金光明最勝王經・全訳・・19/32
金光明最勝王經・堅牢地神品第十八((堅牢地神は天部の神で曼荼羅の地天と同一とされる)この地神が金光明経の守護者を守ると説く。地神の呪あり。)
爾時、堅牢地神、即衆中において座より起ち合掌
恭敬して白佛言「世尊。是の金光明最勝王經は
若しは現在世にあれ若しは未來世にあれ、若しは城邑聚落王宮樓觀及阿蘭にあれ、若しは山澤空林にあれ、此の經王の流布之處あらば、世尊よ、我は當に其所に往詣し、供養恭敬擁護流通すべし。若し方處ありて、説法師のために高座を敷置し經を演説する者は我神力を以て本身を現ぜずして座所にありて、其足を頂戴すべし。我聞法するを得ば、深心歡喜し法味を飡餐するを得て、威光を増益し慶悦無量ならん。自身既に如是の利益を得て亦た大地をして深きこと十六萬八千踰繕那にして金剛輪際に至らしめ、其地味をして悉く皆な増益し乃至四海所有土地を亦た肥濃にして田疇沃壤なること常日に倍勝ならしめん。亦復た此の贍部
洲中の江河・池沼・所有る諸樹藥草叢林・種種花
果根莖枝葉及び諸苗稼をして形相愛すべく、衆の樂觀する色香を具足し皆な受用に堪ひしめん。若し諸有情にして如是の勝飮食を受用せば長命色力諸根安隱にして増益光輝・無諸痛惱・心慧勇健無不堪能ならん。又た此の大地の凡そ所須ある百千の事業は悉く皆な周備せん。世尊。是の因縁を以て諸贍部洲は安隱豐樂・人民熾盛・無諸衰惱・所有衆生皆受安樂ならん。既に如是の身心快樂を受け、此經王において深く愛敬を加へ所在之處、皆な願くは受持供養恭敬尊重讃歎せん。又復た彼の説法大師法座之處、悉く皆な彼に往き、諸衆生の爲に是最勝經王を説んことを勸請せん。何以故。世尊。此の經を説くことによりて我之自身并に諸眷屬は咸く利益を蒙り、光輝氣力・勇猛威勢・顏容端正にして常に倍勝すればなり。世尊。我堅牢地神は法味を蒙り已りて贍部洲縱廣七千踰繕那地をして皆な悉く沃壤ならしめ、乃至前の如く、所有る衆生皆な安樂ならしむ。是故に世尊、時に彼の衆生は我が恩に報ずるために應に是念を作すべし。我れ當に必定して是經を聽受し恭敬供養・尊重讃歎せんと。是の念を作し已り、即ち住處より城邑聚落舍宅空地法會所に詣でて法師を頂禮し是經を聽受すべし。既に聽受し已り各の本處に還り、心に慶喜を生じ、共に是の言を作さむ。「我等今、甚深無上妙法を聞くを得たり。即ち是れ
不可思議功徳之聚を攝受す。經力に由るが故に我等當に無量無邊百千倶胝那庾多佛に値ひ、承事供養して、
永く三塗極苦之處を離る。復た來世百千生中に於いて常に天上に生じ及び人間に在して諸勝樂を受けん」。時に彼の諸人、各本處に還り、諸人衆のために是經王を説く。若し一喩・一品・一昔因縁・一如來名・一菩薩名・一四句頌、或は復た一句、諸衆生のために、是の經典乃至首題名字を説かば、世尊よ、諸衆生所住之處に隨って其地悉く皆な沃壤肥濃たること餘處に過ぎ、凡そ是土地所生之物は悉く増長滋茂廣大なるを得て、諸衆生をして快樂を受けしめ、多饒珍財・好行惠施・心常堅固・深信三寶ならしめん」。是の語を作し已るや、爾時、世尊は堅牢地神に告げて曰「若し衆生ありて、金光明最勝經王乃至一句を聞くかば、命終之後當に三十三天及餘天處に往生すべし。若し衆生ありて、是の經王を供養せんと欲するがための故に、宅宇を莊嚴し乃至一傘蓋を張り、一繒幡を懸けば、是の因縁に由るがゆえに六天之上(四王天・忉利天 ・夜摩天・兜率天 ・楽変化天・他化自在天の上。色界・無色界のこと)に如念に生を受け七寶妙宮隨意に受用し各各自然に七千天女ありて共に相娯樂し日夜常に不可思議殊勝之樂を受けん」。
是の語を作し已り爾時堅牢地神は白佛言「世尊。是の因縁を以て、若しは四衆ありて法座に昇り是の法を説く時、我は當に晝夜に是の人を擁護し自ら其身を隱し座所において其足を頂戴せん。世尊。如是の經典は彼の衆生の已に百千佛所において善根を種へたる者のために、贍部洲に於いて流布して不滅なり。是の
