「また毘舎佉母(びしゃきゃも、古代インドの大臣夫人)の指の環の 落ちて入り江に沈みしも 元の指端に 還りたる ためしは実にいなまれず」
これは十善戒の第二、不偸盗戒を讃嘆するなり。昔佛世尊、広厳城より出て逝多林給孤独園(ぜーたりんぎじゅぎっこどくおん、祇園精舎のこと)に来たりて住したまう。そのときに勝光王の大臣の夫人に毘舎佉母鹿子母(びしゃかろくしも、お釈迦様の女性弟子の一人、鹿子母講堂を寄進したことで有名)という信者あり。仏が給孤独園に来給うことを聞き、種々の瓔珞をもって徧身を飾り、給孤独園に赴き、瓔珞を脱ぎ侍者に渡し、鮮白の服に着替えて佛を礼拝す。世尊、種々の深妙の法を説示したまい、毘舎佉鹿子母は身心清澄になり帰るときに彼の侍者、瓔珞を園樹の下に置いたまま忘れる。しかし阿難がそれを拾い保管していたので、無事毘舎佉鹿子母の元に帰った。このとき毘舎佉母はその子に「自分はかって財を失ったことはないのである」と告げる。子はそれを試そうと、母のこの指輪を井戸の中に投じるが、それは釣瓶の中に落ちて侍女の発見する所となった。また次にこの子は、指輪を深い河に投じる、しかし今度は市場で買った魚の腹の中からこれが発見された。こうした奇跡は、この毘舎佉母が前世で不偸盗戒を守った余徳によるものである。この戒(不偸盗戒)は法性の功徳の顕現したものであるから、智者は是を持たねば、智を失う。愚者はこれを持たねば刑罰をまぬかれない。王侯大夫はこれ(不偸盗戒)をもたねば国が治まらない。庶民がこれ(不偸盗戒)を持たねば家が整はない。中央の國も辺境の国もこれ(不偸盗)を守れば福報があり、これを守らなければ災害が身に及ぶ。(中国・ロシア・韓国が領土を不法占拠(窃盗)していますがこれらの国はこの不偸盗戒を犯しているので必ず災害が及ぶことになります)
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