金光明最勝王經・全訳・・21/32
金光明最勝王經・王法正論品第二十(仏が堅牢地神の請に応じて、王法正論を説いたもの。自利利他・正法をもって民衆を統御し、民衆に十善を護らしむるならば、国は栄えることが説かれている。)
(大師の「金勝王經祕密伽陀王法政論品第二十」では
「國主心王其法同なり 心を修し國を修むれば道則ち通ず 惡人煩惱縱ほしいままにして撿せざれば 象の蓮池を踘み身遂に終る 法寶を尊重せば諸天護り 正教に順ぜざれば證すること能わず 内外兩刹土を飾らむと欲せば 必ず須らく十號の雄(如来)に歸依すべし」)
爾時此大地神女。名曰堅牢。於大衆中。從
座而起。頂禮佛足。合掌恭敬。白佛言世尊。
「諸國中において人王となる者は若し正法なくんば能く國を治め衆生を安養し及び自身を以て勝位に長居すること能わず。惟だ願くは世尊よ、慈悲哀愍して當に我が爲に王法正論治國之要を説き、諸人王をして聞法を得已りて、如説に修行して世を正化し、能く勝位をして永く安寧を保たしめ國内人民咸く利益を蒙らしめよ。」
爾時、世尊は大衆中において堅牢地神に告げて曰く「汝當に諦聽せよ。過去に王あり。名て力尊幢といふ。其王に子あり。名て曰く妙幢。灌頂位を受けて未だ久しからざる之頃、爾時、父王は妙幢に告げて言く「王法正論あり、名て天主教法といふ。我昔時において、灌頂位を受け國主となる。我の父王名て智力尊幢。我がために是の王法正論を説く。我此論により二萬歳において善く國土を治む。我曾って一念心を憶起して
非法を行ず。汝今日において亦た應に如是に非法を以て國を治むること勿れ。云何んが名て王法正論となすや。汝今善く聽け、當に汝が為に説かん。爾時、力尊幢王は即ち其子のために妙伽他を以て正論を説きて曰く
「我王法論を説きて諸有情を利安す
世間の疑を斷ぜんが為に衆過失を滅除す
一切諸天主及び人中王、
當に歡喜心を生じ 合掌して我説を聽け
往昔、諸天衆は金剛山に集在せり
四王座より起ち 大梵に請問す
梵主最勝尊よ 天中の大自在よ
願くは我等を哀愍して爲に諸疑惑を断ぜよ
云何んが人世に処して 而も名て天と為すことを得るや。
復た何の因縁を以て 號名して天子と曰ふや。
云何んが人間に生まれて 獨り人主となることを得るや。
云何が天上にありて 復た天王と作ることを得るや
如是に護世間(四王)は 彼の梵王に問ひ已りぬ。
爾時、梵天主は 即便ち彼のために説く
護世よ汝當に知れ 有情を利せんが為の故に
我に治國法を問ふ 我説かむ、應に善く聽け。
先の善業力に由りて 天に生じて王と作るを得る
若し人中に在れば 統領して人主となる
諸天共に加護し 然後に母胎に入り
既に母胎中に至れば 諸天復た守護す
生れて人世にありと雖も 尊勝の故に天と名く。
諸天護持するに由りて 亦た天子と名くることを得る
三十三天主は力を分ちて人王を助け
及び一切諸天も 亦た自在力を資く
諸非法惡業を除滅して不生ならしむ
有情を教へて修善せしめ 天上に生ずることを得しむ。
人及蘇羅衆 并に揵闥婆等・羅刹・栴茶羅は 悉く皆な半力を資く。
父母は半力を資け、 捨惡修善せしめ、
諸天は共に護持して其の諸善報を示す
若し諸惡業を造らば 現世中において
諸天護持せず 其の諸惡報を示す
國人、惡業を造るも 王が捨てて禁制せざれば
斯れ正理に順ずるに非ず、治擯(じひん・追放)して當に如法にせよ。
若し惡を見て遮せずんば非法便ち滋長し