諸衆生にして斯經を聽く者は未來世無量百千倶胝那庾多劫、天上人中において常に勝樂を受け、諸佛に遇ふことを得て阿耨多羅三藐三菩提を速成し三塗生死之苦を歴じ」。
爾時堅牢地神は白佛言「世尊。我に心呪あり。能く
人天を利し一切を安樂にす。若し男子女人及諸四
衆ありて、我が眞身を親しく見ん事を得んと欲する者は應當に至心に此の陀羅尼を持せ。其の所願に随って皆な悉く心に遂ぐべし。所謂る資財珍寶伏藏なり。及び神通・長年・妙藥、并に衆病を療し怨敵を降伏し
諸異論を制せんことを求れば、當に淨室において道場を安置し、身を洗浴し已りて鮮潔衣を著し、草座上に踞し、舍利尊有る像之前に於いて、或は舍利有る制底之所において、燒香散花飮食供養し白月(月の前半)八日布灑星と合ふ時(鬼宿のこと)に、即ち此の
請召之呪を誦すべし
「怛姪他只哩只哩 主嚕主嚕 句嚕句嚕
拘柱拘柱 覩柱覩柱 縛訶縛訶 伐捨伐捨 莎訶」
世尊。此之神呪は、若し四衆ありて、誦一百八遍し我を請召せば我は是人のために即ち來りて赴請せん。又復た世尊よ、若し衆生ありて、我が現身を見るを得て共に語らんと欲する者は亦た應に如前に法式を安置して此の神呪を誦せ。
「怛姪他 頞折泥去 頡力刹泥室尼達哩訶
訶呬呬區嚕 伐囇 莎訶」
世尊。若し人、此の呪を持する時、應に一百八遍を誦し并に前呪を誦すれば、我必ず現身し其所願に隨ひて悉く成就するを得て終に虚然たらざるべし。若し此呪を誦せんと欲する時は、先ず護身呪を誦せ。曰く
「怛姪他儞室里末捨羯㨖 捺㨖矩㨖 勃地
勃地囇 婢㨖婢㨖 矩句㨖 佉婆只里 莎訶」
世尊。此呪を誦する時は五色線をとれ。誦呪二十一遍、
二十一結を作し繋て左臂肘後におき、即便ち護身せば所懼あることなからん。若し至心有りて此呪を誦する者は所求必ず遂ぐ。我妄語せず。我佛法僧寶を以て、而して要契となし是の實なることを證知す」。
爾時、世尊、地神に告げて曰「善哉善哉。汝能く是
實語神呪を以て、此經王及説法者を護る。是因縁を以て汝をして無量福報を獲得せしめん。
金光明最勝王經・堅牢地神品第十八((堅牢地神は天部の神で曼荼羅の地天と同一とされる)この地神が金光明経の守護者を守ると説く。地神の呪あり。)
爾時、堅牢地神、即衆中において座より起ち合掌
恭敬して白佛言「世尊。是の金光明最勝王經は
若しは現在世にあれ若しは未來世にあれ、若しは城邑聚落王宮樓觀及阿蘭にあれ、若しは山澤空林にあれ、此の經王の流布之處あらば、世尊よ、我は當に其所に往詣し、供養恭敬擁護流通すべし。若し方處ありて、説法師のために高座を敷置し經を演説する者は我神力を以て本身を現ぜずして座所にありて、其足を頂戴すべし。我聞法するを得ば、深心歡喜し法味を飡餐するを得て、威光を増益し慶悦無量ならん。自身既に如是の利益を得て亦た大地をして深きこと十六萬八千踰繕那にして金剛輪際に至らしめ、其地味をして悉く皆な増益し乃至四海所有土地を亦た肥濃にして田疇沃壤なること常日に倍勝ならしめん。亦復た此の贍部
洲中の江河・池沼・所有る諸樹藥草叢林・種種花
果根莖枝葉及び諸苗稼をして形相愛すべく、衆の樂觀する色香を具足し皆な受用に堪ひしめん。若し諸有情にして如是の勝飮食を受用せば長命色力諸根安隱にして増益光輝・無諸痛惱・心慧勇健無不堪能ならん。又た此の大地の凡そ所須ある百千の事業は悉く皆な周備せん。世尊。是の因縁を以て諸贍部洲は安隱豐樂・人民熾盛・無諸衰惱・所有衆生皆受安樂ならん。既に如是の身心快樂を受け、此經王において深く愛敬を加へ所在之處、皆な願くは受持供養恭敬尊重讃歎せん。又復た彼の説法大師法座之處、悉く皆な彼に往き、諸衆生の爲に是最勝經王を説んことを勸請せん。何以故。世尊。此の經を説くことによりて我之自身并に諸眷屬は咸く利益を蒙り、光輝氣力・勇猛威勢・顏容端正にして常に倍勝すればなり。世尊。我堅牢地神は法味を蒙り已りて贍部洲縱廣七千踰繕那地をして皆な悉く沃壤ならしめ、乃至前の如く、所有る衆生皆な安樂ならしむ。是故に世尊、時に彼の衆生は我が恩に報ずるために應に是念を作すべし。我れ當に必定して是經を聽受し恭敬供養・尊重讃歎せんと。是の念を作し已り、即ち住處より城邑聚落舍宅空地法會所に詣でて法師を頂禮し是經を聽受すべし。既に聽受し已り各の本處に還り、心に慶喜を生じ、共に是の言を作さむ。「我等今、甚深無上妙法を聞くを得たり。即ち是れ
