸経
実語教(傳、弘法大師作、平安時代から江戸時代まで寺子屋等で庶民に教えられた。)
山高きが故に貴からず、 樹あるを以て貴しとなす 。
人肥たるが故に貴からず、 智あるを以て貴しとなす。
富はこれ一生の財、 身滅すれば即ち共に滅す。
智はこれ万代の財、 命終れは即ち随ひて行く。
玉磨かざれば光なし、 光なきを石瓦となす。
人学ばざれば智なし 、智なきを愚人となす 。
倉の内の財は朽ることあり 、身の内の才は朽ることなし。
千両の金を積むと雖も 、一日の学には如かず 。
兄弟常には合はず 、慈悲を兄弟となすせ。
財物は永くは存せず 、才智を財物となせ。
四大日々におとろへ 、心神は夜々にくらし 。
幼き時勤学せざれば 、老て後、恨み悔ゆと雖も 、尚ほ所益あることなし 。
故に書を読みて倦むことなかれ 、学文に怠る時なかれ 。
眠を除いて通夜に誦せよ 、飢を忍びて終日習へ 。
師に会ふと雖も学ばざれば 、徒に市人に向ふが如し。
習ひ読むと雖も復せざれば 、只隣の財を計るが如し 。
君子は智者を愛し、 小人は福人を愛す。
富貴の家に入ると雖も 、財なき人のためには なほ霜の下の花のごとし。
貧賤の門に出づと雖も 、智ある人のためには 、あたかも泥中の蓮の如し。
父母は天地の如く、 師君は日月の如し。
親族はたとへば葦の如く、 夫妻はなほ瓦の如し。
父母には朝夕に孝せよ、 師君には昼夜に仕へよ 。
友に交りて諍ふことなかれ、 己より兄には礼敬を尽し、 己より弟には愛顧をいたせ 。
人として智なきものは 、木石に異ならず、 人として孝なきものは、 畜生に異ならず 。
三学の友に交はらずんば 、何ぞ七覚の林に遊ばむ。
四等の船に乗らずんば 、誰れか八苦の海をわたらむ。
八正道は広しといへども 、十悪の人はゆかず。
無為の都は楽しと雖も、 放逸の輩は遊ばず。
老いたるを敬ふは父母のごとくし、 幼きを愛するは子弟のごとくせよ。
我れ他人を敬へば 、他人また我を敬ふ。
己人の親を敬へば、 人亦己が親を敬ふ。
己が身を達せんと欲するものは 、先づ他人を達せしめよ 。
他人の愁を見ては 、すなはち自ら共に患ふべし 。
他人の喜びを聞ひては 、すなはち自から共によろこぶべし。
善を見ては速かに行ひ、 悪を見てはたちまちに避けよ。
善を修するものは福を蒙むる 、たとへば響の音に応ずるが如し。
悪を好む者は禍をまねく、 あたかも身にしたがふ影の如し 。
富むといへども貧しきを忘ることなかれ、 貴しといへども賤しきを忘ることなかれ。
或は始は富みて終りに貧く、 或は先に貴くして終に賤し。
夫れ習ひがたく忘れやすきは 音声の浮才。
また学び易く忘れがたきは 、書筆の博芸なり。
但し食あれば法あり、 亦身あれば命あり 。
猶ほ農業を忘れず 、必ず学文を廃することなかれ 。
故に末代の学者、先づこの書を案ずべし。
是れ学問のはじめなり 、身をはるまで忘失することなかれ。
山高きが故に貴からず、 樹あるを以て貴しとなす 。
人肥たるが故に貴からず、 智あるを以て貴しとなす。
富はこれ一生の財、 身滅すれば即ち共に滅す。
智はこれ万代の財、 命終れは即ち随ひて行く。
玉磨かざれば光なし、 光なきを石瓦となす。
人学ばざれば智なし 、智なきを愚人となす 。
倉の内の財は朽ることあり 、身の内の才は朽ることなし。
千両の金を積むと雖も 、一日の学には如かず 。
兄弟常には合はず 、慈悲を兄弟となすせ。
財物は永くは存せず 、才智を財物となせ。
四大日々におとろへ 、心神は夜々にくらし 。
幼き時勤学せざれば 、老て後、恨み悔ゆと雖も 、尚ほ所益あることなし 。
故に書を読みて倦むことなかれ 、学文に怠る時なかれ 。
眠を除いて通夜に誦せよ 、飢を忍びて終日習へ 。
師に会ふと雖も学ばざれば 、徒に市人に向ふが如し。
習ひ読むと雖も復せざれば 、只隣の財を計るが如し 。
君子は智者を愛し、 小人は福人を愛す。
富貴の家に入ると雖も 、財なき人のためには なほ霜の下の花のごとし。
貧賤の門に出づと雖も 、智ある人のためには 、あたかも泥中の蓮の如し。
父母は天地の如く、 師君は日月の如し。
親族はたとへば葦の如く、 夫妻はなほ瓦の如し。
父母には朝夕に孝せよ、 師君には昼夜に仕へよ 。
友に交りて諍ふことなかれ、 己より兄には礼敬を尽し、 己より弟には愛顧をいたせ 。
人として智なきものは 、木石に異ならず、 人として孝なきものは、 畜生に異ならず 。
三学の友に交はらずんば 、何ぞ七覚の林に遊ばむ。
四等の船に乗らずんば 、誰れか八苦の海をわたらむ。
八正道は広しといへども 、十悪の人はゆかず。
無為の都は楽しと雖も、 放逸の輩は遊ばず。
老いたるを敬ふは父母のごとくし、 幼きを愛するは子弟のごとくせよ。
我れ他人を敬へば 、他人また我を敬ふ。
己人の親を敬へば、 人亦己が親を敬ふ。
己が身を達せんと欲するものは 、先づ他人を達せしめよ 。
他人の愁を見ては 、すなはち自ら共に患ふべし 。
他人の喜びを聞ひては 、すなはち自から共によろこぶべし。
善を見ては速かに行ひ、 悪を見てはたちまちに避けよ。
善を修するものは福を蒙むる 、たとへば響の音に応ずるが如し。
悪を好む者は禍をまねく、 あたかも身にしたがふ影の如し 。
富むといへども貧しきを忘ることなかれ、 貴しといへども賤しきを忘ることなかれ。
或は始は富みて終りに貧く、 或は先に貴くして終に賤し。
夫れ習ひがたく忘れやすきは 音声の浮才。
また学び易く忘れがたきは 、書筆の博芸なり。
但し食あれば法あり、 亦身あれば命あり 。
猶ほ農業を忘れず 、必ず学文を廃することなかれ 。
故に末代の学者、先づこの書を案ずべし。
是れ学問のはじめなり 、身をはるまで忘失することなかれ。