福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

義手の女の子の物語

2013-12-18 | 法話
「致知」こちらにある、酒井大学という禅僧の文の要約です。
酒井師は高校で教師をされているようですがその生徒に義手の女子生徒がいました。
「三年生の時の運動会で、彼女は皆と一緒にダンスに出場していました。
一㍍ほどの青い布を左右の手に巧みに持ち替えながら、
音楽に合わせて踊る姿に感動を抑えられなかった私は、
彼女に手紙を書きました。
「きょうのダンスは一際見事だった。
校長先生もいたく感動していた。
私たちが知らないところでどんな苦労があったのか、
あの布捌きの秘密を私たちに教えてほしい」という内容です。

四日後、彼女から便箋十七枚にも及ぶ手紙が届きました。
ダンスの布については義手の親指と人差し指の間に
両面テープを張って持ち替えていたとのことで、
「先生のところまでは届かなかったかもしれませんが、
テープから布が離れる時、ジュッという音がしていました。
その音は私にしか聞こえない寂しい音です」と書かれてありました。
十七枚の便箋には生まれてから今日まで
彼女が生きてきた道が綿々と綴られていました。

彼女が右手を失ったのは三歳の時、囲炉裏に落ちて手が焼けてしまった為です。
彼女は、小学校入学までの三年間、障害児の施設に預けられますがその卒園の日、園長先生が「今日子(仮名)ちゃんがここに来てからもう三年になるね。
明日家に帰るけれども、帰って少しすると今度は小学校に入学する。
でも今日子ちゃんは三年もここに来ていたから
知らないお友達ばかりだと思うの。
そうするとね、同じ年の子供たちが周りに集まってきて、
今日子ちゃんの手は一つしかないの?
なにその手?と不思議がるかもしれない。

だけどその時に怒ったり泣いたり隠れたりしては駄目。
その時は辛いだろうけど笑顔でお手々を見せてあげてちょうだい。
そして『小さい時に火傷してしまったの。
お父ちゃんは私を抱っこしてねんねする時、
この短い手を丸ちゃん可愛い、丸ちゃん可愛いとなでてくれるの』と話しなさい。いい?」といって 園長先生は彼女をぎゅっと抱きしめて声をころして泣いたそうです。
彼女はその後、大学を出て
「辛い思いをしている子供たちのために一生を捧げたい」と
千葉県にある肢体不自由児の施設に就職しています。」
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