福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

観音霊験記真鈔20/33

2024-04-20 | 諸経

観音霊験記真鈔20/33

西國十九番山州京革堂千手像、御身の長さ八尺2.4m亦行願寺と號す。

釈して云く、次上に千手観音十願(千手眼觀世音菩薩廣大圓満無礙大悲心陀羅尼經に「南無大悲觀世音願我速知一切法。南無大悲觀世音願我早得智慧眼。南無大悲觀世音願我速度一切衆。南無大悲觀世音願我早得善方便。南無大悲觀世音願我速乗般若船。南無大悲觀世音願我早得越苦海。南無大悲觀世音願我速得戒定道。南無大悲觀世音願我早登涅槃山。南無大悲觀世音願我速會無為舎。南無大悲觀世音願我早同法性身)の義を談じ畢んぬ。今亦六願を誓ひ玉ふ義を解す。千手經に云、我若し刀山に向ば刀山自ずから摧折せん。我若し火湯に向ば火湯自ずから消滅せん。我若し地獄に向ば自ずから枯竭せん。我若し餓鬼に向ば餓鬼自ずから飽満せん。若し修羅に向ば悪心自ずから調伏せん。我若し畜生に向ば畜生自ずから大智慧を得ん。(千手千眼觀世音菩薩廣大圓滿無礙大悲心陀羅尼經「無南大悲觀世音 願我速知一切法 南無大悲觀世音 願我早得智慧眼   南無大悲觀世音 願我速度一切衆  南無大悲觀世音 願我早得善方便  南無大悲觀世音 願我速乘般若船 南無大悲觀世音 願我早得越苦海   南無大悲觀世音 願我速得戒定道    南無大悲觀世音 願我早登涅槃山   南無大悲觀世音 願我速會無爲舍 南無大悲觀世音 願我早同法性身 我若向刀山 刀山自摧折   我若向火湯 火湯自消滅  我若向地獄 地獄自枯竭  我若向餓鬼 餓鬼自飽滿 我若向修羅 惡心自調伏  我若向畜生 自得大智慧」)

解して謂く、彼獄中に刀山劔樹林あり、枝葉華實皆是刀劔なり。時に獄卒罪人をせめて刀山劔樹の中に駈入るるに刀劔のために割刺せられて身躰傷壊す。又豺狼あって来って罪人を咬に生きながら其の肉を食ふ。因って畏れ走りて刀山劔樹の上に登るに劔刃下に向ふ。又劔樹を下るに劔刃上に向ふ。或は暴風劔樹の葉を吹けば即ち其の身の上へ墜て頭面四足害せずと云ことなし。故に此の獄中に堕する者苦を受ること無量にして酸痛悲號せずと云ことなし。皆是獄中の苦相なるものをや。

西國十九番目山城京行願寺(亦革堂と云)、八尺千手観音の像は一條院寛弘二年(1005年)に建立あり。本願行圓上人(平安時代中期頃の人。生没年不明。鹿の皮を着ていたことから皮聖、皮聖人とも呼ばれた。長保年間(九九九—一〇〇四)に鎮西から上洛し、寛弘元年(一〇〇四)一条北辺に行願寺を建立、ここを拠点として民衆教化、社会事業を行った。主な講会や供養には、同二年の法華八講、同四年の四十八講・釈迦講、同六年の釈迦講・普賢講、同七年の法華経一千部図会仏三千余体供養、寛仁二年(一〇一八)の六万九千三百余灯奉修・万灯会・四部講・百か日講演などがある。藤原道長・行成・実資さねすけら多くの貴族も行円の法会に参加し、中でも実資は同三年に等身多宝塔を作らせている。)頭に宝冠を戴き身に革衣を著る。故に世の人革上人と云へり。此の人建立し玉ふに由りて革堂と号す。此の上人不断に千手陀羅尼を誦したまひけるが能材を得て佛像を造らんと思ふところに或夜の夢に沙門来たりて告げて云く、明日汝に異材を送らんとの玉ふ。翌朝一人の僧来たりて語りて云く、賀茂の社のほとりに一つの槻木(つきのき・ケヤキ)あり。

幾歳と云ふ數を知らず。星霜積もりて苔むしたり。此木六斎日毎に千手観音の呪を誦すると云へり。則ち往て見るに神呪の聲するなり。近くよりて聞けば音なし。遠く聞けば聲あり。是霊木なりと知りて神官に乞取りて則ち八尺の千手観音の像を作る。革堂の本尊是なり。古人傳へて云く、昔賀茂の田中の稲変じて成る處の槻の木なりと云へり。其の餘の材を仁弘法師(仁弘法師は鷲尾寺にて十一面千手観世音菩薩を造る、後第20番善峯寺の御本尊となる)乞取りて又八尺の菩薩を作り良峯寺に安置すと云へり。

歌に

「花を見て 今は望みの革堂の 庭の千草も盛んなるらん」

私に云く、歌の意は上の句の「花を見て」等は花の時分此寺に詣るなるべし。下の句の「庭の千草」等とは春天の時分には草木しげりだし次第にさかへる意なるべし。さて裏の意は「花を見て」とは浄土は蓮華蔵世界なれば此の臺にいたらんと望こと尤も尒なり。下の句の「庭の千草」とは極楽世界の徳として草木樹林衆鳥まで悉皆念佛念法念僧をさへずる意の範軌を云ふなるべし。委しくは彌陀經等の如し。之を略す。

古歌に

「瑠璃の木に金(こがね)花咲く 極楽の 南無阿弥陀佛は主なりけり」また同く

「さきだたば おくるる人を待ちやせん 華の臺を なかば残して」已上。

 

 

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