不空羂索毘盧遮那佛大潅頂光眞言経一卷
出不空羂索經二十八卷
開府儀同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戸賜紫贈司
空諡大鑒正號大廣智大興善
寺三藏沙門不空奉詔譯
「おんあぼきゃべ いろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん
毘盧遮那如來、爲めに母陀羅尼印三昧耶神法品を授けて、而かも最も第一となしたまふ。若し過去一切十惡五逆四重の諸罪ありとも燼然除滅せん。若し衆生ありて隨處に此の大灌頂光眞言の二三七遍を聞いて耳根に経るを得るれば、即ち一切罪障を除滅す。たとひ具に十惡五逆四重諸罪を造ること猶し微塵の如く斯の世界に満つるが如く、身壞命終して諸惡道に堕すとも、是の眞言を以て加持土沙一百八遍して尸陀林中の亡者の尸骸上に散じ、或は墓上に散ずれば、彼の所の亡者、若しは地獄の中、若しは餓鬼の中、若しは修羅の中、若しは傍生の中であろうと、一切不空如來・不空毘盧遮那如來の眞實本願の大灌頂光眞言神通の威力、加持沙土の力をもって、時に応じて即ち光明の身に及ぶことを得、諸の罪報を除き、所苦の身を捨て、西方極樂國土に往き、蓮華より化生し、乃至菩提に至りて更に墮落せざらん。復た衆生ありて、連年累月に痿黄疾惱苦楚萬端ならんに、是病人は先世の業報なり。是の真言を以て病者前において一二三日毎日高聲に此眞一千八十遍誦せば則ち宿業病障を除滅することを得ん。若し鬼嬈のために魂識悶亂して失音不語ならば眞言を持する者、手を加持すること一百八遍して頭面を摩捫し、手を以て心上額上に按じて加持一千八十遍すれば則ち除差するを得る。摩訶迦羅神(大黒天)の病惱を作すも亦た能く治遣せん。若し諸の鬼神魍魎の病には、五色の線索を加持し、一百八結して其病者の腰臂項上に繋げば、則便ち除差せん。若し諸の瘧病(おこり)には白線索を加持し、一百八結して頭項上に繋ぎ、及び衣を加持して著すれば即令ち除差せしめん。若し石菖蒲を加持すること一千八十遍して之を含み、他と相對談論すれば則ち他を勝伏す。若し胡椒・多誐囉香(たがらこう)青木香・小柏檀黄・囉娑惹娜(わらしゃじゃな)等の数末を以て水加持し、丸にすること棗の如くし、 十萬遍加持して便ち當に陰乾(かげぼし)すべし。若し一切鬼神の病・種種の瘧病を患ひ、或は毒藥に中り或は失音の者あらば、當に藥を以て水に和し之を研(す)り、加持一百八遍し、兩眼・額上・心上に數點すれば當に怒持し、則便ち除差せん。病をなす鬼神、放捨せざれば、當に頭破れ阿梨樹枝の如し。若し諸の毒蟲蛇蝎に螫(さされる)者は、藥を以て眼に塗れ、即便ち、除差せん。又たの法には新米羅(べいだら、死体)をもって澡浴清淨し淨衣を著せしめ已り、藥を以て水に和し研って加持すること一百八遍し、米羅の眼中に点じ奮怒して加持一千八十遍せば則便ち起坐して所問に皆な答へん。放たんと欲すれば、白芥子の水を加持すること二十一遍して米羅上に散ぜよ。即便ち舊の如くならん。若し貴人のために相請喚さるれば藥をもって眼に點じ、當さに往いて之に見(まみゆ)べし。則ち相賓敬(ひんきょう)されん。」(終わり)
出不空羂索經二十八卷
開府儀同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戸賜紫贈司
空諡大鑒正號大廣智大興善
寺三藏沙門不空奉詔譯
「おんあぼきゃべ いろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん
毘盧遮那如來、爲めに母陀羅尼印三昧耶神法品を授けて、而かも最も第一となしたまふ。若し過去一切十惡五逆四重の諸罪ありとも燼然除滅せん。若し衆生ありて隨處に此の大灌頂光眞言の二三七遍を聞いて耳根に経るを得るれば、即ち一切罪障を除滅す。たとひ具に十惡五逆四重諸罪を造ること猶し微塵の如く斯の世界に満つるが如く、身壞命終して諸惡道に堕すとも、是の眞言を以て加持土沙一百八遍して尸陀林中の亡者の尸骸上に散じ、或は墓上に散ずれば、彼の所の亡者、若しは地獄の中、若しは餓鬼の中、若しは修羅の中、若しは傍生の中であろうと、一切不空如來・不空毘盧遮那如來の眞實本願の大灌頂光眞言神通の威力、加持沙土の力をもって、時に応じて即ち光明の身に及ぶことを得、諸の罪報を除き、所苦の身を捨て、西方極樂國土に往き、蓮華より化生し、乃至菩提に至りて更に墮落せざらん。復た衆生ありて、連年累月に痿黄疾惱苦楚萬端ならんに、是病人は先世の業報なり。是の真言を以て病者前において一二三日毎日高聲に此眞一千八十遍誦せば則ち宿業病障を除滅することを得ん。若し鬼嬈のために魂識悶亂して失音不語ならば眞言を持する者、手を加持すること一百八遍して頭面を摩捫し、手を以て心上額上に按じて加持一千八十遍すれば則ち除差するを得る。摩訶迦羅神(大黒天)の病惱を作すも亦た能く治遣せん。若し諸の鬼神魍魎の病には、五色の線索を加持し、一百八結して其病者の腰臂項上に繋げば、則便ち除差せん。若し諸の瘧病(おこり)には白線索を加持し、一百八結して頭項上に繋ぎ、及び衣を加持して著すれば即令ち除差せしめん。若し石菖蒲を加持すること一千八十遍して之を含み、他と相對談論すれば則ち他を勝伏す。若し胡椒・多誐囉香(たがらこう)青木香・小柏檀黄・囉娑惹娜(わらしゃじゃな)等の数末を以て水加持し、丸にすること棗の如くし、 十萬遍加持して便ち當に陰乾(かげぼし)すべし。若し一切鬼神の病・種種の瘧病を患ひ、或は毒藥に中り或は失音の者あらば、當に藥を以て水に和し之を研(す)り、加持一百八遍し、兩眼・額上・心上に數點すれば當に怒持し、則便ち除差せん。病をなす鬼神、放捨せざれば、當に頭破れ阿梨樹枝の如し。若し諸の毒蟲蛇蝎に螫(さされる)者は、藥を以て眼に塗れ、即便ち、除差せん。又たの法には新米羅(べいだら、死体)をもって澡浴清淨し淨衣を著せしめ已り、藥を以て水に和し研って加持すること一百八遍し、米羅の眼中に点じ奮怒して加持一千八十遍せば則便ち起坐して所問に皆な答へん。放たんと欲すれば、白芥子の水を加持すること二十一遍して米羅上に散ぜよ。即便ち舊の如くならん。若し貴人のために相請喚さるれば藥をもって眼に點じ、當さに往いて之に見(まみゆ)べし。則ち相賓敬(ひんきょう)されん。」(終わり)