福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

「桓武天皇の奉為に太上御書の金字の法華を講ずる達親」(大師)

2024-10-24 | お大師様のお言葉

「桓武天皇の奉為に太上御書の金字の法華を講ずる達親」(大師

(先帝供養の法華講により先皇・桓武は成仏し、ひいては生類すべてにその功徳は及ぶとされています。)

 


沙門空海聞く、栗駄の蓮理(かりだ心)は湿凝(因果)を筌魚(経典)に貸り、大我の広神(佛の広大な知恵)は虚金を指兔に仮る(明智によって妄念を止めるべく経典を示された)。ここに爪章(長爪梵志の断見論)髪論(黄髪外道の論書)は冥に絶えて涯りあり(一乗にははるかに及ばない)。鳳斗(孔子の書)、竜言(老子の書)は糟迹逮(およ)ぶことなし(孔子・老子は法華経の搾りかすにも及ばぬ)。豈若んや、垂蓮の珍長(蓮台の仏は)は三椎を撥いすて(羊・鹿・牛の三車を払い捨て)、孕日の輪王は(智慧の日を戴く転輪聖王つまり佛は)一路をかかげ示すには(真実一道を示す)。雲雨覆い澍そそいで煩を解き(法雨をそそいで衆生を救い)、草木滋く茂して果を結ぶ。契実の妙(一乗実相の妙理にかなった正智のはたらき)高くして煩わしきなく、応物の権(方便)広くして際めがたし。四量四摂(慈・悲・喜・捨の四無量心と布施・愛語・利行・同時の四摂法)、魏焉(高く大きい)たり、蕩焉たり(広く大きい)
伏して惟んみれば我が太上と今上との先後両聖(50代桓武天皇の皇子である52代嵯峨天皇と53代淳和天皇)は稽古欽明(古きを尋ね事理にあきらか)にして唐虞を拭って(唐堯や虞舜をしのいで)大考一を得たり(おおいなる考の道を得て天子の位につかれた)。文思道を弘めて(文徳あきらかで思慮に富み道を後世のひろめ)、殷周を凌いで大義三を貫くその明は日月も恥じ、その徳は乾巛(けんこん)に合へり。神はすなわち鬼も神ならず(神通力は鬼も及ばず)、智はすなわち聖も智ならず(聖人の智慧もおよばぬ)。千年の雙聖、一天の両日今に見つ(嵯峨・淳和帝は天に二つの太陽があるようなもの)。去んじ延暦の末に桓武皇帝竜に駕して天に入る。太上親ら竜管を握って太行皇帝の奉為に金字の法華経一部七巻を写し奉って海岳(海より深く山より高い恩)に答し奉る。天下の宝としてこれを西寺に蔵む。
前の年の冬の月、天火の与に滅びたり。紙は燼え、字存せり。両聖(嵯峨・淳和)これを痛み、人も戚み惜しむ。去んじ年の春の季に、上皇宮を挙って(嵯峨上皇をはじめ皇族方こぞって)潔斎す。一月の間に冷然の菴室において(冷然院の庵に於いて)、更に玉管を揮って重ねて金字を写したもう。鸞鳳(瑞鳥)碧落に翔って象を含み、竜螭(りゅうち、竜と蛟)蒼海に遊んで義を孕めり(あらゆる意味を含んでいる)。張王も筆を投げ(張芝や王義之も筆を投げて降参する)、鍾蔡(書の名人、魏の鍾よう、後漢の蔡ゆう)も恥を懐けり。今上遠きを追って感懐し(淳和帝は桓武帝を深く思って)報いんと欲するに極まりなし。謹んで西の仁祠に託けて(西寺において)金仙()の霊を憑み仰ぐ。精舎を厳飾し名僧を延屈して、八箇日の間、太上御札の金字の法華を講演す。釈迦再び生まれて鷲嶺の会、輻湊す(霊鷲山でお釈迦様が法華経を御説きになった会座に人々が集まる)。四衆(比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷)重ねて集まり、躍出の瑞、森羅たり(地湧の菩薩のように多く集まっている)。鐘馨一度響いて讃唄断続す、老幼三度礼して香華瓢隕す(香煙が漂い、散華の花びらが舞う)。
伏して願わくは、この法水を沃いで先皇(桓武帝)に浴し奉らん。五雲(五蓋障、煩悩障・業障・生障・法障・所知障)を一諷の口に蕩かし、両曜(月と日)を一念の心に掲げん。覚月の殿に優遊し恵日の観に放曠せん。太上天皇超然として一(道)を守りて、姑射(宮中)に帰らんことを忘れ、脱躧(だっし、退位)して神を谷(やしな)って汾河に盤楽せん(仙洞御所で覚りを楽しむ)。今上陛下体は金剛を練し、寿は石劫よりも堅からん。無為垂拱にして北辰を天長に争い(衆星が北極星に向かうように臣民が慕い)、無事明哉にして南獄と将にして地久ならん(終南山とともに永久)。世子(皇太子)盤石にして股肱良哉ならん。四門穆穆として(四門のそとでは賢臣が仕え)、多士済々たらん。国風澹朴にして時風平しく施さん。人はその親を親とし、家はその子を子とせん。百穀畝に盈ち、万民街に満たん。三界を牢籠し(三界の衆生をよく率い)四生を綿絡して(胎・卵・湿・化の衆生を摂取不捨)同じく愛獄を脱して斉しく覚道に遊ばん。」

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