遂に王國内をして 姦詐日増に多らむ
王は國中の人の造惡を見て遮止せざれば
三十三天衆は 咸く忿怒心を生ず
此に因りて國政を損じ 諂僞てんぎ世間に行はれ
被他の怨敵に侵され其國土を破壊す
居家及資具・積財皆な散失
種種の諂誑生じて 更も互に相ひ侵奪す。
正法に由りて王たるを得て 而も其法を行はずんば
國人は皆な破散すること 象の蓮池を踏むが如し
惡風起りて恒なく 暴雨非時に下り
妖星變怪多く 日月蝕して光なし
五穀・衆花果 の果實は皆な成らず
國土は飢饉に遭ふ。王の正法を捨つるに由る。
若し王が正法を捨て 惡法を以て人を化すれば
諸天は本宮に處し 見已りて憂惱を生ず
彼の諸天王衆は 共に如是の言を作す。
此の王は非法を作し 惡黨は相親附す
王位は久安ならず、と。
諸天皆忿恨す、
彼の忿故を懷くが故に 其國當に敗亡すべし。
非法を以て人に教へ国内に流行せば
鬪諍して姦僞多く 疾疫衆苦を生じ
天主は護念せず 餘天咸く捨棄し
國土當に滅亡すべし 王身苦厄を受け
父母及妻子兄弟并姊妹は
倶に愛の別離に遭ひ 乃至身は亡歿せん。
變怪ありて流星墮ち 二の日は倶時に出て
他方怨賊來り 國人喪亂に遭はん。
國の重ずる所の大臣は 抂擴にして身死し
所愛の象馬等 亦復た皆散失せん
處處に兵戈有り 人多く非法に死す
惡鬼來りて入國し 疾疫遍く流行す
國中の最たる大臣 及び諸輔相は
其心に諂侫を抱き 並に悉く非法を行ず
非法を行ずる者を見ては 愛敬を生じ
善法を行ずる人に於ひて 苦楚して治罰す
惡人を愛敬し善人を治罰する故に
星宿及風雨 皆時を以て行はれず
三種の過の生ずる有り 正法當に隱沒すべし
衆生光色なく 地肥皆下沈す
悪を敬ひ善を輕するに由り 復た三種の過あり
非時に霜雹降り 飢疫苦流行し、
穀稼諸果實 滋味皆損減し
其國土中に於いて 衆生疾病多し。
國中の諸樹木、 先に甘美果を生じたるもの
斯によりて皆損減し 苦澁にして滋味なし。
先に妙園林あり 可愛の遊戲處
忽然として皆枯悴し 見者憂惱を生ず
稻麥諸果實 美味漸消亡し
食時に心喜ばず 何ぞ能く諸大(人体を構成する地水火風)を長ぜんや。
衆生光色減じ 勢力盡く衰微し
食噉(じきたん・がつがつとくらう)復た多しと雖も飽足せしむること能はず。
其國界中に於いて 所有る衆生の類は
少力無勇勢にして 所作堪能ならず
國人疾患多く 衆苦其身に逼る
鬼魅遍く流行し 隨處に羅刹を生ず
若し王、非法を作して 悪人に親近すれば
三種世間(三界)をして 斯によりて衰損を受けしむ。
如是の無邊の過は 國中に出在す
皆惡人を見て 棄捨して治擯せざるに由る
諸天の加護により 國王と作ることを得て
而も正法を以て 國界を守護せず
若し人、善行を修すれば 當に天上に生ずることを得べし
若し惡業を造れば 死して必ず三塗に堕つ
若し王、國人を見て其の過失を造ることを縱さば
三十三天衆 皆熱惱心を生ず。
諸天の教 及び父母の言に順はざれば
此れ是の非法の人は 王に非ず、孝子に非ず。
若自國中において 非法を行ずる者を見ば
如法に當に治罰せよ 應に捨棄を生ずべからず
是故に諸天衆は 皆な此の王を護持す
諸惡法を滅するを以て 能く善根を修する故に。
王は此世中において 必ず現報を招く
善惡業において 衆生に行捨を勸むるに由る
善惡報を示さんがための故に 人王と作るを得る
諸天共に護持して 一切咸く隨喜す
自利利他により 治國するに正法を以てし
