大方廣佛華嚴經巻六賢首菩薩品第八の一
[爾時文殊師利。偈を以て深義に了達せる淨徳賢首菩薩に問うて曰く、
『佛子よ、我已に 菩薩清淨行を説きぬ。
一切諸の世尊の 咸な共に讃歎したまふ所なり。
又諸大士衆の 甚深微妙行、功徳廣大義を 仁者應に演説すべし。』
賢首菩薩答
『佛子善く諦聽せよ、 菩薩の諸の功徳は 無量にして邊あることなし
・・・
佛及法僧において 深く清淨の信を起こし 三寶を信敬するが故に 能く菩提心を發す。
五欲の樂、寶貨・諸財利を求めず、亦た自ら安ずることを求めず 世の名聞を希望せず。
衆生の苦を 滅除して盡く余りあることなからしめ、誓ってこれ等の類を度せんとして 菩薩は初發心す。
常に衆生をして 離苦し永く安樂ならしめんと欲して 一切刹を嚴淨し、 無量の佛を供養す。
樂ねがひて佛の正法を立て 無上道を得んと欲し、一切智を淨修せんとして 菩薩は初發心す。
深心の淨信は不可壞にして 一切の佛を恭敬供養し、正法及聖僧を尊重し、 三寶を信敬するが故に發心 す。
深く諸佛及正法を信じ 亦た菩薩所行の道を信じ正心に佛菩提に向かうことを信ず、 菩薩は是によりて初 發心す。
信は爲れ道の元、功徳の母なり。 一切諸善法を増長し、一切諸疑惑を除滅し、 無上道を示現開發す。
淨信は離垢にして心堅固なり、 憍慢を滅除し恭敬の本となる。
信は是れ寶藏第一法にして 清淨の手となりて衆行を受くなり。
信は能く諸染著を捨離し、 信は微妙甚深法を解し、
信は能く轉うたた勝れたる衆善を成じ、 究竟して必ず如來處に至る
諸善根を清淨明利にして 信力は堅固にして不可壞なり。
信は永く一切惡を除滅し、 信は能く無師寶を逮得す。
信は法門において無障礙なり。 八難を捨離して無難を得、信は能く衆魔の境を超出して無上なる解脱の 道を示現す。
一切功徳の不壞種にして 無上の菩提樹を出生し、最勝智慧門を長養す、 信は能く一切 の佛を示現す。 ・・・