「影勝王の象の子の 産に臨みて悩みしも 牧女(うしかいおんな)の操にて 誓って分娩せしめたり」
ここは第三不邪淫戒の功徳を讃嘆する。影勝王とはマカダ国阿闍世王の父にして韋提希婦人の夫、頻婆沙羅王(びんびさらおう)のことなり。この王の威光は閻浮提に冠たり。後宮に二万の彩女ありて侍給せり。時に王の乗用の牝象、胎みて分娩の機に臨んで困難し苦しんで児を産することを得ず。時に王、後宮の后妃以下二万の彩女に命じて曰く「誰か真実語をもって天に誓ってこの象をして分娩せしむるものありや?」。二万の采女は誰も答えるものがいなかったが醜い一人の牧女が「自分は少女のときから今まで夫以外の男性と私語を交え肌に触れたことはありません。この言葉が真実であるとお認め頂ければこの象を無事分娩させてください。」というと象は無事分娩できた、という故事がある。後宮の二万の美女はこの醜い一人の牧女の操の徳におよばなかった。表面上の美は無形の美に及ばざる事かくの如しである。世の人々は表面上の美を求めて飾るが、無形の美を求めないのは十善道徳のなにたるかを知らざる過ちである。道徳は目に見えないものに向かって流れてやまざるものである。因果応報の真理を思はざるべからず。
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