諂侫者あるを見ては 應當に如法に治す
假使へ王位を失ひ 及び命縁を害すとも
終に悪法を行ぜざれ 惡を見ては捨棄せよ。
害中の極重者は 國位を失ふに過ぎたるはなし
皆な諂侫人に由る 此為に當に治罰すべし。
若し諂誑人あらば 當に國位を失ふべし
斯によりて王政を損なふこと 象の花園に入るが如し
天主は皆な瞋恨し 阿蘇羅も亦た然なり
彼人王となりて 法を以て治國せざる故なり。
是の故に應に如法に 悪人を治罰すべし
善を以て衆生を化し 非法に順ぜざれ
寧ろ身命を捨るとも 非法の友に随はず
親及非親において 平等に一切を観ぜよ
若し正法王たらば 國内に偏黨無く
法王名稱ありて 普く三界中に聞こゆ
三十三天衆 歡喜して是言を作す
贍部洲法王 彼は即ち是れ我子なり
善を以て衆生を化し 正法もて治國し
正法を勸行し 當に我宮に生ぜしむべし」と。
天及諸天子 及び蘇羅衆、
王正法化によりて 常に心に歡喜を得。
天衆皆歡喜し 共に人王を護り
衆星は位に依りて行き 日月は乖度無し
和風常に節に應じ 甘雨順時行はれ
苗實皆善く成り 人飢饉の者無し
一切諸天衆は自宮に充滿す
是故に汝人王 、身を忘れて正法を弘め
應に法寶を尊重せよ 斯によりて衆は安樂ならん
常に當に正法に親しみ 功徳自ら莊嚴すべし
眷屬常に歡喜し 能く諸惡を遠離す
法を以て衆生を化し 恒に安隱を得しむ
彼の一切人をして 十善を修行せしめ
率土常に豐樂にして 國土安寧を得る
王は法を以て人を化し 善く惡行を調へば
常に好名稱を得て諸衆生を安樂にすべし」
爾時大地一切人王及諸大衆、佛の此の古
昔人王の治國要法を説くを聞きて未曾有を得、皆大歡喜信受奉行せり。
(金光明最勝王經卷第八終わり)
金光明最勝王經・王法正論品第二十(仏が堅牢地神の請に応じて、王法正論を説いたもの。自利利他・正法をもって民衆を統御し、民衆に十善を護らしむるならば、国は栄えることが説かれている。)
(大師の「金勝王經祕密伽陀王法政論品第二十」では
「國主心王其法同なり 心を修し國を修むれば道則ち通ず 惡人煩惱縱ほしいままにして撿せざれば 象の蓮池を踘み身遂に終る 法寶を尊重せば諸天護り 正教に順ぜざれば證すること能わず 内外兩刹土を飾らむと欲せば 必ず須らく十號の雄(如来)に歸依すべし」)
爾時此大地神女。名曰堅牢。於大衆中。從
座而起。頂禮佛足。合掌恭敬。白佛言世尊。
「諸國中において人王となる者は若し正法なくんば能く國を治め衆生を安養し及び自身を以て勝位に長居すること能わず。惟だ願くは世尊よ、慈悲哀愍して當に我が爲に王法正論治國之要を説き、諸人王をして聞法を得已りて、如説に修行して世を正化し、能く勝位をして永く安寧を保たしめ國内人民咸く利益を蒙らしめよ。」
爾時、世尊は大衆中において堅牢地神に告げて曰く「汝當に諦聽せよ。過去に王あり。名て力尊幢といふ。其王に子あり。名て曰く妙幢。灌頂位を受けて未だ久しからざる之頃、爾時、父王は妙幢に告げて言く「王法正論あり、名て天主教法といふ。我昔時において、灌頂位を受け國主となる。我の父王名て智力尊幢。我がために是の王法正論を説く。我此論により二萬歳において善く國土を治む。我曾って一念心を憶起して
非法を行ず。汝今日において亦た應に如是に非法を以て國を治むること勿れ。云何んが名て王法正論となすや。汝今善く聽け、當に汝が為に説かん。爾時、力尊幢王は即ち其子のために妙伽他を以て正論を説きて曰く
