一殺多生は成實論・三業品では「福と罪と双方を得る」としています。
「問曰。有人、殺生を以ての故に多人を利益す。人、賊を破すれば則ち國に患なし。若し毒獸を殺して則ち人民を利するが如し。是等は殺生を以て福を得べきや。或は有る人、劫盜の因縁を以て父母を供養し、婬欲の因縁を以て好兒息を生じ、妄語の因縁を以て或は寿命を與あたへ、惡口等を以て他をして利を得せしむ、是皆な十惡の所攝なり、云何が此を以て而も福を得る乎。
答曰。是の人、福を得、罪を得。利他の故の為に福を得、損他を以ての故に罪を得る。」(成實論・三業品)