現代民話考第4巻「昭和11年。お葬式の最中、棺の中から死んだはずのひとが生き返って話し始めた。『わしが三途の川までいったとき、一人の若い女が鳴いている。どうしたのか聞くと、姑が葬式でろくに供養もしてくれなかったし、経帷子も着せてくれなかったので恥ずかしくて仏の仲間にも入れない。どうぞこのことを姑につたえてほしいというものだからわしは戻ってきた。』といった。住所も聞いてきたというので教えられた場所を尋ねて行ったら、本当にその家があり、そこの老婆がいて、聞くと案の定、若い嫁がなくなったが葬儀以降仏壇のなかでカタカタと音が続いておそろしくてしかたないという。事の次第を老婆に話すとやはり葬儀で経帷子を着せてやらなかったという。そこですぐに経帷子を寺に納め、お経をあげてもらうとその家の仏壇の異音はおさまったという。
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