「我王法論を説きて諸有情を利安す
世間の疑を斷ぜんが為に衆過失を滅除す
一切諸天主及び人中王、
當に歡喜心を生じ 合掌して我説を聽け
往昔、諸天衆は金剛山に集在せり
四王座より起ち 大梵に請問す
梵主最勝尊よ 天中の大自在よ
願くは我等を哀愍して爲に諸疑惑を断ぜよ
云何んが人世に処して 而も名て天と為すことを得るや。
復た何の因縁を以て 號名して天子と曰ふや。
云何んが人間に生まれて 獨り人主となることを得るや。
云何が天上にありて 復た天王と作ることを得るや
如是に護世間(四王)は 彼の梵王に問ひ已りぬ。
爾時、梵天主は 即便ち彼のために説く
護世よ汝當に知れ 有情を利せんが為の故に
我に治國法を問ふ 我説かむ、應に善く聽け。
先の善業力に由りて 天に生じて王と作るを得る
若し人中に在れば 統領して人主となる
諸天共に加護し 然後に母胎に入り
既に母胎中に至れば 諸天復た守護す
生れて人世にありと雖も 尊勝の故に天と名く。
諸天護持するに由りて 亦た天子と名くることを得る
三十三天主は力を分ちて人王を助け
及び一切諸天も 亦た自在力を資く
諸非法惡業を除滅して不生ならしむ
有情を教へて修善せしめ 天上に生ずることを得しむ。
人及蘇羅衆 并に揵闥婆等・羅刹・栴茶羅は 悉く皆な半力を資く。
父母は半力を資け、 捨惡修善せしめ、
諸天は共に護持して其の諸善報を示す
若し諸惡業を造らば 現世中において
諸天護持せず 其の諸惡報を示す
國人、惡業を造るも 王が捨てて禁制せざれば
斯れ正理に順ずるに非ず、治擯(じひん・追放)して當に如法にせよ。
若し惡を見て遮せずんば非法便ち滋長し
遂に王國内をして 姦詐日増に多らむ
王は國中の人の造惡を見て遮止せざれば
三十三天衆は 咸く忿怒心を生ず
此に因りて國政を損じ 諂僞てんぎ世間に行はれ
被他の怨敵に侵され其國土を破壊す
居家及資具・積財皆な散失
種種の諂誑生じて 更も互に相ひ侵奪す。
正法に由りて王たるを得て 而も其法を行はずんば
國人は皆な破散すること 象の蓮池を踏むが如し
惡風起りて恒なく 暴雨非時に下り
妖星變怪多く 日月蝕して光なし
五穀・衆花果 の果實は皆な成らず
國土は飢饉に遭ふ。王の正法を捨つるに由る。
若し王が正法を捨て 惡法を以て人を化すれば
諸天は本宮に處し 見已りて憂惱を生ず
彼の諸天王衆は 共に如是の言を作す。
此の王は非法を作し 惡黨は相親附す
王位は久安ならず、と。
諸天皆忿恨す、
彼の忿故を懷くが故に 其國當に敗亡すべし。
非法を以て人に教へ国内に流行せば
鬪諍して姦僞多く 疾疫衆苦を生じ
天主は護念せず 餘天咸く捨棄し
國土當に滅亡すべし 王身苦厄を受け
父母及妻子兄弟并姊妹は
倶に愛の別離に遭ひ 乃至身は亡歿せん。
變怪ありて流星墮ち 二の日は倶時に出て
他方怨賊來り 國人喪亂に遭はん。
國の重ずる所の大臣は 抂擴にして身死し
所愛の象馬等 亦復た皆散失せん
處處に兵戈有り 人多く非法に死す
惡鬼來りて入國し 疾疫遍く流行す
國中の最たる大臣 及び諸輔相は
其心に諂侫を抱き 並に悉く非法を行ず
非法を行ずる者を見ては 愛敬を生じ
善法を行ずる人に於ひて 苦楚して治罰す
惡人を愛敬し善人を治罰する故に
星宿及風雨 皆時を以て行はれず
三種の過の生ずる有り 正法當に隱沒すべし
衆生光色なく 地肥皆下沈す
悪を敬ひ善を輕するに由り 復た三種の過あり