不可思議功徳之聚を攝受す。經力に由るが故に我等當に無量無邊百千倶胝那庾多佛に値ひ、承事供養して、
永く三塗極苦之處を離る。復た來世百千生中に於いて常に天上に生じ及び人間に在して諸勝樂を受けん」。時に彼の諸人、各本處に還り、諸人衆のために是經王を説く。若し一喩・一品・一昔因縁・一如來名・一菩薩名・一四句頌、或は復た一句、諸衆生のために、是の經典乃至首題名字を説かば、世尊よ、諸衆生所住之處に隨って其地悉く皆な沃壤肥濃たること餘處に過ぎ、凡そ是土地所生之物は悉く増長滋茂廣大なるを得て、諸衆生をして快樂を受けしめ、多饒珍財・好行惠施・心常堅固・深信三寶ならしめん」。是の語を作し已るや、爾時、世尊は堅牢地神に告げて曰「若し衆生ありて、金光明最勝經王乃至一句を聞くかば、命終之後當に三十三天及餘天處に往生すべし。若し衆生ありて、是の經王を供養せんと欲するがための故に、宅宇を莊嚴し乃至一傘蓋を張り、一繒幡を懸けば、是の因縁に由るがゆえに六天之上(四王天・忉利天 ・夜摩天・兜率天 ・楽変化天・他化自在天の上。色界・無色界のこと)に如念に生を受け七寶妙宮隨意に受用し各各自然に七千天女ありて共に相娯樂し日夜常に不可思議殊勝之樂を受けん」。
是の語を作し已り爾時堅牢地神は白佛言「世尊。是の因縁を以て、若しは四衆ありて法座に昇り是の法を説く時、我は當に晝夜に是の人を擁護し自ら其身を隱し座所において其足を頂戴せん。世尊。如是の經典は彼の衆生の已に百千佛所において善根を種へたる者のために、贍部洲に於いて流布して不滅なり。是の
諸衆生にして斯經を聽く者は未來世無量百千倶胝那庾多劫、天上人中において常に勝樂を受け、諸佛に遇ふことを得て阿耨多羅三藐三菩提を速成し三塗生死之苦を歴じ」。
爾時堅牢地神は白佛言「世尊。我に心呪あり。能く
人天を利し一切を安樂にす。若し男子女人及諸四
衆ありて、我が眞身を親しく見ん事を得んと欲する者は應當に至心に此の陀羅尼を持せ。其の所願に随って皆な悉く心に遂ぐべし。所謂る資財珍寶伏藏なり。及び神通・長年・妙藥、并に衆病を療し怨敵を降伏し
諸異論を制せんことを求れば、當に淨室において道場を安置し、身を洗浴し已りて鮮潔衣を著し、草座上に踞し、舍利尊有る像之前に於いて、或は舍利有る制底之所において、燒香散花飮食供養し白月(月の前半)八日布灑星と合ふ時(鬼宿のこと)に、即ち此の
請召之呪を誦すべし
「怛姪他只哩只哩 主嚕主嚕 句嚕句嚕
拘柱拘柱 覩柱覩柱 縛訶縛訶 伐捨伐捨 莎訶」
世尊。此之神呪は、若し四衆ありて、誦一百八遍し我を請召せば我は是人のために即ち來りて赴請せん。又復た世尊よ、若し衆生ありて、我が現身を見るを得て共に語らんと欲する者は亦た應に如前に法式を安置して此の神呪を誦せ。
「怛姪他 頞折泥去 頡力刹泥室尼達哩訶
訶呬呬區嚕 伐囇 莎訶」
世尊。若し人、此の呪を持する時、應に一百八遍を誦し并に前呪を誦すれば、我必ず現身し其所願に隨ひて悉く成就するを得て終に虚然たらざるべし。若し此呪を誦せんと欲する時は、先ず護身呪を誦せ。曰く
「怛姪他儞室里末捨羯㨖 捺㨖矩㨖 勃地
勃地囇 婢㨖婢㨖 矩句㨖 佉婆只里 莎訶」
世尊。此呪を誦する時は五色線をとれ。誦呪二十一遍、
二十一結を作し繋て左臂肘後におき、即便ち護身せば所懼あることなからん。若し至心有りて此呪を誦する者は所求必ず遂ぐ。我妄語せず。我佛法僧寶を以て、而して要契となし是の實なることを證知す」。
爾時、世尊、地神に告げて曰「善哉善哉。汝能く是
實語神呪を以て、此經王及説法者を護る。是因縁を以て汝をして無量福報を獲得せしめん。