福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

金剛般若経の霊験

2020-02-15 | 諸経
金剛般若経の霊験
金剛般若経には「若し善男子善女人にして菩薩心を發する者有りて、此の經乃至四句偈等を持して、受持讀誦し人の爲に演説せば其の福は彼(七宝で世界を荘厳する者)に勝る。云何んが人の為に演説するや・・」等とあり霊験があると説かれています。このため古来僧俗に大変信仰されてきました。


1、弘仁四年十月二十五日大師は「藤中納言大使のための願文」を書かれています。
大師と共に渡唐した遣唐使・藤原葛野麻呂が無事渡唐の御礼に『金剛般若経』187巻の書写をしたので大師がその供養をされたその際の願文を執筆されています。
「某聞く智慧の源極を強いて仏陀と名け、軌持の妙句を仮りて達磨(法のこと)といふ。智よく円なるゆえに、なさざるところなく、法よく明らかなる故に自他兼ね済う。五眼常に鑑みて溺子を津渉し、六通自在にして樊籠(鳥かご)を抜きすくう。桓因(帝釈天)このゆえに憑念し、摩醯(大自在天)これに帰して接足す。不宰の功、なんぞあえて比喩せん(孔子が言葉の上だけで万物を長養して宰せずこれが玄徳であるというのとは比較できない)。弟子、去んじ延暦二十三年に天命を大唐にふくんで遠く鯨波を渉る。風波天に沃いで人力何の計かあらん。自ら思く、冥護(神仏の護り)によらずんばいずくんぞ皇華んも節を写し奉らんと。鐘谷感応して使乎の羨(遣唐大使のねがい)を果たすことを得たり。窹寐に思をつけて(寝ても覚めてもこの願いが気になって)食するに味を甘んぜず。しかりといえども公私の擾擾として(いりみだれて)遅延し、跼蹐(きょくせき・のびる)す。謹んで弘仁四年十月二十五日を以て写し奉て供養す。竝に巻毎を一遍転諷す。伏して願わくはこの妙業を以て彼の神威を崇めん。金剛の恵日は愛河を銷し竭くし、実相の智杵は邪山を摧砕せん。自他平等にして妄執を断割し、怨親斉しく沐して禍を転じて福とせん。三有六塗(三界六道)は皆悉く四恩なり。蚑行蝡動(はう・うごめく虫)してなんぞ仏性なからん。遍く平等の法雨を灑いで早く妙果の根果を塾せしめん。」

2、806年崇道天皇追悼彼岸法要に全國国分寺で金剛般若経を7日間読誦させています。
日本後紀卷十三に、「大同元年(806)三月辛巳【十七】》○辛巳。勅。・・・奉爲崇道天皇。令諸國國分寺僧春秋二仲月別七日。讀金剛般若經。・・」

3、続日本紀には疫病退散の為に聖武天皇が諸大寺に於いて「金剛般若經を讀しむ」とあります。
續日本紀「天平七年(735・聖武)八月乙未、勅して日く「如聞、比日太宰府疫死者多し。思ふに疫氣を救療し以て民の命を濟わんと欲す。是以って彼部神祇に奉幣し、民の爲に禱祈す。又府大寺及び別國諸寺に金剛般若經を讀しむ。」仍ち使ひを遣り、疫民に賑給し并びに湯藥を加へしむ。又其長門以還、諸國守、若介、専ら齋戒道饗祭祀す。」


古来膨大な金剛般若経の霊験記録があるとされます。

5、酉陽雑俎にも「金剛経鳩異」として多くの金剛般若経の霊験譚が載っています。数話を紹介すると
・「金剛経鳩異」の著者の父は毎日金剛般若経を五・六度読誦していたがその功徳で夜道を不思議な火が案内してくれたり、賊から守っていただいたりした。
・毎日新しい衣で金剛経を十五辺読誦すること数十年という官吏が節度使になったとき賊の反乱が城を襲ったが不思議な大男の兵士が二人現れて賊を平定した。
・金剛経を四十年読誦してきた老人が勅使から鞭打ちの刑に処せられたがかすり傷一つ負わなかった。老人の話に用によると、仕置きを受ける時巨大な手が体を覆ってくれて無事だったという。
・金剛経を護持していた僧侶が死んだが、冥界で金剛経を読誦していると王のようなひとから「上人にあらためて十年在世を許します。」といわれ七日たって生き返った。
・金剛経をつねに護持していた女性が急病でなくなったが塚の中からうめき声がして家人が掘り返すと生きて出てきた。女性の言うことには冥土の役人がお経を大事にした功徳で放して帰してくれた、という。
・金剛経を習って一日目に賊につかまり髪を繋がれたがこの人は、金剛経の題目を唱えていると、一条の光が差して体が縛りから解けて家に帰れた。
・金剛経を護持していたものが船で難破したが、水中に落ちた時、誰かかが竿を投げたのでそれにつかまり助かった。あとでそれを見るといつも護持している「金剛経」であった。
・病気で死にそうになった僧侶が発願して金剛経を読誦し死を待った。五十辺まで読誦したとき夢の中でだれかが、喉の奥から髪を十余本引き出し、さらに長さ一肘あまりの大きな蚯蚓を吐いた。それから病気が快癒した。
・常日頃金剛経を護持していた百姓が罪に堕とされ杖で鞭打ちをうけた。しかし杖はすぐ折れて無罪となった。かえると妻が「経箱の中から裂ける音が聞こえた」というので開けてみると日頃読誦している金剛経は軸が折れ、紙が破れ裂けていた。


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2 コメント

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金剛経 (自朝山無德)
2020-10-17 18:50:30
友人の娘さんの癌の病の治療をされていて主治医に病院での投薬などの治療以外の事はいないでください。なので私はすこしでも助けになればと21日間金剛経を読誦、ヒトガタに名前と年を書いて本尊龍頭観音の前で祈祷させて頂く日々です。本尊様の左手に薬ツボをお持ちです。昔々チべットの五大湖の処で疫病の民に薬ツボの薬を投与されました。金剛経は読み始めてから35年になります。とてもありがたい経典です。
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Unknown (管理人)
2020-10-18 09:11:34
有難いコメント感謝です
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