非時に霜雹降り 飢疫苦流行し、
穀稼諸果實 滋味皆損減し
其國土中に於いて 衆生疾病多し。
國中の諸樹木、 先に甘美果を生じたるもの
斯によりて皆損減し 苦澁にして滋味なし。
先に妙園林あり 可愛の遊戲處
忽然として皆枯悴し 見者憂惱を生ず
稻麥諸果實 美味漸消亡し
食時に心喜ばず 何ぞ能く諸大(人体を構成する地水火風)を長ぜんや。
衆生光色減じ 勢力盡く衰微し
食噉(じきたん・がつがつとくらう)復た多しと雖も飽足せしむること能はず。
其國界中に於いて 所有る衆生の類は
少力無勇勢にして 所作堪能ならず
國人疾患多く 衆苦其身に逼る
鬼魅遍く流行し 隨處に羅刹を生ず
若し王、非法を作して 悪人に親近すれば
三種世間(三界)をして 斯によりて衰損を受けしむ。
如是の無邊の過は 國中に出在す
皆惡人を見て 棄捨して治擯せざるに由る
諸天の加護により 國王と作ることを得て
而も正法を以て 國界を守護せず
若し人、善行を修すれば 當に天上に生ずることを得べし
若し惡業を造れば 死して必ず三塗に堕つ
若し王、國人を見て其の過失を造ることを縱さば
三十三天衆 皆熱惱心を生ず。
諸天の教 及び父母の言に順はざれば
此れ是の非法の人は 王に非ず、孝子に非ず。
若自國中において 非法を行ずる者を見ば
如法に當に治罰せよ 應に捨棄を生ずべからず
是故に諸天衆は 皆な此の王を護持す
諸惡法を滅するを以て 能く善根を修する故に。
王は此世中において 必ず現報を招く
善惡業において 衆生に行捨を勸むるに由る
善惡報を示さんがための故に 人王と作るを得る
諸天共に護持して 一切咸く隨喜す
自利利他により 治國するに正法を以てし
諂侫者あるを見ては 應當に如法に治す
假使へ王位を失ひ 及び命縁を害すとも
終に悪法を行ぜざれ 惡を見ては捨棄せよ。
害中の極重者は 國位を失ふに過ぎたるはなし
皆な諂侫人に由る 此為に當に治罰すべし。
若し諂誑人あらば 當に國位を失ふべし
斯によりて王政を損なふこと 象の花園に入るが如し
天主は皆な瞋恨し 阿蘇羅も亦た然なり
彼人王となりて 法を以て治國せざる故なり。
是の故に應に如法に 悪人を治罰すべし
善を以て衆生を化し 非法に順ぜざれ
寧ろ身命を捨るとも 非法の友に随はず
親及非親において 平等に一切を観ぜよ
若し正法王たらば 國内に偏黨無く
法王名稱ありて 普く三界中に聞こゆ
三十三天衆 歡喜して是言を作す
贍部洲法王 彼は即ち是れ我子なり
善を以て衆生を化し 正法もて治國し
正法を勸行し 當に我宮に生ぜしむべし」と。
天及諸天子 及び蘇羅衆、
王正法化によりて 常に心に歡喜を得。
天衆皆歡喜し 共に人王を護り
衆星は位に依りて行き 日月は乖度無し
和風常に節に應じ 甘雨順時行はれ
苗實皆善く成り 人飢饉の者無し
一切諸天衆は自宮に充滿す
是故に汝人王 、身を忘れて正法を弘め
應に法寶を尊重せよ 斯によりて衆は安樂ならん
常に當に正法に親しみ 功徳自ら莊嚴すべし
眷屬常に歡喜し 能く諸惡を遠離す
法を以て衆生を化し 恒に安隱を得しむ
彼の一切人をして 十善を修行せしめ
率土常に豐樂にして 國土安寧を得る
王は法を以て人を化し 善く惡行を調へば
常に好名稱を得て諸衆生を安樂にすべし」
爾時大地一切人王及諸大衆、佛の此の古
昔人王の治國要法を説くを聞きて未曾有を得、皆大歡喜信受奉行せり。
(金光明最勝王經卷第八終わり)