福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

「神祇秘抄」・・1/22

2024-03-01 | 諸経

「神祇秘抄」・・1/22

「神祇秘抄」(この書は南北朝期成立と言われる。末尾に「此書者或僧〔号俊融〕所記云々」とあり、俊融なる者が撰述したことが分かるが俊融については不明。大日如来・天照大神一体論を主題として論じている。)

 

「圓覚經に云、十方の諸菩薩皆大悲願を以て示現して生死に入る」(大方廣圓覺修多羅了義經に「十方諸菩薩は 皆な大悲願を以て 生死に入ることを示現す 現在の修行者及び末世の衆生、 勤めて諸の愛見を断じ 便ち大圓覺に歸せ」)

 

神祇秘抄上

夫れ神道は幽微にして其の體測り難し。法身は無體にして其の説希夷也。

假に周遍法界の理を以て之を天照神と號す。暫く法爾具足の説に属し之を無覚門と名く。傳へ聞く、吾朝開闢の縁起は神書秘記に疑ひ無き歟。鐵塔開扉磐戸は密教傳ふる所に誠有り乎。然りと雖も生盲は日月を見ず、聾騃は雷鼓を聞かず。矧(いわんや)神仏本迹の迷い何時にか之を祥(つまびらかに)せん。法應(法身佛・應身佛)権實の説誰人か之を得ん。四種の言説(相言説・夢言説・妄執言説・無始言説)は此に於いて盡(つき)、九識(六識・末那識・阿梨耶識・多一識)の心量皆虚妄なり。爰を以て師聖哀悲を垂れ迷に提撕を示す。今愚機感を喜びて教藥において疾を治す。爾時、敦祥之載(午の歳)、蕤賓の節(ずいひんのせつ・五月)、廿餘の問答成り、神佛不二を決し三巻の口決を造りて神祇秘抄と名く。師聖云、法身天照の全體、神道密教の離、无念の智を以て之を覚り、不二の理を以て之を示す。常に座右に置くこと眼精を護る如し。上智に非ざる者は見聞を許す勿れ。浅機に於いては忽ちに哢言を為す。然れば深法誹謗の因、闡提無間の業、恐るべからず乎、慎むべからず矣。

 

  • 天地立相幷神道等の事。二、神命體事。三、神来降事。四、就神體其の義繁多の事。五、地神第一尊欲界主元初の事。六、御鎮坐の事、七、太神宮秘所の事。八、神號分別の事、九、神所變事。十、神の天上天下の事。十一、日本は神生國なる事。十二、神佛本迹の事。十三、神明法楽により善悪二邊を顕す事。十四、太神宮僧尼を忌む事。十五、太神宮求聞持相應の事。十六、神は不生の理又三千界の主なる事。十七、神道と密教と一致の事。十八、太神宮両部を宰する事。十九、神は水火を以て體と為す事。廿、天照神と大日本垂迹の事。廿一、太神宮仕狼の事。廿二、大師と天照神一體の事。

 

  • 天地立相幷神道等の事

問、天地門と四方立相幷神道等の事如何。

答、天地の元初は鶏卵の如し。陰陽相闘せしめて二分す、澄たるは天と為り濁りたるは地と為る。深意を以て之を解するに、爾の一顆の珠より理智二法生れて、天地両盤を建立する也。或秘釈に云く、ばん(梵字)字は法界の種、相形圓塔の如し(金剛頂經大瑜伽祕密心地法門義訣卷上「鑁字法界種。相形如圓塔名法身塔。」)。之に依りて四方立相(宇宙)の元初、圓形一果の珠、方角に流出し漸く八方八葉の象を成す。皆法然一果の所生也。所謂天神七代(国常立尊、国狭槌尊、豊斟渟尊、埿土煮尊・沙土煮尊、大戸之道尊・大苫辺尊、面足尊・惶根尊、伊弉諾尊・伊弉冉尊)は七星(貪狼、巨門、禄在、文曲、廉貞、武曲、破軍)、地神五代(天照大神、天忍穂耳尊、瓊瓊杵尊、火折尊、鸕鶿草葺不合尊)は地の五行(木火土金水)なり。

次に神道の事、虚妄の所知に非ずと雖も暫く日本紀の説に就いて秘旨を以て之に料簡す。先ず神に三種の神、四種の異名、四種の異名とは四種法身也。三種の神とは一は本覚の神、是則ち本来不生の一念、諸仏の内證智なり。天照太神是也。二は始覺の神、即ち諸の権化の垂迹、悲願力に依り神明を現じ給ふ。皆本地有るべし。八幡等の神是也。三は實冥の神、是又劫初より下天する諸の荒振神なり。祭禮等の法楽に依り暫く善悪の利應區(まちまち)なり。出雲大社等の神是也。今此の實冥と法性との二神は不生一念の上に暫く善悪の相各別の故に、其の性は然も一致して二念起こすと云々。故に法性實冥の二神と為也。

 

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