修験宗旨書・・・22
班蓋口決第二通(班蓋とは桧笠のこと、行者を胎内でまもってくださった「衣奈神」を表す)
夫れ修験所具の班蓋とは慈悲覆護の相、即ち仏界荘厳の天蓋なり。天蓋とは一切衆生
悲母の胎内に住み衣奈を戴く表義なり。衣奈とは胎内の五位最初羯剌藍より鉢羅奢佉に至るまで(倶舍論等では母胎内の300日を五段階にわけ、羯剌藍きゃらら、閉尸へいし、鍵南けんなん、鉢羅奢佉ばらしゃきゃ、とした)。我等が頂上を覆い胎内の寒熱等の毒苦を防ぐ、ゆえに五位円満にして胎内を出胎するを衣奈神と号す。出胎の時は宇浮神と名け、衆生を守護する(室町の荒神講式には衣奈は荒神として子を守るとされ、胎内では宇浮神、6歳までは立増神、八歳からは守宅神といった。)。是大日如来の変化、三世荒神の応作なり。之を敬えば諸善速やかに来たり、是に背けば衆悪忽ちに起こる。然れば則ち毘盧の身土は本より己身の八葉に在り、荒神の妙体は衆生の一念を出ず。凡聖異なると雖も内外同性なり。この広徳を顕さんがために佛界道場の荘厳となし、内外の障難を除いて以て今、彼の深義を表して
班蓋と号し是を著す。秘口にいわく、班蓋とはその形円形なり。五位円満の相を表し、周り五尺、口一尺六寸なり。頂上の八葉は胎内八分の肉団を表し、円形は月輪金界、八葉は胎界、行者は不二なり。五色の錦を以て之を裏すことは即ち五位五智五色の義相なり。誠に是れ生佛一如の表体、依正不二の内証なり。裏書にいわく、指笠とは傘蓋なり、檜笠とは天蓋なり、このほかの笠を著すといえども修験所用の時は班蓋と観るべし。初心無才の輩、妄見を以て異論することなかれ。當道の最要ここに在り。たやすく之を示すべからず。
班蓋口決第二通(班蓋とは桧笠のこと、行者を胎内でまもってくださった「衣奈神」を表す)
夫れ修験所具の班蓋とは慈悲覆護の相、即ち仏界荘厳の天蓋なり。天蓋とは一切衆生
悲母の胎内に住み衣奈を戴く表義なり。衣奈とは胎内の五位最初羯剌藍より鉢羅奢佉に至るまで(倶舍論等では母胎内の300日を五段階にわけ、羯剌藍きゃらら、閉尸へいし、鍵南けんなん、鉢羅奢佉ばらしゃきゃ、とした)。我等が頂上を覆い胎内の寒熱等の毒苦を防ぐ、ゆえに五位円満にして胎内を出胎するを衣奈神と号す。出胎の時は宇浮神と名け、衆生を守護する(室町の荒神講式には衣奈は荒神として子を守るとされ、胎内では宇浮神、6歳までは立増神、八歳からは守宅神といった。)。是大日如来の変化、三世荒神の応作なり。之を敬えば諸善速やかに来たり、是に背けば衆悪忽ちに起こる。然れば則ち毘盧の身土は本より己身の八葉に在り、荒神の妙体は衆生の一念を出ず。凡聖異なると雖も内外同性なり。この広徳を顕さんがために佛界道場の荘厳となし、内外の障難を除いて以て今、彼の深義を表して
班蓋と号し是を著す。秘口にいわく、班蓋とはその形円形なり。五位円満の相を表し、周り五尺、口一尺六寸なり。頂上の八葉は胎内八分の肉団を表し、円形は月輪金界、八葉は胎界、行者は不二なり。五色の錦を以て之を裏すことは即ち五位五智五色の義相なり。誠に是れ生佛一如の表体、依正不二の内証なり。裏書にいわく、指笠とは傘蓋なり、檜笠とは天蓋なり、このほかの笠を著すといえども修験所用の時は班蓋と観るべし。初心無才の輩、妄見を以て異論することなかれ。當道の最要ここに在り。たやすく之を示すべからず。