福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

今日は原爆の日です。

2016-08-06 | 法話
今日は原爆の日です。先般オバマ大統領が広島を訪れ、歴史に残る演説をしましたが、仏教から見て原爆投下(大量殺戮)はどうなのでしょうか?
1、 まず、真っ先に、倶舎論等で説く、小の三災(住劫の減劫に起こる刀兵災・疾疫災・飢饉の三災)と、大の三災(壊劫の終わりに起こる火災・水災・風災の三災)を思い起こさせます。宇宙は成・住・壊・空を繰り返しているというのが俱舎論等の宇宙論ですがこのなかですべてを破壊し尽くすのが大の三災です。核兵器はまさに大火災・大風災をおこし世界を破壊し尽くし「空」に帰すものです。こういう日が繰り返し訪れるというのが仏教の説です。
2、仏教徒からすればこのような大量殺戮など許されるはずがありません、しかし、オウムで問題となったように、チベット密教・理趣経等では大量殺戮を、難解の者を救う手段として肯定されていると見えるところもあります(ダライラマも原爆を否定してない、という説もあります)。然し殺生が許されるのは、その人があらゆる戒律を厳格に守ってきている場合のみです。現実にはあらゆる戒律を守り切れている人など存在しません。したがって、「凡夫」が「凡夫」を裁くということはできないということになります。これは当然と言えば当然すぎるほど当然のことです。昔の経典は戒律を守っているのは当然という前提で書かれていますから、末世ではこのような噴飯物の誤解が生じるのです。
3、そして、俱舎論では大火災のときも欲界から色界の第二禪天以上に登っていた人たちは被害に遭いません。広島でも被災者の方々の心は、火炎地獄の中で、大変崇高なレベルとなり欲界から上の世界へ登って行かれていたのだと思います。
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